1980年代から90年代にかけて盛んだった「テンロク」と呼ばれるスポーツカテゴリーのなかにあって、歴史に残る名機として現在も愛されるトヨタ 4A-Gエンジン。高回転まで気持ちよく吹け上がるレスポンスのよさが特徴の直列4気筒DOHCエンジンは正統に進化し続け、最終的には自然吸気エンジンながら1Lあたり100psを突破します。
今もなお注目され続けている名機4A-Gの歴史や、AE86へのスワップなどのチューニング事情を詳しく紹介します。
20年近くも作られ続けた4A-Gエンジン
4A-Gエンジンは、1983年の登場から2002年の搭載モデル販売終了まで実に20年近くも作られ続けました。また、単に製造年数が長いだけでなく、過給器搭載の派生モデルも生み出しつつ、最終型のAE111搭載4A-GEまで正統に進化し続けた魅力的なエンジンです。
AE86に搭載された4A-GEUから、4A-Gエンジンの歴史を振り返ってみましょう。
名車AE86搭載エンジンとしてデビュー
1983年発売の名車、AE86に搭載された4A-GEU型が4A-Gエンジンのデビューモデルでした。1.6L 直列4気筒 DOHC 4バルブというコンパクトサイズながら本格的な仕様で、最高出力は6,600rpmで130psを発揮。ターボエンジンや大排気量車のような絶対的パワーはないものの、高回転まで鋭く回る爽快感は多くのクルマファンを魅了しました。
4A-GEU型エンジンは、LASRE(Light-weight Advanced Super Response Engine)と呼ばれる、当時のトヨタが目指していた小型で高性能かつ高応答性を誇るエンジンの延長線上で開発。シリンダーヘッドはアルミ合金製で、バルブの駆動にロッカーアームを介さないシンプルな構造にするなど軽量かつ高耐久性、さらに高応答性を実現しました。7,700rpmのレブリミットまで、わずか0.78秒で到達するレスポンスの良さは絶大な支持を得ます。
また、AE86が発売された翌年の1984年には、AW11型MR2にも搭載されました。ミッドシップに横置きレイアウトされたため、スペックは同様ながら型式は横置きを意味する「L」が加えられ4A-GELUとなっています。
レビトレの世代交代ごとに進化
4A-GエンジンはAE86以降さまざまな車種に搭載されますが、基本的にレビン/トレノ(カローラ/スプリンター、以下レビトレと記載)の世代交代ごとに進化を遂げます。FFへのフルモデルチェンジを果たしたAE92では、横置きモデル4A-GELU型を搭載。続くAE92後期型では縦置きエンジンの生産終了とともに横置きを意味する「L」が外れて再び4A-GEU型と型式名が戻ったものの、スペックは大幅に進化します。9.4だった圧縮比は10.4にまで高められ、7,200rpmで最高出力140psを発揮しました。
さらに、続くAE101型レビトレでは、型式名を4A-GEと改めて5バルブ化を果たします。4連スロットルまで備えた「シルバーヘッド」と呼ばれるこのモデルで最高出力は160psにまで達し、自然吸気エンジンながら1L当たり100psの壁を突破しました。また、VVTと呼ばれる可変バルブタイミング機構で、弱点だった低中速回転域のトルクも底上げされています。
最終的には、AE111型レビトレではさらに高効率化を図り、1L当たり103ps以上となる最高出力165psを達成。「ブラックヘッド」と称され、4A-Gエンジンの最終形と呼べる進化を遂げました。
過給器搭載モデルもラインナップ
4A-Gエンジンには、スーパーチャージャーを搭載したモデルもラインナップされました。最初に登場したのは、1986年のAW11型MR2に搭載された4A-GZE型エンジンです。当時の自然吸気4A-GEU(及び4A-GELU)型の最高出力が130psだったところを145psまで引き上げ、しかも最大トルクは3.8kgf・m増の19.0kgf・mを発揮しました。
さらに、AE92型後期では165psを発揮し、スーパーチャージャーモデルの最終型AE101型に搭載された4A-GZE型では最高出力は170psにまで達しました。
チューニングベースエンジンとして最適
4A-Gエンジンは2002年に生産を終了しています。しかし、今もなお、ライトウェイトスポーツのカテゴリでは人気のエンジンです。また、エンジンとしての人気の高さからアフターパーツも豊富で、多くのユーザーがチューニングを楽しんでいます。
4A-Gエンジンが、現在どのような使われ方をしているのか紹介します。
最終型の5バルブ4A-GEをAE86にスワップ
AE86の4A-GEU型エンジンを、AE111に搭載される最終型の4A-GE型にスワップするカスタマイズメニューが人気です。最高出力165psを誇る「ブラックヘッド」を搭載するだけで、軽量なAE86なら実際の出力以上のパワーアップを実感できます。
一方で、同型エンジンとはいえ、スワップはそれほど簡単ではありません。まず、AE111はFFのため横置きエンジンのため、縦置きで搭載するにはエキマニや各種パーツの調達が必要です。また、各種センサー類も異なるためコンピューターや配線などの移植も必要で、ある程度ノウハウのある専門業者でないと施工できません。
さらに、もともと130psでわずか15.2kgf・mというエンジンパワーに合わせた設計のため、165ps/16.5kgf・mという強大なパワーを受け止めるためにクラッチを始めとする駆動系の強化も必須です。
AE86人気で多くのアフターパーツが流通
4A-Gエンジン搭載車が販売終了してから、すでに20年以上が経過しています。しかし、AE86人気を背景に4A-Gは今でも現役エンジンとして使用されているため、エンジンのチューニングパーツが数多く流通しています。エンジンチューニングの定番カムシャフトやバルブスプリング、ピストン関連やコンロッド類まで一通りのパーツが入手可能です。
また、4A-Gを専門にチューニングを手掛けるショップも数多くあり、ノウハウも豊富に蓄積されています。最終型の4A-GEは、パーツの組み合わせとセッティング、条件によっては200psオーバーも十分に狙えるチューニングしがいのあるエンジンです。パーツの選択も含め、4A-Gエンジンをチューニングしたい場合は専門のショップを探してみましょう。
4A-GEエンジンへの評価から搭載車に一定の価値
トヨタ レビン/トレノは、AE86の人気が極端に高い反面、FF化されたAE92以降のモデルの評価はあまり高くありません。さらに、カローラ(スプリンター)セダンやスプリンターカリブなどのワゴン車だとクルマとしての評価は下がります。
しかし、名機4A-GEエンジンの人気が高いため、レビトレはもちろんほかの車種でも4A-G搭載グレードであれば思わぬ高値で売却できるかもしれません。また、エンジン自体が評価されているため、車体の傷や各部の劣化はあまり査定に響かないケースもあります。
ただし、エンジンも含めて、旧車の知識に長けた専門業者で査定してもらうことが重要です。
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