愛車を連れ大海原の波に揺られて・・・カーフェリー旅のススメ

目次
1.■津軽海峡だけを渡るか、陸路の移動を徹底的に少なくするか? 2.■ぜんぜん遅くない!時速25ノットで「進み続ける」フェリーの速さ 3.■早い時間から「飲まねばならない!」のです 4.■船とシンクロ、洋上の名湯を楽しむ 5.■さっそく「またフェリーに乗りたい」

7月中旬、仕事で北海道へクルマで渡らねばならず、久しぶりにカーフェリーを利用しました。

新潟発小樽行きの新日本海フェリー、あくまで自走派の筆者も、納得の快適かつ効率的に動くことができました。

0泊3日の小樽行き。

「また行きたい」と思わせてくれたカーフェリーの旅の魅力、振り返ってみたいと思います。

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■津軽海峡だけを渡るか、陸路の移動を徹底的に少なくするか?

フェリーでの旅、いつ以来でしょうか。

子供の頃に有明埠頭からサマーキャンプで四国まで行ったことがありました。

それ以来かもしれません。

カーフェリーとなると、鹿児島の桜島フェリーや、九州に行くのに四国八幡浜から九州大分、あとはたまたまタイミングが良かったので予定外に静岡の清水から伊豆半島の土肥、伊勢湾フェリーの鳥羽から伊良湖岬などで利用したことも。

どれも「基本は自走するけど、たまには利用してみるか」という「選択の上での利用」でした。

しかし今回の北海道行きは、自動車で行くには「フェリーを利用するしかない」。

いわば不可避も利用となります。

さてどのルートで行こうか?

予定が決まった段階でいろいろと調べました。

青森まで自走して津軽海峡だけをフェリーで渡る方法もあります。

メジャーなのは大洗から苫小牧という航路。

いずれにしても、北海道に入るためには絶対にフェリーに乗らなければなりません。

今回の目的地は小樽。

津軽海峡だけを渡って、函館からとなるとかなり距離もあります。

苫小牧からもそこそこの距離。

自走する距離自体には抵抗はありませんでしたが、走り慣れていないルートで何か傷害が起きた場合のリスクヘッジとそれに付随する時間はあまり攻められないなあという判断が優勢になりました(いつものように前後の予定もものすごく空いていて、気ままに眠くなったら道に停めてお昼寝、という訳にはいかないスケジュールでした)。

いろいろと判断した結果、苫小牧着ではなく小樽にダイレクトに行くことにしました。

そうなると利用するのは「新日本海フェリー」新潟、舞鶴からの直行か、敦賀発秋田経由のルート(新潟か秋田発に決まっているだろと思われるかもしれませんが、前後の予定次第では舞鶴、敦賀発もあながち可能性0ではないので一応確認はしました)。

便が多いのと、発着時間的に正午に出発、早朝着というので新潟発小樽行きが使い勝手が良さそうで、これの予約を取ることにしました。

この最繁忙期ではないにせよ、夏の時期は比較的自動車での旅行者も多い時期。

さらに物流での利用もかなり盛ん。

燃油サーチャージなどもあり、結局筆者が利用した便の運賃は片道84,580円(今回は車両引き取りでしたので、積載車での旅、全長8メートル未満、乗員一名分運賃込)でした。

なお、帰りは往復割引が適用されて、1割引に。

値段を聞いたとき、確かに内心「うげげげ、やっぱりそれなりの値段だなあ」とは思いました。

でも色々試算すると、そうでもないことが分かったのです。

何しろ、新潟港昼発です。

早朝出て行っても、前日の夜出発して途中仮眠を取るにしても余裕です。

乗ったらあとは船に委ねるだけ。

到着は翌朝4時半。

夏の時期ですのでもう明るい時間。

ちょっとウロウロしたりできます。

旅行すると早くても昼過ぎに到着、翌朝も朝食を食べたら少し散策して帰るもよいものです。

その点「ゼロ泊」でも、クルマがあるのですから、下手な1泊2泊程度の旅行よりも密度が高いかもしれませんね。

今回は降りるや否や市内でウニマグロ丼を食べて、一度足を運んでみたい余市(ほぼ隣町)までドライブ。

午前中に引き取りを完了して、博物館を見学。

夕方の船に再び乗って帰ってきました。

ちなみに帰りの船は17時小樽発、新潟翌朝9時半着。

この距離の往復を3日でこなせるのはむしろかなり早いイメージ。

行動としては関西周辺までのスケジュール感に近いですね。

岡山以西ですと、もう1日2日余裕を持っておきたい感じさえします。

ひたすら陸路を船の時間を気にしながら走って、高速代(は場合によっては下道利用で浮かせるにしても)、燃料代だけでも片道3万円では収まりません。

どのみち津軽海峡だけ渡るにしても、このクラス、やはり3万円では乗れません。

その間ゆっくり休めること、その効率と宿代などを考えると、乗船した時点ですでに「経済的優位性」はあると感じたのでした。

道中を楽しみながら、という旅もいいでしょう。

しかし仕事が絡んだ効率的な移動という点でフェリーは相当に長けている!

