車の所有者が亡くなり、相続するときにクルマが車検切れだった場合、どのように対応すればよいのでしょうか。今回は、車を相続したときに車検切れだった場合について解説します。車検切れの車を相続したときの参考にしてみてください。
車検切れのクルマを相続したときの選択肢と対応方法
車検切れのクルマを相続したときは、まず「処分する」か「使用する」かを決めましょう。「処分」と「使用」のどちらにするかによって手続きが変わります。ここからは、相続したクルマが車検切れだったときの対応方法を解説します。
処分する
車検切れのクルマを相続して処分する場合は、「移転抹消」という手続きを行います。基本的に車は車検が切れていると名義変更ができず、売却や廃車にすることができません。しかし、移転抹消であれば、車検が切れていても名義変更と抹消登録ができます。
手続き手順
移転抹消は下記の手順で手続きします。
1.解体業者にクルマを持ち込む
2.クルマを解体してもらう(スクラップ)
3.必要書類を準備する
4.管轄の運輸支局で手続きする
手続きする際は、下記の費用が発生します。
・移転抹消の手数料:350円
・クルマの解体費用:1〜2万円程度(業者によって異なる)
・仮ナンバーの取得費用:750円程度
また、車検が切れている状態では公道を走行できないため、仮ナンバーを取り付けて解体業者までクルマを持ち込まなければなりません。仮ナンバーは役所で取得できます。
さらに、公道を走行するには自賠責保険に加入する必要があります。保険期間が満了している場合は、自賠責保険に加入してから仮ナンバーを取得しましょう。
ただし、車検切れのクルマを積載車で引き取りに来てくれる業者もいます。仮ナンバーを取得して解体業者にクルマを持ち込む手間を省けるため、忙しい場合は引き取りが可能な業者に解体を依頼するとよいでしょう。
必要書類
移転抹消に必要な書類は次のようになります。
・遺産分割協議書(遺言書がある場合には遺言書)
・新名義人の印鑑証明書
・故人の戸籍謄本(生まれたところから亡くなるところまで)
・相続人全員の戸籍謄本
・車検証
・移動報告番号と解体通知日が記載された書類
・ナンバープレート(一式)
・永久抹消登録申請書
このように移転抹消をする場合には、さまざまな書類等を用意しなければなりません。ただし、軽自動車の場合には、車検を通さなくても名義変更することができます。
使用する
車検切れのクルマを相続した後に使用する場合は、下記いずれかの手続きをします。
①車検→名義変更
②名義変更→一時抹消登録→車検
②は手続きがより複雑になるほか、一時抹消登録の手数料が余分に発生するため、①の方法で車検切れのクルマを相続するのが一般的です。相続したクルマをスムーズに使用したい場合は、①の方法で手続きするとよいでしょう。
また、車検が切れている状態では公道を走行できないため、処分するときと同様に仮ナンバーの取得や自賠責保険への加入を忘れないようにしましょう。
手続き手順
車検切れのクルマの相続の手続き手順は、下記のとおりです。
①車検→名義変更
1.必要書類を揃える
2.仮ナンバーを取得する
3.車検を受ける
4.クルマを管轄の運輸支局に持ち込んで名義変更と車検継続検査の手続きをする
②一時抹消登録→名義変更→車検
1.必要書類を揃える
2.仮ナンバーを取得する
3.管轄の運輸支局にクルマを持ち込んで一時抹消登録と名義変更を行う
4.車検を受ける(仮ナンバーを取り付けた状態で)
5.管轄の運輸支局で新規車検登録の手続きをする
②の手続きは、一時抹消登録と名義変更した後に車検を受ける必要があるため、二度運輸支局に出向かなければなりません。ただし、クルマが車検に通る状態であれば、一時抹消登録と名義変更するタイミングで同時に新規車検登録ができます。
また、一時抹消登録と名義変更をするには、下記の費用が発生します。
・一時抹消登録:350円
・名義変更:500円
・ナンバープレート代:1,500円〜2,000円程度 ※自治体によって異なる
・仮ナンバーの取得費用:750円程度
上記に加えて、車検の整備費用や自動車重量税などがかかることに留意してください。
一時抹消登録に必要な書類等
・車検証
・ナンバープレート(一式)
・ 戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)
・遺産分割協議書/代表相続人の印鑑証明書/代表相続人の実印(代表相続人が手続きに行けない場合は代表相続人の実印を押した委任状)
