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日産の名車の中でも特に人気が高いのが、R32 スカイラインGT-Rです。レースでの勝利を念頭に開発され、高性能のエンジンとを最先端の装備を搭載。その輝かしい戦歴により、1994年に生産終了した後も国内のみならず海外にも多くの根強いファンを持ち、中古車市場でも今なお価値の高いモデルです。
ただ、旧車オーナーにとっては各種部品の廃版が悩みの種でしたが、「NISMOヘリテージパーツ」がその救済に乗り出し、R32GT-Rの部品再販を開始。誕生から30年余、純正部品の再供給が始まったことで再び活気づいたR32GT-Rの魅力と、再販についてご紹介していきましょう。
生産終了から20年以上経っても人気が衰えないR32 スカイラインGT-R
日産 R32 スカイラインGT-R(通称、R32GT-R)は、スカイラインの最上級グレード「GT-R」の3代目として1989年に誕生しました。16年ぶりのGT-R復活となり、日産の最先端技術が惜しげもなく投入。搭載されたエンジンは、日産の名機とも言われるRB型で、R32GT-Rのために専用設計されたことでも名高いツインターボ「RB26DETT」。当時の自主規制により馬力は280PSながら、チューニングによっては500馬力以上にも耐え得る性能を有していました。
他にも電子制御トルクスプリット4WDシステム「アテーサE-TS」や四輪操舵システム「Super HICAS」など当時の最新技術を備えますが、これらはみな“レースに勝つ”という目的のためでもありました。
勝利という宿命を背負ったR32GT-Rは、実際に全日本ツーリングカー選手権(JTC)で1990年からの4シーズン全29戦で29勝という不敗伝説を残します。熱狂を生んだその走りは、現在でも国内外を問わず根強い人気を誇っています。
オーナー感涙!R32GT-R用部品の再販を開始
このように今なお人気の高いR32GT-Rですが、当然のことながら、長く乗っていれば内外装に不調も出てきます。しかし一般的に、自動車の部品はその車種の生産終了から10年前後で製造を終えてしまうものであり、R32GT-Rという人気車種であっても、オーナーはその補修部品の調達に苦労していました。
しかし、末永く乗り続けたいというオーナーの熱い思いを汲み、日産とNISMOが動き出したのです。なんと、既に廃止となっていたR32GT-Rの純正補修部品を「NISMOヘリテージパーツ」として復活させ、再販を開始。メーカーも当時の生産設備や原材料が揃わない中、ただ人気車種だからという理由でこのような再販をすることは滅多になく、非常に稀な例と言えるでしょう。
なお、NISMOはR32GT-Rに続き、R33、R34の部品再販も開始しています。
NISMOヘリテージパーツの概要
「NISMOヘリテージ」は日産、NISMO、オーテックの3社が共同で、製造廃止となった純正補修部品やリプレイス品などの再供給を行う取り組みのこと。車検や走行に不可欠な部品、メーカーでないと製造できない部品を優先し、2017年12月からハーネス、ホース・チューブ、エンブレム、外装部品などの再販を開始しました。
またそれでも復刻困難なパーツについては、限りなく純正に近づけたNISMOリプレイス品のほか、修理も受け付けています。
シリンダーブロック
R32GT-RのエンジンであるRB26DETTはチューニングベースにされることも多く、その性能と強度から1000馬力超のチューニングがなされたこともあります。しかしその分故障の可能性も高く、流通しているエンジンの数も限りがあるため修理が困難な状況。
エンジンの主要部品であるシリンダーブロック、ならびにシリンダーヘッド単体が購入可能となったことで、修理やチューニングがしやすくなりました。
フロントドアハーネス
車内の電気や信号を伝えるためのハーネスは、人間でいうと血管や神経にも例えられる重要な配線部分です。樹脂の被膜で覆われていますが、時が経つにつれ劣化や腐食により断線やショートを起こしやすいため、補修用であっても中古品は避けたい部品でした。
今回はコネクター部分に当たるカプラーもセットでの再販となり、信頼性も高くなっています。
トランク用ウエザーストリップ
ドアとボディの隙間を埋めるパッキンの役割をするウエザーストリップは、雨風や埃、振動を防ぐ部品のこと。柔らかい樹脂性ですが、年数が経過すると弾性が失われて硬化やひび割れを起こすと雨漏りの原因にもなります。
地味ながら、車種や部分ごとに異なる形状であり、これまではなかなか効果的な補修方法がなく、再販により新品が入手できるのはかなりありがたいことです。
R32スカイラインGT-Rが欲しいなら今がチャンス!?
純正部品が再販売されることは、その車のオーナーやファンにとって朗報以外の何物でもないでしょう。これで日本の名車が1台でも多く延命されるのはうれしい限りです。
また、これまで修理が困難だったことで、中古車市場で比較的安く販売されていた個体でも、「NISMOヘリテージパーツ」の再販によって修復され、再び高値で売買されることがあるかもしれません。現在R32スカイラインGT-Rの価値は年々上昇し、今や当時の新車価格を上回る価格で売買されるのが当たり前。少しでも手ごろな個体を探し、NISMOヘリテージパーツを使って徐々にコンディションを整えていくのもいいかもしれませんね。
[ライター/増田真吾]
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