乗る前から感じることができました。

早朝4時から開いている市場食堂はフェリー客目当て?なのでしょうか。

フェリーから降りたライダー中心に早くも店の周りに集結していました。

朝ごはんから2,400円はちょっとやりすぎたかな?と思いましたが、まあ「入道税」みたいなもの、必要経費ですね。

すっきりとした甘味、濃厚なウニの風味がずっと後まで残ります。

小樽でウニ、芸がないようですが、これは執拗に食べたくなる。

こんな「早起きは三文の得」標準装備な船旅。最高ですね。

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■ぜんぜん遅くない!時速25ノットで「進み続ける」フェリーの速さ

フェリーの旅、それは遅く時間がかかるというイメージがあるかもしれません。

私も、イメージで決めつけていましたが、これがそうでもないのです。

もしかすると飛行機の次、新幹線とはどちらが速いか。

ルートや移動の種類によってはそのくらいのスピードがある乗り物です。

船内には通貨ポイントの予定時刻が掲示されています。

積丹半島を回り込む航路ということもあって、秋田沖で新潟からだと三分の一。

全航路の半分ほどが北海道の沖合ということになります。

北海道、相当大きい、40代になってこんなことに驚かされるとはと思いました。

確かに最高速度で比較すれば、自動車も時速100キロほど出ます。

大型トラックでも時速90キロほどで高速道路は移動できます。

フェリーの速度は25ノット(時速約45キロ)です。

これだけを比較するととても遅く感じますが、これは巡航速度、出発したら洋上で停まることなく進み続けるのです。

自動車の移動、振り返ってみると分かりますが、大都市圏ではせいぜい20キロから30キロほどしか1時間で移動できません。

地方の郊外のバイパスなど信号停車や渋滞がない場所では50キロ近く移動できる場合もあります、高速道路なら渋滞がなければもう少し進むこともあるでしょう。

しかし、人間が運転している以上、緊張感を保ち続ける時間には限界があります。

16時間以上もの間時速45キロを維持できるフェリーは相当に早いなあと改めて感心してしまいました。

そしてその間、買い溜めておいた本を読んだり、昼寝をしたり、洋上で風に当たる。

十分に休息を取ることができます。

ロングドライブで、途中で寄り道、以外の価値はフェリーを利用することで大幅にハードルが下がるなと感じたのでした。

洋上からは虹も拝めました。

日本の気候、山が影響していることも少なくなく、陸上は雨でも海上はいい天気ということもあるのでしょう。

もちろん逆も然りですが。

最近ゆっくりと月を見たことなど、いつ以来でしょうか?

狙ったわけではないのですが、この晩は満月。

雲が多かったものの、洋上のお月見も、夏ならではかもしれません。

■早い時間から「飲まねばならない!」のです

クルマ旅とお酒の関係。

好きな方は我慢を強いられることもあるでしょう。

しかしフェリーに乗ったらさっさと明るいうちから飲みましょう。

新日本海フェリー就航地が舞鶴、敦賀、新潟、秋田、小樽。もしかするとお酒好きな方は地名を見ただけでその地の地酒、ワイン、など銘酒の数々に思いを馳せる方もいるのではないでしょうか。

クルマを船に積み込んで出港早々是非とも明るい時間から飲み出したいところです。

むしろ飲むなら早めにというべきかもしれません。

フェリーに乗ったら、どのみち航行中は車両甲板には立ち入ることができません。

ドライバーの人はお酒を我慢する意味がないからです。

目の前には大海原が広がります。明るい時間から飲むお酒はどうして美味しいのでしょうか。さっさと飲み始めましょう。

さっさと飲み始めて早めに休んで、翌朝早くに目的地につきますので、むしろ夜遅くまで飲むのは禁忌です。

ちなみに、ターミナルにも掲示がありますが、クルマをフェリーに積み込むまでは飲酒は禁止です。

オーシャンビューでゆっくりできて(するしかなくて)心身の休息にもなる船旅、しかもその間人間は休めても、しっかり移動できている。

レジャーはもちろんビジネスユース(物流系以外でも)もっと見直されていいと思います。

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■船とシンクロ、洋上の名湯を楽しむ

クルマで出かけては、温泉に寄るのも好きな筆者、このフェリーには浴室もあって、この風呂、とても気に入ってしまいました。

温泉でもないですし、水は潤沢にある日本国内の一晩程度の航海が主流ですので造水器(海水から真水を作る機械)もないでしょう。

普通のお風呂ではあるのですが、これがなかなかいいお風呂でした。

高層階にあり、窓からの景色(ひたすら海だけですが)を見ながらの入浴はそれだけで、心や気持ちの淀みも綺麗に洋上で洗い流せてしまうかのうようです。

そして露天風呂もあって、もちろん航行中の船舶の中の浴室、入浴中に海に転落してもいけませんし、洋上かなり風も強いですから、防護するためのガラスの仕切りは設けられていました。

