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クルマの査定書は、売却や下取りの際に重要となる公式文書です。しかし、実際に査定書をどのように入手し、記載内容をどう理解すればよいのか悩む方も多いのではないでしょうか。
この記事では、クルマの査定書について、基本的な役割から入手方法、活用方法まで、プロの視点から詳しく解説します。20年以上の旧車買取実績を持つ専門家として、査定書に関する知識をお伝えします。
クルマの査定書(査定証)とは?
クルマの査定書は、専門家による査定結果を記録した書面です。売却や下取りの際の価格根拠となるだけでなく、クルマの状態を客観的に示す証明書として活用できます。
近年では、オンライン査定やAIを活用した査定システムなど、査定方法も多様化していますが、専門家による実地査定と正式な査定書の発行は、依然として中古車取引において重要な役割を果たしています。
買取業者では査定書(査定証)を発行していない
それでは、査定書はどこで入手できるのでしょうか。一般的なクルマの買取査定を行っている店舗や業者では発行してもらえません。
各買取業者は独自の査定基準やノウハウを持っており、これらは企業の重要な営業資産です。査定書を発行すると、これらの情報を外部に開示することにつながるため、多くの買取業者は査定額のみを提示する形を取っています。
クルマの査定書(査定証)の入手方法
クルマの査定書が必要な場合は、一般財団法人日本自動車査定協会(JAAI)に依頼します。JAAIは経済産業省と国土交通省の管理下にある公的な第三者機関で、中立的な立場から査定を行います。
査定書には下記の内容が記載されます。
・査定金額
・使用者の氏名
・車名
・初度登録年
・形状(乗用車など)
・通称名
・型式
・登録番号または車両番号
・車台番号
・走行キロ数
出典: 査定証・見本 /一般財団法人 日本自動車査定協会 東京都支所
ただし、注意すべき点として、JAAIの評価額は公正な市場価値を示すものであり、実際の買取価格とは異なる可能性があります。買取価格は、中古車市場の動向、各買取業者の経営方針や在庫状況などによって変動するためです。また、JAAIは査定のみを行う機関であり、実際の売買取引は行っていません。
クルマ査定書(査定証)の作成依頼手順
JAAIに査定書の作成を依頼する際には、下記の手順で進めます。
必要書類を揃える
査定書の作成を依頼する前に、下記の書類を準備します。
・自動車検査証(車検証)
・自賠責保険証明書
・整備手帳(保証書)
・取扱い説明書
基本は以上ですが、そのほかに必要なものがあるかどうか不安な場合は申込時にJAAIに確認しましょう。なお、各種書類を紛失していた場合は再発行が必要です。車検証紛失時には陸運局へ、自賠責保険証を失くした場合は保険会社へ、整備手帳が見つからないのであればディーラーや購入した販売店に確認してみてください。
JAAIへ査定申し込み
電話やWebサイトでJAAIに査定の予約を行います。この際、出張査定か持ち込み査定かを選択し、持ち込み査定の場合は、最寄りの査定場所と日時を調整します。
査定の実施・査定書(査定証)の発行
専門の査定士がクルマの状態を確認し、詳細な検査を行います。この際、実車が必要なのはもちろん、クルマの鍵を忘れずに持参しましょう。また、クルマの状態に関する質問に答える必要があります。
査定終了後、査定書が発行されるまでの期間は数日程度です。
クルマの査定書(査定証)作成の手数料
クルマの査定書の発行手数料は、依頼する機関や証明書の種類によって異なります。
<中型標板の自動車>
種類 |
車種 |
分類番号 |
料金(税込) |
普通車 |
普通自動車 |
1 |
標準車:9,900円 |
小型車 |
小型貨物車・軽貨物車 |
4 |
標準車:7,150円 |
特殊車 |
特種用途車 |
8 |
12,100円 |
<大型標板の自動車>
種類 |
車種 |
分類番号 |
料金(税込) |
普通車 |
普通貨物車(最大積載量5t以上) |
1 |
標準車:1万5,400円 |
特殊車 |
特種用途車 |
8 |
1万9,800円 |
出張査定を依頼する場合は、別途で高速料金や駐車料金がかかります。
クルマの査定書(査定証)を使う具体的なケース
査定書は、相続手続きでの価値証明のほか、買取業者が提示した査定額が適正かどうかを知るためなどに使用します。
ここでは、査定書の活用シーンを具体的に紹介します。
相続手続きでの価値証明
査定書は、相続時の財産評価において、クルマの価値を証明する資料として活用します。車の相続時、査定額が100万円以上なのか100万以下なのかで必要書類が変わるためです。査定の依頼は通常法定相続人が行います。
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売却や下取り価格のチェック
買取業者の査定額や、ディーラーでの下取り額が適正なのかを知るためにも活用できます。買取業者やディーラーはそれぞれの独自の基準をもとに査定を行っており、必ずしもJAAIが提示する額と一致するとは限りません。
JAAIは経済産業省と国土交通省の管理下にある第三者期間であり、公正な立場で査定額を算出します。そのため、買取業者やディーラーにクルマの状態に見合った価値を提示してもらえているのか不安な場合には、査定書の作成を依頼するとよいでしょう。
保険請求時の価値証明
事故によりクルマが損傷した場合の補償額を請求する際の証明書としても活用できます。事故に遭うと、もともとの状態からがどうしても価値が落ちます。価格が落ちたことを保険会社に伝えるために、査定書が必要です。
【まとめ】クルマの査定書について押さえておきたいポイント
クルマの査定書は、相続やクルマの価値を確かめるときなどに使う書面です。専門機関が公正な立場で査定額を提示するため、信憑性は大変高いといえます。
依頼するには事前の申込みが必要であり、いくつか書類を用意しなければなりません。査定書を作ってもらうには1万〜2万円程度の手数料がかかることにも留意しておきましょう。
査定書を取り寄せた後、売却を検討する際には、ぜひ旧車王にご相談ください。10年以上経過したクルマの査定に特化した専門家が、1台1台丁寧に“鑑定”を行ないます。20年以上の実績と、累計買取件数1万5,000件を超える経験を活かし、お客様に最適な査定サービスを提供しています。
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