さて、ワタクシまつばらは「イラストレーター」としての肩書きも持っております。
webの挿絵とか本の表紙とか説明図とか、線画が多いのですがこんなの描いているんですよ、実は。
さて、そんなイラストレーターとしての立場でお話しすると、昨今様々なメディアでウワサの「AI」。
すなわち「Artificial Intelligence」の略ですが、昭和時代なら鉄腕アトムに搭載されている「人工頭脳」とか、まあ、そんなイメージがありますよね。
その「AI」くん、ご存知の方もいるかとは思いますが、最近イラスト業界では話題持ちきりなのは、写真ライクな美少女画像とか、かっこいいヒーローのポーズとか、AIが描くそのハイクオリティな出来栄えに、多くの人が「近い将来イラストレーターの仕事なくなっちゃうんじゃないか」とか「この出来ならモデル撮影のカメラマンも不要になるかも」とか、色々ウワサが絶えません。
まあ、その辺の考察は別の機会にイロイロ考えるということで、今回は旧車王らしく、そしてプロのイラストレーターとして、AIが生成する「オレたちの旧車」を考えてみようというのが今回のネタ。
いやあ、AIくん、なかなか面白いですぜ、ということではじまりはじまりー。
まずは手始めに、AIくんに何か描いてもらいましょう。
今回登場するのは、Microsoftのブラウザ「Bing」に搭載されているAI「DALL-E」という画像生成AIくんと、SeaArt というAIコミュニティで使えるイラスト生成「img2img」というAIくんです。
現在のAIにはそれぞれ特徴があって、画像を生成するためのキーワード「プロンプト」=ワレワレは「呪文」とか呼んでますが(笑)、同じ「呪文」を唱えても、生成される結果は大幅に違うというように、すでに「AIの個性」というものが芽生え始めている感じがします。
まあ、そんな前振りはともかく、早速AIくんに「描いて」もらいましょう、オレたちの旧車!
まずは「DALL-E」くんの描く旧車!
呪文は「縄文時代のスポーツカー、日本、古代、縄文人」って、旧すぎ?(笑)
おおっ!
なんかそれらしいイメージというか、チキチキマシンに出てくる「001 岩石オープン」みたいなイメージだけど、まあ、縄文人ならこんなスポーツカー、アリだよね!という感じでいいっすね。
さて、全く同じ呪文を「img2img」くんにお願いして、縄文人のスポーツカーを・・・・・
って、おい!サイドカー?・・・・昭和時代じゃないかコレ?って感じで、同じプロンプト=呪文唱えてももこんなに違う。
確かに運転手は縄文人っぽいけれど。
さて、さらに時代は進み、時は飛鳥時代。
聖徳太子のスポーツカーをAIくんたちに描いてもらいましょう。
デザインは遣隋使でお馴染みの小野妹子くんです!
「DALL-E」くんはなんとなくそれっぽい感じに仕上がってますね・・・。
キャラデザインがそれとなく中華風。
これ見るとエンジンは付いてなさそうなので、足漕ぎかも。
足漕ぎだったらカッコいいすね、コレ。
で、次は「img2img」くん・・・うを!オモシロすぎ!なんだよコレ(笑)。
まるで祇園祭か岸和田のだんじりじゃないっすか。
やはりエンジンどこに付いてるんだか・・・、あ、飛鳥時代だからエンジンなんてないのか。
まあ、いくら旧車王でも縄文や飛鳥時代は旧すぎなので、もっと近いところで、大正時代はいかがでしょう?
あ、コレはかなりいい線行ってますね、AIくんも。
近い過去ならあまり忘れてないようで。
こんなありそうでなさそうなグラフィックが、AIくんが最も得意とするところなんでしょう。
呪文は「大正時代 実用車 日本製 自動車 東京 モダン」です。
さて、それではもう少し現実的に。
AIくんもがんばって画像を生成してくれていますぞ。
作画は「DALL-E」くん。
呪文は「スズキ フロンテクーペ 70年代 スーパーカーみたい かっこいい」です。
過日鬼籍に入られたデザイナーで、世の中に直線なんてものはないと豪語されていたシド・ミードさんが、もしシトロエン2CVをデザインしていたならば・・・、という想定で、こんな呪文を唱えてみました。
こちらも作画は「DALL-E」くん。
「シド・ミード デザイン 2CV シトロエン」です。
うむー、どちらも納得できるかどうか?と言えば「そうかもね・・・」という感じになっちゃうのですが、それでもなんとなく「ソレっぽい」仕上がりになっているのは、さすがAI(笑)。
フロンテクーペはかっこいいなあ。
今度はシンプルに、呪文を「シトロエン 2CV」として、「img2img」くんに描いてもらいましょう・・・・って、なんとなくビートル混ざってる感が(笑)。
ドアの枚数とか構造の描写に、かなり悩んでいる様子が見えますね。
まあ、それとなく特徴を捉えていたりして、誰が見ても「2CV」というところはキッチリ押さえているようです。
というように、現状でのAIくんは、かなり無茶な要求にも真摯に、クソ真面目に応えてくれます。
そもそも、普段ワレワレが使っているコンピュータも「人間が指示したり要求したこと」以外はできませんよね。
言われたことを忠実に実行する。それが彼らの行動です。
なので、AIくんが「描いて」くれたイラスト的なものや写真的なモノも、プロンプト=呪文をできるだけ忠実に再現してくれたものだと思うのです。
それはネット上に溢れる情報=「ビッグデータ」から、必要なものを取り出して組み合わせたモノなので、ワレワレ人間が思いもよらないような、すなわち「意志」や「感情」を省いたデータの組み合わせが可能、というのがAIくんの強みでもあり、弱みなのかな、という気がします。
ともあれ、絵描きとしては、AIくんはなかなか面白い遊び相手だなと思っておりますので、これからもイロイロ一緒に遊んでみようと計略中であります。
いや、こいつ面白いっすよ(笑)。
最後に「現在日本で最強 旧車王 えらい イラスト」という呪文を唱えてみましょう。
応えてくれるのは「DALL-E」くんです。
どうですか?最強?
ありそうでなさそうな、ちょっと素敵なデザインではありますね。
[画像 / OpenAI「DALL-E」, Stable Diffusion「img2img」・ライター/まつばらあつし]