自宅の前や駐車場に放置車輌があるため、処分したいと考えている方もいるでしょう。日本では自力救済が禁止されているため、たとえ自宅前や駐車場に放置された車輌であっても、所有者の承諾を得ないと処分できません。
勝手に処分した場合は、損害賠償請求される可能性もあるため、適切な対応方法を把握しておきましょう。この記事では、私有地の放置車輌の対応方法や注意点などを紹介します。
私有地の放置車輌は勝手に処分できない
民法上では自力救済が基本的に禁止されているため、私有地の放置車輌を勝手に処分できません。自力救済とは、警察や裁判などの公的な力を使わずに自分の権利を守ることです。
自力救済によってトラブルが解決されると、過度の暴力が用いられたり、権利がないのに実力行使がなされたりといった問題が起こる可能性があります。社会秩序の維持が難しくなるため、自力救済は原則禁止です。私有地に放置車輌があっても、安易に処分しないようにしましょう。
仮に私有地の放置車輌を処分した場合、所有者から原状回復や損害賠償を請求される可能性があります。場合によっては、刑事事件に発展するリスクがあることにも留意してください。
私有地の放置車輌の対応方法
自力救済が禁止されているとはいえ、私有地の放置車輌の対応方法はあります。続いて、私有地の放置車輌の対応方法を紹介します。
1.まずは警察署に連絡する
放置車輌が犯罪に利用された可能性もあるため、まずは警察に連絡します。放置車輌が犯罪と関連していた場合は、警察がクルマを移動させて保管してくれます。
場合によっては、所有者を特定して放置車輌を移動させるよう注意してくれるため、まずは警察署に連絡しましょう。
2.詳細を記録する
放置車輌が犯罪と関連していない場合、警察は介入できないため、公的な力を使って退いてもらうには詳細を記録する必要があります。下記のように、放置車輌の状況を第三者にも客観的に伝わるよう記録しておきましょう。
・放置車輌の位置や付近の見取り図
・放置車輌の状況がわかる写真(車輌全体と周りの景色が写っているもの)
・放置車輌の前方または後方から写した写真(ナンバープレートがわかるもの)
放置車輌の写真を撮る際は、スマートフォンのカメラ機能がおすすめです。スマートフォンで写真を撮ると撮影日がデータとして残るため、放置されている期間を証明できます。
3.所有者を特定する
次に、運輸支局で放置車輌の所有者を特定します。
普通車の場合は、所有者の氏名や住所が記載された「登録事項等証明書」を、最寄りの運輸支局に請求します。ただし、請求時は下記の情報を申請書に記入しなければならないため、事前の準備が必要です。
・ナンバープレート
・車体番号 下7桁
・請求者の氏名や住所
車体番号は車内のドアやエンジンルーム、車検証に記載されているため、車種によっては外から見ても確認できない場合があります。放置車輌の車体番号がわからない場合は「私有地放置車両関係位置図」で代用しましょう。
放置車輌が軽自動車の場合は、軽自動車検査協会で「検査記録事項等証明書」を請求して所有者を特定します。普通車と異なり、誰でも請求できるわけではないため「弁護士法第23条の2に基づく照会」を利用しなければなりません。放置車輌が軽自動車の場合は、弁護士に相談して所有者を特定しましょう。
また、所有者を特定できない場合は、放置車輌の窓ガラスに「○日までに移動させなければ、放置車輌とみなし処分します」のような処分警告の張り紙をするとよいでしょう。クルマの所有者は、放置した後に様子が気になり見に来る傾向にあるため、張り紙が効果的です。
ただし、クルマを汚染や破損させる方法で貼り付けないよう注意しましょう。テープやのりは跡が残りやすいため、ワイパーにはさむなどの方法が適しています。
4.所有者に通知する
放置車輌の持ち主を特定したら、所有者の住所宛に「内容証明郵便」を送付し、撤去して欲しい旨を通知します。内容証明郵便とは、郵便局が下記を証明するサービスのことです。
・差出人
・宛先
・内容
・差出日時
強制的に相手を従わせることはできないものの「法的手段で訴える」と、強い意志を示せます。内容証明郵便を送付しても、所有者と連絡が取れなかったり要求に応じなかったりする場合は、裁判を起こして放置車輌の撤去と損害賠償を求めましょう。
公有地の放置車輌の対応方法
公有地で放置車輌を発見した場合は、警察に通報して対処してもらいましょう。放置車輌は地域の美観を損ねるうえに、新たなクルマの放置を誘発し、公有地の利用上または管理上の支障が生じます。自治体によっては、自動車を放置する条例が制定されており、保管や処分といった対処が可能です。
たとえば、淡路市では「放置自動車の処理に関する条例」を実施しており、放置車輌に対して移動や保管、処分といった対処をします。なお、対処するのにかかった費用は、放置車輌の所有者に請求されます。
参考:淡路市「市有地および市有施設内の放置自動車の処理について」
放置車輌の対応における注意点
放置車輌の所有者と連絡が取れても、対応を誤った場合は、問題が複雑化する可能性があります。スムーズに解決できるよう、放置車輌の対応における注意点を事前に把握しておきましょう。
ここでは、放置車輌の対応における注意点を紹介します。
なるべく所有者と直接連絡を取らないようにする
放置車輌の所有者がどのような人物かわからないため、トラブルを避けるためにも、なるべく所有者と直接連絡を取らないようにしましょう。特に、感情的なトラブルや対立に発展する可能性が高い場合には、弁護士を通じてやり取りすることをおすすめします。
また、弁護士は適切な手順と法的な基準に基づいて撤去を要求してくれます。法的な手続きを正しく進められるうえに、問題の解決がスムーズに進む可能性が高いため、弁護士に放置車輌の所有者とのやり取りを依頼しましょう。
クルマを傷つけるなどの対応をしない
損害賠償や法的な責任を問われる可能性があるため、放置車輌を傷つけないようにしましょう。放置車輌とはいえ、他人の所有物である以上、物理的な損害を与える行為は許されません。
感情的な判断で過剰な対応をすると、事態がさらに複雑化し、解決が遠のく可能性があります。
まとめ
日本では自力救済が禁止されており、私有地に放置車輌があっても、勝手に処分してはいけません。無断で処分すると、原状回復や損害賠償を請求されるリスクがあるため、安易に処分せず適切な方法で撤去してもらいましょう。
また、トラブルを避けるためにも、放置車輌の所有者と直接連絡を取らないようにすることをおすすめします。必要に応じて弁護士に依頼し、スムーズに放置車輌を撤去してもらえるようにしましょう。
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