働き方改革とか、ライフワークバランスなんて言葉を耳にするようになって久しい。
しかし、ホンの少し前まではそんな悠長なことはいってられなかった。
期限や納期までに間に合わない・・・。
どうすれば・・・。
四の五のいわず徹夜するしかなかったんである。
■かつて徹夜はあたりまえだった?
俗にいう「クリエイティブ」な業界に身を置いていた。
デザイナーとか、ライターとか、アカウントエグゼクティブとか、とにかく横文字の職業や肩書きが氾濫していた。
パソコンはもちろんMacだった。
別に格好をつけていたわけじゃない。
フォントやアプリケーションといった製作環境が印刷会社とほぼ連動していて、それがたまたまMacだったのだ。
スターバックスでMacBook Airを広げてWi-fiに接続して優雅に仕事・・・なんてつい最近のことだ。
それはさておき、一見すると華やかな世界に映るかもしれないが、基本的にはクライアントからの無理難題な修正と納期に追われる泥臭い世界だった。
納期に間に合わせるには・・・繰り返しになるが徹夜するしかないんである。
深夜、急な修正が入り、納期待ったなし。
印刷会社の担当営業さんと2人でクルマに乗り込み、帰宅寸前の女性デザイナーを拉致して会社まで連れ帰ったこともあった。
自宅が目の前というタイミング、しかも深夜に会社へ強制送還されて徹夜・・・。
気の毒としかいいようがない。
■徹夜のお供・・・それはサザンオールスターズだった
いま、8月4日の23:51。
会社員時代、徹夜を決め込んでコンビニでカップラーメンを買って食べていた時間帯とちょうど重なる。
昼間は打ち合わせやらメールの対応等々でなかなか仕事がはかどらないので、結構な頻度で徹夜をしていた。
社内に1人だとたまに心細くなるので、BGMをかけた。
いまのようにYouTubeで「仕事用BGMが選び放題」なんて時代じゃない。
「サザンオールスターズ茅ヶ崎ライブ2000(wowow独占)」を録画した映像がBGM代わりだった。
深夜0時にスタートして明け方5時手前くらいで終わるので、夜食を食べる頃にビデオを再生するとあとはノンストップでokだ。
茅ヶ崎ライブが終盤にさしかかるとそろそろ帰り自宅の準備に取り掛かる。
いったん帰宅して着替えてまた出社するためだ。
準備するための目安となる曲は「LOVE AFFAIR 〜秘密のデート」だった。
いまでもラジオなどでこの曲を聴くたびに「あ、そろそろ帰る準備しないとな」と考えてしまう。
■徹夜2日目深夜にスタミナラーメンを食べにいった末路
いまから20数年前、某自動車メーカーの取扱説明書の納期に追われていたとき、2日連続で徹夜となった。
2日目の深夜。疲労はピークに達していた。
当時の上司、そしていまでも外車王SOKENおよび旧車王ヒストリアでご一緒している北沢氏と3人で深夜営業のスタミナラーメンを食べに行こうという話になった。
社用車に乗り込み、上司がオススメするスタミナノリラーメンを食べた。
場所は四谷だったと思う。
ラーメン通を任ずる上司オススメのスタミナノリラーメン!
濃い目のスープとニンニクが効いて元気100倍。
これなら朝まで乗り切れそうだ。
一気にHP(ヒットポイント)を回復して会社に戻った。
・・・と、ここまではよかった。
空腹が満たされたことで、いつの間にか寝てしまったんである。
自分でもアホとしかいいようがない。
ハッと目が覚めると3時間くらいは寝ていたことに気づいた。
北沢さんも寝落ちしていたように思う。
スタミナラーメンの効果なのか、いちばん年上の上司だけは黙々と作業していた。
目が合い、ジロリとにらまれた。
なんてタフな人なんだ。
いえ、すいません。仕事します・・・。
■徹夜自慢は時代遅れ?
最近は業界を問わず徹夜を禁ずる企業が増えてきたようだ。
いい傾向だと思う。
徹夜したことによる弊害は予想以上に大きい。
徹夜したからといって、夜7時から翌朝7時まで12時間フル稼働なんて不可能に近い。
かくゆう自分も、独立してから1度も徹夜をしたことがない。
正確いうとできないんである。
途中で寝落ちしてしまうのだ。
おじさん世代は飲みの席で「徹夜自慢」の話題になると妙に盛りあがる。
と同時に、若い世代の方をドン引きさせてしまう。
徹夜自慢なんてもはや時代遅れ。
早く死語になってほしいと思う。
そういえば、20数年前の深夜に訪れたラーメン屋さん、調べてみたら東京都新宿区四谷にある「一心ラーメン」だった。
いまも変わらず営業しているようだ。
久しぶりにスタミナノリラーメン食べてみたくなった。
深夜のドライブの合間に・・・が理想だが、食べたあと寝落ちしない時間帯にしておこう・・・というと、いつ行けばよいんだ?
[画像/Adobe Stock ライター/松村透]