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当たり前をしっかりと実行してくれるお店のありがたさ!
祝、S15型シルビアお迎え23周年!
というわけで先日、11度目の車検を受けてきました。
現在、メンテナンスや車検、修理でお世話になっている自動車整備工場(以下、整備工場)は、私が都内に越してきてからのお付き合いになります。
料金は良心的、スタッフは経験豊富という、願ってもないお店。
この店舗とのご縁がなかったら、S15型シルビアを維持できていなかったかもしれません。
今回は今までにお付き合いしてきた整備工場の遍歴と、そこで学んだ事柄をお話ししたいと思います。
■実はとってもすごい、ディーラーの「おもてなし」営業
S15型シルビアは新車購入だったので、最初のかかりつけ整備工場はディーラーになります。
前愛車のS14型シルビアから10年以上、面倒をみてもらっていました。
当時はディーラーのみとのお付き合いだったので、「整備工場のサービスはディーラーレベルが基準」と思っていました。
今にして思えば、とんでもない勘違い。
連絡をせず訪れたにも関わらず、整備でも車検でも受け入れ、その場で代車まで出してくれる。
調子が悪くなればメカニックが出張し、事故を起こせば積載車で迎えにきてくれる。
信じられないくらいの至れり尽くせり、すごいよディーラーのおもてなし!
ただまぁ、今はお世話になっていませんし、そうなった理由だってもちろん、あります。
詳しくはのちほど記しますが、新車を早いサイクルで乗り換えるスタイルなら、そのままお付き合いを続けるのが正解なのではないでしょうか。
■「信頼していた」は甘え。客も自身で確認を行わないと
都内へ越してきて最初にお世話になったのは、人当たりのいいお兄さんが店長を務める、開店したての整備工場。
車検こそお世話になっていませんが、オイル交換といったメンテナンスとさまざまなパーツの交換をお願いしていました。
この頃は、実家近くのディーラーにもまだ顔を出しており、たまたま12ヶ月点検と帰省が重なっていたので持ち込んだところ、驚愕の事実が発覚。
先の整備工場で交換したパーツの固定に結束バンドが使用されており、そもそも取り付けの位置がおかしい。
そのおかげかブレーキホースはタイヤと接触していた痕があり、かなり危険な状態だった。その他、諸々……。
Oh……。あの店長、悪意でやったのではなく、頼まれれば何でも引き受けちゃう人で、純粋に経験不足から取り付け方がよく分からないまま対処していたのではと、今では推測しています。
取り付けに問題のあったパーツは純正品、もしくは関連子会社の製品。
ディーラーでも対処できるということなので、正常な状態にして欲しいと依頼。
かかった料金は勉強代として身銭を切りました。
この件から学んだのは「どんな些細なメンテナンスであっても、作業内容を説明してくれる整備工場を選ぶ」ということと、「ちゃんと自分でも作業後を確認する」ということ。
ちなみに上記の件からかれこれ10年以上経っていますが、整備工場は今もしっかりと営業しています。
きっと店長も経験を積まれ、当時の若気の至りを恥ずかしく思って……いてくれたら、いいなぁ。
■ディーラーのおもてなしは、そこで新車を購入するからこそ享受できるもの
S15型シルビアを購入してから15~6年経った頃、リアの足回りから異音がするようになりました。
実家から現在の住まいまで、クルマで4時間近くの距離。
交通費も片道で4000円近くかかり、必要なガソリン代を考えると、そうポンポンと行き来できるものではありません。
そこで今回は住まい近くのディーラーへと足を運び、診てもらいました。
出てきた見積もりは、ハブ回り交換で6桁弱。金額はともかく、地元のディーラーではあったメカニックによる「どのパーツに異変があり、どうやって修理するか」といった説明はなし。
受付のお姉さんに見積もり書を渡されて「はい、終わり」という対応に「歓迎されてなさ」を感じながら、お店をあとにします。
いや、まぁ、塩対応はしかたのないもの。
ディーラーは新車の販売ありきで、整備や修理は購入者に向けたアフターサービス&再び購入してもらうための投資。
よそで購入し、しかも販売を終了して10年以上経つ厄介なクルマを持ち込まれたら、そりゃ困るよね。
新車を買う気のなさも、ありありと伝わっていたでしょうし。
客がお店を選べるように、お店だって客を選べます。
ディーラーでの対応を“やんわりとした拒否”と受け取り、あらためて主治医を探すことにしました。
近所を見てまわったところ数件、旧車を受け入れている整備工場を見かけたのですが、さて、どこに持ち込むか……。
■口コミを信じて訪れたお店は、紛れもなく“整備士”が腕をふるうお店でした
ふと近隣の旧車サークルのメンバーさんが、ブログにて勧めていた車整備工場があったのを思い出します。
記憶に残っていたのも、なにかの縁。まずはこちらの整備工場に診てもらうことにしました。
この頃は「訪問前にまず連絡」という基本的なマナーすら知らなかったため、突然の訪問。
応対してくれたのは店長で、忙しいにも関わらず嫌な顔ひとつせずにS15型シルビアを診てくれ、出てきた見積もりは先のディーラーの半額ほど。
半額!? もちろん安いのは嬉しいけど、そこまで差があると、ちょっと怖いというか……。
聞けばハブ回り全部を交換する必要はなく、異常が出ている箇所だけを交換するから、この金額に収まるのだそう。
かつて旧車やヒストリックカーのレストアも手がけるディーラーを取材したとき、「今のディーラーはアッセンブリー交換士しかいない。
ちゃんとした整備士を育てるためにレストアをはじめた」という所長のコメントを思い出し、妙に合点がいったものでした。
店長の説明に納得し、正式に修理をお願い。
スケジュールが一杯の上、代車の空きもないということで、入庫は1週間先となりました。
整備工場の忙しさとともに、ディーラーの体制がどれほどすごいか、そしてディーラー慣れした自身のおごりを理解したものです。
修理が終わって引き取りに向かった際、写真付きで作業内容の説明を受け、整備士の「きちんとした仕事」がどういうものかを、客の立場で教わります。
不満どころか感謝しかないお店です。
その後も引き続き、整備や車検をお願いし、6~7年を経た今では「乗り続ける限りS15型シルビアの面倒をみるから、最後は引き取らせて」との冗談をもらう程度の付き合いになりました。
部品の供給終了や価格の高騰により、修理が出来なくなる日もくるとは思いますが、少なくとも私が諦めるまではS15型シルビアに乗り続けることができそうです。
お金持ちならいざ知らず、いち庶民の私たちが旧車を維持するには、良心的で旧車の整備に慣れた整備工場の存在が必要不可欠。
これから旧車を購入される方は、まめに先達に聞くなどして情報を集めることをお勧めします。
[画像・AdobeStock、ライター・撮影/糸井賢一]