スバル レガシィは、旧体系の経営で倒産の危機にあったスバル(当時:富士重工業)を救い、日本にステーションワゴンブームを巻き起こした歴史的な車種です。そんなレガシィも、今や北米に軸足を置き、日本ではずいぶんと影の薄い存在となってしまいました。ですが、まだまだスバル レガシィのファンも多いはず。今回はレガシィの完成と熟成を果たした、3代目 BE/BH型と4代目 BL/BP型レガシィの概要と、中古車事情についてご紹介します。
熟成した3代目レガシィと変革の4代目レガシィ
スバル史上最大のヒットモデルとなった2代目 BG/BE型の後を継ぎ、1998年に3代目 BE/BH型レガシィがデビュー。先代から引き継いだ2.0L水平対向4気筒ターボエンジンは、自主規制いっぱいの280馬力の最高出力を誇ります。そのほか、3代目のトピックは、現在の自動ブレーキのハシリとなる運転支援システムである「ランカスターADA」の登場と、2000年の年次改良において、新開発の3.0L水平対向6気筒エンジンをランカスターに搭載されたことです。そんな3代目は、2代目ほどではないものの、ツーリングワゴン、セダン合わせ43万代以上を売り上げる大ヒットモデルとなります。
そして、2003年にデビューした4代目 BL/BP型レガシィは、3代目までの伝統に変革をもたらしたモデル。衝突安全性能向上を目的に、これまで死守してきた5ナンバーボディを捨て、3ナンバーボディへと拡大。さらに、EJ20ターボエンジンは、2代目と3代目までの2ステージツインターボから、ツインスクロール方式のシングルターボに変更されます。また、レガシィはこの4代目から北米市場への意識が高まったこともあり、それまでよりも内外装の質感が向上。3代目よりも1つランクが上がったという印象を持っているスバルファンも少なくありません。
他車種では見られないターボ+MTモデルが主流
3代目 BE/BH型レガシィは2代目に次ぐ人気車種で、新車販売台数も多かったものの、最も新しい年式でも2003年であるため、中古車市場にはあまり台数が出回っていません。対して、4代目 BL/BP型レガシィは比較的流通量も多く、選択の幅は広いと言えるでしょう。
どちらも、ターボモデルが圧倒的に多く、2.0L、2.5L、3.0LのNAモデルはあまり流通していません。また、マニュアルトランスミッションが多いのもレガシィの特徴です。
速さに拘らないのであればNAモデルもオススメ
低重心の水平対向ターボエンジンと4WDの組み合わせは、唯一無二の走りを体感できます。先述したように、中古車としても流通量が多いため、比較的選びやすいでしょう。しかし、筆者のオススメは、2.5Lや3.0LのNAモデル。絶対的な速さこそありませんが、水平対向エンジン特有の振動の少なさやトルクフルな走りは、ターボモデルでは味わえない魅力があります。ターボモデルばかりに注目が集まるため、お買い得な1台を見つけることも可能です。
ネットのみの購入は避け実車確認が必須
3代目 BE/BH型と4代目 BL/BP型レガシィの中古車を探しているなら、現車確認を徹底しましょう。
まず注意したいのが、水平対向エンジンの持病でもあるオイル漏れ。これは構造上どうしても避けることのできない不具合なので、下回りをのぞき込む、または、整備履歴を確認するようにしましょう。
もう一つの注意点は、上級グレードに装備されていたマッキントッシュオーディオ。純正装着のオーディオとしては、かなり高音質な魅力がある反面、専用スピーカーや別体アンプを含めた総合的なオーディオシステムであることがネックになります。万が一不具合があった場合、単体での修理や交換ができず、最悪の場合オーディオシステムをすべて交換しなければなりません。そのため、正常にオーディオが作動するか確認することが大切です。
リセールは期待薄のため売却先選びが重要
余程走行距離が少ない車両えを除き、3代目 BE/BH型と4代目 BL/BP型レガシィのリセールバリューは特別優秀と言えません。“スバリスト”と呼ばれる熱狂的なファンは存在するものの、モデルごとのファンはそれほど多くなく、どちらかと言えばどの年代のどのモデルでも一定の人気があります。そのため、限定車以外では、驚くような値付けはほとんど望めません。
もしこれから売却を検討しているのであれば、きちんと価値を判断し、しっかりとした販路を持った旧車専門店などに相談すると良いでしょう。
[ライター/増田真吾]
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