改めて思う「2ストロークエンジン」っていいよね

目次
1.■現代の旧車たちが「まだ新車」だった頃 2.■2ストマシンのノスタルジー 3.■2ストローク初体験 4.■超トンがってたフロンテクーペ 5.■超トンがってたRZ250 6.■2ストロークのマシンって、いいよね

前回「2ドアセダンっていいよね」とか言ってたワタクシ、今回も「2」という数字にかかわるおはなし……。

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■現代の旧車たちが「まだ新車」だった頃

旧車王をお読みの皆さんなら、モチロン2ストロークエンジンについてご存知ですよね。

旧車たちが「まだ新車」だった頃のおはなし。

それは昭和時代……。

原付やスクーター、それに500ccくらいまでのバイクの多くは2ストロークエンジンを積んでいたし、多くの軽自動車も2ストロークエンジンの車が結構走ってましたよね。

詳しい仕組みは省くとして、シンプルな機構と軽快に回ってレスポンスの良いエンジンとして、多くのクルマやバイクに積まれていた2ストロークエンジン。

平成令和と年を重ねてゆくうちに、いつの間にかほとんど見なくなってしまいました。

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■2ストマシンのノスタルジー

オールドファンの方々であれば、アクセル回して(踏んで)瞬時に答える「パランパラン・・」という独特の音と、マフラーから吐き出される薄青っぽいケム・・・いや、排気煙。

3000回転以下でクラッチーミートすると「ボボボボボ・・」とか言ってストールしそうになるけど、回転数を取り戻すとアッという間にフケ上がるエンジン特性。

こまめにエンジンオイル足してあげないとエンジン壊しちゃうし、燃費も正直あまり良くない。

けれど、2ストロークマシンが通り過ぎた後の、なんというか独特の匂いに、ノスタルジーを感じちゃう人も結構多いでしょ?

40〜50代以上の人なんかは、ねえ。

まあ、今の世の中「ただクルクル良く回る」ってだけで(だけじゃないけど)、正直環境にも良くないしガソリン喰うしで、ほとんど絶滅しかかっている2ストロークエンジンのクルマやバイク。

それでもときどき街の中で、ケム吐きながら独特の音を立てて通り過ぎる2ストバイクの音に振り向いたり、旅行に出かけた先の山奥や小さな漁港で、地元のジイさんの乗る2ストの軽トラが通り過ぎた後の匂いに泣きそうになる。

そんな経験あるかもしれませんよね。

■2ストローク初体験

2ストロークのクルマやバイクが廃ってきた理由とか、そんなのは正直どうでもいいんですよ。

でも、今では「珍しい」というか、ほぼ「絶滅種」のライチョウとかトキとかシーラカンスみたいな存在になってしまった2ストロークエンジン車のことについて、少しは思い出してみようかな、とは思っているのです。

2ストロークマシンの初体験は、多くの昭和30年代〜40年代生まれの方々同様、ほとんど原付バイクですよね。

ヤマハのミニトレだったり、スズキのミニクロだったり。

ところがワタクシはホンダ派だったので、初めて乗ったバイクがスーパーカブで、自分で初めて買ったバイクがCB50JX-1という、4ストロークのバイクだったのです。

まあ、これに乗って友達といろんなところ(なんとヤビツ峠も登った!)に出かけたものです。

ということで、ワタクシの2スト初体験は、その後に中古で買った、ヤマハDT125というオフロード車。

なんでこれ買ったのかといえば、世界で初めて市販車で「モノクロスサスペンション」を積んだバイクだったから。

今では珍しくもないリアサスペンションが「1本」というスタイルが、このバイクから始まったようなモノ。

正直それ以外には、背は高いし音うるさいし結構振動するしケム吐くしで、多摩川の河原やよみうりランドの近くにあった多摩サーキット以外では、あまり面白くなかったような思い出があります。

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■超トンがってたフロンテクーペ

ところが!

ところがですよ。

ワタクシが20代の頃に、とんでもないクルマを安く手に入れたことがあるのです。

それは、あの!スズキの初期型(71年)フロンテクーペ。なんと2ストローク360ccの3キャブ!(ほとんどバイクじゃん)。

駆動形式はRRで2シーター。

2人しか乗れない小ちゃなスーパーカーみたいなやつで、しかもタイヤが10インチの「合わせホイール」という特殊な形式で、ラジアルタイヤ履けない(笑)という、なんかイロイロおもしろいクルマでした。

なにしろRRなもんだからフロントが軽い軽い。

雨の日なんて走らせると直進するのが難しいくらいだし、例によって3000回転以下は使い物にならないので、常にバンバン吹かせて、ドカンとクラッチミート!

サスペンションはカート並みで、首都高走ると継ぎ目の度にボディ全体がギシギシ言い出す始末。

しかもガソリン喰うわオイル喰うわで経済観念ゼロ(笑)。

加速中にルームミラーを見ると、ほとんど真っ白(笑)でケム吐きまくり。

内装も真っ黒の中にメーターが6個も横にずらりと並んで、まるで松本零士の描く宇宙戦艦ヤマトの艦内みたい。

というように、正直「むちゃくちゃオモシロかった」クルマなのです。

難儀したのが車検で、スズキのディーラーに持っていったら、露骨にヤな顔されて(笑)、今整備できる人が少なくて……と、1ヶ月くらい待たされた覚えがあります。

なんでも3連キャブの調整ができないので、近くのバイク屋さんに外注したという話を聞いたりしました。

■超トンがってたRZ250

また、当時ワタクシは、RZ250の初期型も所有しており、バリバリの2スト野郎という感じで、毎日ケム吐いて過ごしていたようなモノでありましたよ。

こちらも興味本位で買っちゃったわけですが、山道走行時のバンク中に、ヘタにアクセル開けると怖い目に遭ったり、音がうるさいので早朝は大通りまで押して歩いて、そこでエンジンをかける、みたいな気遣いが必要だったのですが……。

まあ、この2ストの2台、合わせて5気筒600ccほどの排気量の乗り物も、結婚を機に売り飛ばしちゃったんですけどね。

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■2ストロークのマシンって、いいよね

そんなわけで、ワタクシは今でも2ストロークエンジンの、パランパランという乾いたサウンドや吐き出されるケムリ。

ほのかに漂う燃えたオイルの匂い。

そしてエンジンを止めた時に訪れる「シーン」という静けさ。

そしてやはり、止めた後でもなんとなく匂ってくるオイルの香りを思い出す度に、ああ、2ストロークのマシンって、なんかよかったよなあ、という気がするのです。

あの刹那的にビヨーンって吹け上がるエンジンの音と振動、そして目まぐるしく動くタコメーターの針が、結構好きだったのかな、と思ったりするのです。

2ストロークのマシンって、いいよね。

[ライター/まつばらあつし]

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