など
このような書類を用意し、一時抹消登録と名義変更をした後に、新しい名義人で再度登録します。ここで紹介した書類等はあくまでも代表的なものとなります。詳しくは、管轄の運輸局に問い合わせて確認してください。
また、車検切れのクルマを運搬する際は、業者に依頼して積載車で運んだり、自賠責保険に加入してから仮ナンバーを取得して運転したりしなければなりません。運搬方法については運送業者や販売店、仮ナンバーについては市区町村の窓口に問い合わせることで確認できます。
手続きする際には、一度各所に確認してから手続きしましょう。
車検切れのクルマを相続する問題点
車検切れのクルマを相続する際に注意すべきことがあります。ここからは、車検切れのクルマを相続したときの問題点について解説します。
車検切れを知らずに運転すると罰則を受ける
相続したときに、車検切れだと気づかずに運転してしまうことに気を付けましょう。
車検切れのクルマを運転すると、違反点数6点(免許停止30日または取り消し)、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。
また、車検が切れているクルマは、自賠責保険も期限切れになっていることが多いです。自賠責保険が切れている状態で運転すると、違反点数6点(免許停止30日または取り消し)、1年以下の懲役または50万円以下の罰金となります。
車検や自賠責保険の期限が切れていると非常に重い罰則となるため、相続したクルマを運転するときは車検切れや自賠責保険切れに注意しましょう。
車検切れのクルマは名義変更ができない
車検切れの車は、原則として名義変更ができません。そのため、車検切れのクルマを相続するときは、一時抹消登録や移転抹消といった手続きが必要です。ただし、軽自動車の場合には、車検が切れていても名義変更が可能です。普通車と軽自動車で手続き方法が異なる点にも注意しなければなりません。
車検および名義変更を行う流れ
相続したクルマを乗り続ける場合、車検を通してから名義変更する流れが一般的です(車検を通しているため抹消登録は不要)。車検を通すには、自動車税種別割を滞りなく納税している必要があるため、滞納がないか事前に確認しましょう。
また、車検を通すタイミングによっては「納税証明書」の提出が必要です。車検を依頼する業者に納税証明書の提出を求められることもあるため、準備しておきましょう。納税証明書を紛失している場合は、管轄の税事務所で再発行が可能です。
車検を通したら、下記の書類を揃えて相続したクルマの名義変更を行います。
・被相続人の戸籍謄本 ※死亡の記載があるもの
・遺産分割協議書 ※法定相続人全員の実印を押印
・相続人の戸籍謄本
・相続人の印鑑証明書 ※複数人が相続する場合は全員分の印鑑証明書
・相続人全員の委任状 ※複数人が相続する場合
・車検証
・車庫証明書
クルマの査定額が100万円以下の場合、遺産分割協議書ではなく「遺産分割協議成立申立書」で代用が可能です。遺産分割協議成立申立書は、遺産分割協議書のように相続人全員の実印を押印する必要がないため、手続きが簡便です。
相続したクルマの相続税の計算方法
相続したクルマにも相続税がかかります。
相続税は、クルマの評価額をもとに算出されます。評価額は、新車価格ではなく所有者が亡くなった日をもとに評価しなければなりません。
下記いずれかの方法で相続したクルマを評価し、評価額を算出しましょう。
・買取相場価格 ※業者がクルマを買い取る際の金額
・売却代金
・査定額
・減価償却法
流通台数が少なくクルマを適正に評価できない場合は、減価償却法を用いて評価額を算出します。減価償却費は、下記2つの方法で算出が可能です。
1.定額法:固定資産の取得価格×定額法の償却率=1年あたりの減価償却費
2.定率法:年度初めの固定資産の価値(未償却残高)×定率法の償却率=その年の減価償却費
※償却率はこちらから参照できます。
申告が漏れると5〜20%の追徴税が課されるため、正確な相続税を計算したい場合は、専門家に相談するとよいでしょう。
▼下記の記事で減価償却費の計算方法や計算例を具体的に解説しています。減価償却法で相続税を算出する場合は、ぜひ参考にしてみてください。
中古車を減価償却する方法とは?耐用年数や計算方法も解説
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