それでも、波の音、洋上の風、そして何より、船に同期していい具合にピッチングするさまなど、フェリーの浴室ならではの醍醐味が存分に楽しめるのでした。

よく温まり、ゆったり寝れば、翌日も早朝からしっかり活動できるでしょう。

■さっそく「またフェリーに乗りたい」

今回の旅は小樽から引き上げてくるだけの用でしたので、0泊3日ですぐに戻ってきてしまいました。

それでも、1泊2日の予定でもああはいかないかもというくらいの充実さはあったと思います。

自由に動けるのがクルマの魅力ですが、長距離ドライブで疲れてしまっては元も子もありません。

コスト的にも時間的にも自走してそこを走ったのとあまり変わらず、さらフェリーを利用しなければ味わえない船旅ならではの洋上の思い出も楽しめる。

なかなかお得な旅なのではないでしょうか。

ひたすら自分でハンドルを握り、アクセルを踏んで走るのが好きな筆者も、大船に委ね、是非また出かけてみたい、と思わされたカーフェリーの旅でした。

特に道東方面、0泊3日や1泊4日程度でも色々出かけられるのではないか。

こんなことならプライベートでもまた出かけてみたいと思い、さっそく出かける理由何かないか探しているほどです。

幼い頃、伊豆七島や、四国に船旅をしたことがあります。

あのときはもっとうるさく、もっと揺れた記憶があります。

もちろん天候の影響がありますが。

思ったよりずっと静かで快適。

大いにのんびりできるて休息しながら、ガッツリ移動もできている。夜行バスに乗ると思います。

自走して仮眠して目覚めると、寝ている間は止まっているわけですから進んでいません。

しかし、目覚めればバスタ。

運転手さんがいるってなんと素敵なんだと思うのです。

けれどもそれは人間だけしか運べません。

しかしフェリーは、普段「自走のクルマ旅は夜行バスのようにはいかない」と思っているクルマごと運んでくれるのです。

某猫型ロボットの出してくれる「どこでもドア」はたちまち移動できますが味気ないですが、旅情もある。

「フェリー、なんて素敵なんだ!」と思ってしまいました。

現代人に必要なことは、距離に負けない物流と同時に、ものが移動するくらいの時間、日常を振り返り、心静かに過ごす。

大海原の波に揺られて過ごす時間、年に1日かそこらは取らないといけない。

そんな思いになりました。

今普段のアシはS660、軽自動車です。

クルマの大きさに依存するフェリーの料金。

なんのための軽か。

是非ともS660でフェリー旅、出直したいと思いました。

港に着き下船が始まる前。いろんな気持ちで船に乗っているのだと思います。

最近ではこういう少なくなったかもしれませんが「旅情の色々」が集う場所。

車両甲板もまた独特の雰囲気がいいものです。

早々仕事も終わり、帰りのフェリーまでの間、小樽市総合博物館を見学。

北海道の鉄道が充実。

小樽の栄えた時代の移ろい、雪との戦い、現存する最古の機関車など、日本の鉄道史上欠かせない展示が数多く、なかなかの見応え。

風雪と除雪剤などで傷んだボディも生々しい急行型気動車キハ27初め懐かしい車体の数々でした。

往年の北海道の鉄道名車の脇にガレージが設けられ、石原裕次郎記念館から移管されたというロールス・ロイス。

アイアンバンパーが端正なシルバーシャドウⅠ

絶対的に軽くはない車重を支えるためにジャッキアップされていました。

お昼はやはり寿司。

八角の握りは初めての体験。

柔らかくあまりこれ見よがしではない品のいい食感と香り。

鯛などとは違った面白い体験となりました。

早朝出発したその船で夕方本州へ帰ります。

小樽市内に引き取りに行き、余市までドライアブして、小樽市総合博物館を見学して、ダメおしの寿司ランチをしても、まだ余裕ある一日。

幼い頃にスキーで家族旅行に来た時に駆け足で寄って以来の小樽。

実質初めてという今回は十分すぎる満足度でした。

車両の大きさと重量をうまく組み合わせて積み込む様子もなかなか興味深いもの。

今回はサーブ900の引き取りでしたが、帰りは一番最後の乗船案内され、この位置にバックで駐車。

フェリーでのバックでの駐車は初めての体験でした。

[ライター・画像/中込健太郎]

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