公式クラブ「Alfa Blue Team」訪問記

目次
1.■Alfa Blue Teamとは? 2.■Alfa Blue Team珠玉のコレクション 3.■代表・アレッサンドロさんに直撃インタビュー 4.■取材後記

イタリアで、いや欧州で、いやもしかしたらファンの間では世界的に有名かもしれない「Alfa Blue Team」のコレクションを見学に行くことができたので、今回はその様子をお届けしたいと思います。

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■Alfa Blue Teamとは?

「Alfa Blue Team」はアルファ ロメオ公認のクラブで、会員はイタリア国内だけにはとどまらず、世界中にいるそうです。

彼らはビンテージアルファ ロメオのコレクションを行っている団体で、廃車となったクルマを改修したり、あるいはオーナーから買い取るなどしてそれらを集めています。

まずは彼らのコレクションを紹介します。

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■Alfa Blue Team珠玉のコレクション

建物へ入ると、すぐに大量のアルファ ロメオたちが整然と並んでおり、私たちの到着を歓迎してくれているように感じました。

こちらの「BALDUZZI」のエンジンを搭載したGiulia TZは世界に数十台しか存在しないそうです。

大人気のジュリエッタ系も、所狭しと鎮座しています。

2階には主にGTシリーズが約20台展示されており、この景色は圧巻です。

この建物だけではなく、別の建物にもコレクションがあります。

そちらには、アルファ ロメオのトラックやバス、出店用の車輛等も展示されていました。

アルファ ロメオの大型バス、超レアだと思うのですが、皆さんは見たことがありますか?

なかも見せてもらいましたが、非常にシンプルでスタイリッシュな感じです。

バスもトラックも、スポーティーなアルファロメオの印象とは少し離れ、親近感が湧くような可愛らしい容貌です。

もちろん、この施設内には整備場も隣接しており、テクニシャンたちがここでクルマを一台一台丁寧に生き返らせています。

テクニシャンにも話を聞いてみると、「下手に修理されているクルマがよくある。そういったクルマの修理が実に大変なんだ」と少し不満を漏らしていましたが、彼らは皆生き生きとした目をしていました。

この仕事が好きで、アルファ愛が止まらない方たちなのだな、と感じました。

ここで生き返ったクルマたちは販売されたり、コレクションに追加されたりするようです。

■代表・アレッサンドロさんに直撃インタビュー

さて、現在のAlfa Blue Teamの代表のアレッサンドロさんがお忙しいなか、インタビューに応じてくれました。

アレッサンドロさんは創設者の息子さんです。

●クルマに同じ情熱を持つ日本人に対してどのようなイメージを持っていますか?

まずいえることは、イタリア国外のアルフィスティ*はより「アルフィスティ」なんです。例えばドイツやオランダ、ベルギーのアルフィスティたちはより本格的で、アルファ ロメオに対して非常に強い情熱があるように思います。一方で、アメリカや日本等のヨーロッパから離れた大陸では「遠い国のエキゾチックさ」をアルファロメオに感じ、それに向かって脚を伸ばしているという印象があります。
*Alfisti(アルフィスティ)=アルファロメオファンのことを指します。

●あなたにとってアルファ ロメオの魅了とは何ですか?

アルファ ロメオは歴史に名を刻むブランドです。
機械的、パフォーマンス的、スポーティなボディ、美的に完璧なブランドなのです。
それは、アルファロメオが1920年ごろに航空技術を世界的に牽引していたこと、過去にレース界で多くの勝利を収めてきた事実から明言できますよね。
また、ビンテージアルファロメオは、何千ユーロとする高額なものもあれば、少額で手にすることができるものもあるんです。
つまり、アルフィスティには手の届く範囲でビンテージのアルファロメオが存在しているということ。
あなたがお金持ちだろうとそうでなかろうと、あまり関係ないのです。

●ブルーチームではなぜビンテージアルファ ロメオのコレクションを始めたのですか?

1957年に私の叔父が、ジュリエッタを購入したのが始まりです。
それは私の父が5才のときの話で、彼はそのジュリエッタに恋に落ちるかのように愛したのです。
ときが経ち、父は高校の同級生で、アルファ ロメオに情熱を持った仲間どうしで集まるようになり、中古のアルファ ロメオを集めるようになりました。
父は18才のとき、彼にとって初の愛車となるジュリアSSを購入し、その後、廃車場で見つけたジュリエッタ スプリント ザガートを2台目のクルマとして迎え入れました。
その翌年、父がアルファ ロメオのコレクションをするために、このブルーチームを立ち上げたのです。
当初は、友人間でコレクションを愉しむほどでしたが、その活動の領域は広がっていき、父は友人と街に出て、アルファ ロメオを見つけては、「もしこのクルマを売りたかったら、私たちが買い取ります」と書いた札をクルマの窓に貼り付けるなど、地道な努力をしていたそうです。
コレクションの置き場所を確保するのに、1981年に元工場を買い取り、ブルーチームのコレクションを収納することにしました(それが現在のブルーチームの所在地)。
また、仲間たちで週に1回必ず集まり、会議をすることを鉄則とし、友が友を呼び、どんどん大きいコミュニティになっていきました。

●もっとも好きなアルファ ロメオはなんですか?

一番はないですね、それぞれにユニークなバックグラウンドがありますから。
ただ、強いて言うなら、父が一番初めに購入したジュリアSSは特別な思い入れはありますよ。
もともとは赤のボディだったのですが、このようにボディを青にしたのは、父は青が好きで、自分好みにクルマを改造したのです。
このクルマがブルーチームの始まりですし、名前の由来でもありますからね。

▲アレッサンドロさんとジュリアSS

●アレッサンドロさんは日本車についてどう思いますか?

アルファ ロメオは運転を愉しむために生まれたクルマで、一方、日本車はそれと真逆のコンセプトでヨーロッパに入ってきたと思います。
愉しむというよりかは、移動の道具として。
例えば効率が良い、ファミリーフレンドリーなデザインとかですよね。
日本車の欧州での販売は、アルファ ロメオの衰退にも影響しました。
日本車に搭載された新しい技術は人々にとって魅力的で、アルファ ロメオはスポーティなボディ、美しさを追求したデザインへと方向転換せざるを得なかったと思います。
そういえば、日本車が持つ効率の良さとファミリーフレンドリーさを取り入れるために、日産とコラボレーションをして開発された“アルファ ロメオ アルナ”というクルマがありますが、人々に受け入れてもらえず、売れなかったクルマの一つなんて話もあります。

●日本のアルフィスティたちに何かメッセージはありますか?

情熱を持ち続け、突き進んでほしい。応援しています!

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■取材後記

私はこの訪問を通して、「アンティークカー」それは過去のものだけれど、それに携わる方々は未来を見ている、そう感じました。

未来にアルファ ロメオの素晴らしさを継承していきたい、そのハートが先を向いているのでしょう。

そして今回、アルフィスティである父も日本から来伊し、コレクション場に同行したのですが、一切イタリア語を話せない父と、一切日本語を話せいないイタリア人たちが不思議と通じ合っていたのです。

同じ情熱を持つ者どうし、言葉が通じなくても、つながっている何かがあるんだな、そう強く感じました。

※「Alfa Blue Team」の訪問は普段20人以上の団体客しか受け入ていません。

余談:Alfa Blue Teamの駐車場でこんな標識を見つけました。

この駐車場にドイツ車を駐車したら、牽引するぞ、そんな標識です。

イタリア車とドイツ車の関係が、ユーモアによって表現されている面白い1枚でした。

[ライター・画像 / PINO]

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