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トヨタの中でも最強エンジンとの呼び声高い、直列6気筒型ツインターボ 2JZ-GTE型エンジン。すでに製造終了となっているエンジンではありますが、今でも根強い人気を誇り、そのハイパワーと類を見ない頑丈さゆえにドリフト車などに積極的に換装されています。
今回はそんなトヨタ史上最強エンジン 2JZ-GTE誕生の歴史と、その強さの秘密についてご紹介しましょう。
M型から受け継がれる名機の系譜
2JZ-GTEの源流は、ヤマハ原動機と共同開発したトヨタ直列6気筒エンジン「M型」から来ています。M型エンジンの歴史は古く、1965年に2.0L直列6気筒SOHCエンジンとして2代目クラウンに搭載されて以降、2000GTに搭載されトヨタ初のDOHCである「3M型」。230psのパワーを叩きだすDOHCターボであり、M型の最終到達点「7M-GTEU型」など、まさにハイパワーの系譜が脈々と受け継がれているのです。
その血脈を受け継いだ「JZ型」エンジンが1990年に登場。「1JZ」が2.5L「2JZ」が3.0Lの排気量で設定され80型 マークIIやS130型 クラウンに搭載されました。そして1991年、「2JZ-GTE型」は3.0L DOHCツインターボとして、最大出力280ps、最大トルク44.0kg.mの強烈なスペックを引っさげ、初代JZS14型 アリストの最上位グレードに設定。その後、2JZ-GTEは1993年にA80型 スープラに搭載され、トヨタ史上最強エンジンの名をほしいままにしていきます。
チューニングベースに最適なエンジンブロック
2JZ-GTEは当時の自主規制上限値である280PSを誇り、ツインターボを採用したことで幅広い回転域で豊かなトルクを実現しターボラグを軽減。まさに市販車向けエンジンとして、最強と言っても過言ではない実力です。
しかし、最強といわれる所以はそれだけではなく、チューニングされてさらにその真価を発揮します。
ブーストアップで450psも可能
2JZ-GTEのエンジンブロックは、アルミよりも熱に強い鋳鉄製を採用。ヘッドガスケットも高圧力に耐えられるメタル製が使われるなど、もともと3.0Lという排気量が大きいということもあり、全開走行のターボ過給の負荷にも十分耐えられるよう余裕を持って作られています。
純正ターボのブーストアップチューンでも450psの発生まで狙えてしまいますが、そこからさらに突き詰め、鋳鉄の厚いブロックを活用したボアアップを施すことで1000psを発生するチューニングカーも業界では珍しくありません。
1000ps級の2JZ-GTEは内部強化必須
ただし、それにはその負荷に耐えられる鍛造品のピストンやコンロッド、クランクシャフトなどの強化品の使用が必須。各メーカーでは鍛造ピストンや削り出し加工のクランクシャフトなどを付属したキットからブロックのボーリング加工を必要とする排気量アップを目的としたキットまで、さまざまなアイテムが発売されています。
もちろん、いくら頑丈な2JZ-GTEでも1000psにパワーアップしたからといって、常時その馬力を出しながら公道を何万キロも走行できるわけではありません。そのため、600ps以上を発生するいわゆるハイチューンドの2JZ-GTEは、ドリフトやゼロヨンなどのモータースポーツ限定で使われることがほとんど。エンジンチューニングは使用部品やアクセルの踏み方においても絶妙な均衡の上に成り立っており、少しでもそのバランスが崩れると即エンジンブローにつながるという危険性があります。
ライバルである日産 RB26DETTとの比較
当時、2JZのライバルと言われた「RB26DETT」との比較もしていきましょう。
市販車に最適な2JZ-GTE
2.6L直列6気筒DOHCツインターボのRB26DETTは、最高出力280ps、最大トルク40.0kg.mというスペックを持ち、R32型~R34型の日産 スカイライン GT-Rに搭載されました。双方のもっと音大きな違いは、RB26の2.6Lに対し2JZは3.0Lと0.4L分差のある排気量。なぜRB26DETTが中途半端な2.6Lを選択したのかというと、R32 GT-Rはレースで勝つことを目的に開発されたから。つまりR32 GT-Rが搭載するRB26DETTは、まさしくレースで勝つためのエンジンなのです。
一方トヨタの2JZ-GTE は、厳密なライフサイクルの元で管理されるレーシングエンジンではなく、市販車に搭載するフラッグシップスポーツエンジン。ターボラグを感じさせない太いトルクや、多少重量は増えても肉厚で頑丈な鋳鉄製のシリンダーブロックなど、一般ユーザーが普通に使える寛容さと耐久性が与えられているのです。
ライバルGT-Rから新型GRヤリスにも搭載される2JZ-GTE
そんなライバル関係にある両エンジンですが、本来RB26DETTが搭載されていたGT-Rに、2JZを換装するという特異な事例も。R32 GT-Rの武器であるアテーサ4WDを捨て、FR化するのがもっとも簡単な方法(と言ってもエンジンブラケットやプロペラシャフトはほぼワンオフ)ですが、中にはオイルパンとデフマウントを制作し、アテーサ4WDを生かしたままという強者も存在します。
また、272psを発生する3気筒ターボを搭載し、久しぶりにスポーツカー好きを興奮させたトヨタ GRヤリスに、2JZ-GTEを縦置きに搭載した車両が、複数のチューニングメーカーから登場。さらに、アメリカのカリフォルニア州にあるチューニングメーカーから、現行型であるA90スープラに搭載されたBMW社製 B58型を捨て、2JZ-GTEに載せ替えるキットが販売されるなど、2JZ-GTEは時も国境も超え愛されているのです。
[ライター/増田真吾]
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