クルマの名義変更をすると、基本的に贈与税がかかります。ただし、誰から誰に名義変更をしたのかや、贈与の目的、用途などによって異なります。
今回は、クルマを名義変更した際に贈与税がかかるケースとかからないケース、計算方法などについて詳しく解説します。
クルマの名義変更で贈与税がかかるケース
クルマにかかる贈与税は、第三者へ車を譲り渡したときだけでなく、親から子にクルマを譲渡したときや夫婦間で譲渡したときにも発生する場合があります。ここからは、親子間と夫婦間における車の贈与税について解説します。
親子間
クルマを譲渡したり買い渡したりしたときは、基本的に贈与税が発生します。高級モデルのように嗜好性や趣味性が高い車などの場合には、贈与税がかかる可能性が高いです。
夫婦間
クルマを譲渡したり買い渡したりすると、夫婦間であっても贈与税が発生することがあります。セカンドカーとして嗜好性や趣味性が高いクルマなどを購入した場合には、贈与税が発生する可能性が高いです。
クルマの名義変更で贈与税がかからないケース
ここからは贈与税が発生しない場合について紹介します。
親子間
日常生活においてクルマを使用する場合、贈与税は発生しません。たとえば、子が大学に進学して、名義変更したクルマで通学する場合です。
扶養義務者からの生活費や教育費に充てるための財産は、基本的に贈与税がかかりません。これは、生活費や教育費に贈与税をかけると、経済的な負担から扶養義務を果たせない可能性があるためです。
参考:国税庁「扶養義務者から生活費または教育費の贈与を受けましたが、贈与税の課税対象となりますか。」
ただし、名義変更してすぐにクルマを売却し、そのお金を預金や投資に充てた場合は贈与税が発生することに注意が必要です。
夫婦間
夫婦間でも扶養義務があるため、親子間と同様に日常生活においてクルマを使用する場合は、贈与税が発生しません。たとえば、妻が通勤や買い物でクルマを使用する場合です。
ただし、高級車など趣味性の高いクルマを贈与した場合は嗜好品として判断され、贈与税がかかるケースもあります。「知らない間に贈与税が発生していた」という状況を避けるためにも、名義変更する前に専門家へ相談するとよいでしょう。
クルマにかかる贈与税の計算方法
クルマにかかる贈与税の計算方法は、次のとおりです。
「基礎控除後の課税価格(計算式:財産の額-110万円)×税率−控除額=税額」
基礎控除後の課税価格は、車の金額から基礎控除額110万円を引いた額です。
税率と控除額は、国税庁ホームページに記載されている「贈与税の速算表」を参照します。
贈与税の速算表には、「一般贈与財産用」と「特例贈与財産用」の2パターンがあり、どちらに該当するかは誰から誰に贈与されたのかという状況によって異なります。
■「一般贈与財産用」と「特例贈与財産用」の違い
・一般贈与財産用:特別贈与以外
・特例贈与財産用:父母や祖父母などから子や孫に贈与された場合
※贈与された人が贈与を受けた年の1月1日において18歳(令和4年3月31日以前の贈与については20歳)以上の場合
■基礎控除後の課税価格と税率と控除額
【贈与税の速算表:一般贈与財産用】
基礎控除後の課税価格 | 一般税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | なし |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
3,000万円超 | 55% | 400万円 |
【贈与税の速算表:特例贈与財産用】
基礎控除後の課税価格 | 特別税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | なし |
400万円以下 | 15% | 10万円 |
600万円以下 | 20% | 30万円 |
1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
3,000万円以下 | 45% | 265万円 |
4,500万円以下 | 50% | 415万円 |
4,500万円超 | 55% | 640万円 |
クルマの金額と上記の計算式と速算表を使って贈与税を計算します。
クルマの評価額の算出方法
クルマは「一般動産」に該当し、売買実例評価をもとに評価額を算出できます。動産とは、土地や定着物である不動産以外のことで、一般動産は機械や運搬具などような商品や美術品以外のものが該当します。
売買実績評価をもとに評価額を算出する際は、中古車市場の中から同じ車種やグレードの車輌本体価格を参考にします。車輌本体価格は、中古車販売または買取業者のホームページで確認が可能です。
ただし、車輌本体価格には販売店の利益が10〜20%程度含まれているため、下記のように算出しなければなりません。
例:150万(車輌本体価格)×80%(利益の差額)=120万円
売買実績評価が不明な場合は、業者に査定を依頼してクルマの実際の価値を判断するか、減価償却法で評価額を算出する方法もあります。
減価償却法とは、所有している資産を法定の耐用年数に従って算出する方法のことで「普通車 6年」「軽自動車 4年」と定められています。中古車の場合は、新車とは異なり既に使用されているため、下記のように使用期間を考慮して耐久年数を計算しなければなりません。
・(法定耐用年数-経過年数)+(経過年数×0.2)
なお、減価償却法は耐用年数の算出のほかに償却費も算出する必要があります。計算方法が複雑なため、専門家に算出してもらうとよいでしょう。
クルマの贈与税をかけない方法
ここからは、クルマの贈与税をかけない方法について紹介します。
名義変更しない
クルマを貸す場合は名義変更しないため、贈与税はかかりません。
ただし、任意保険の契約内容次第では、保険が適用されないことに注意が必要です。たとえば、親から子へクルマを貸したのにもかかわらず、保険の適用範囲が所有者や配偶者に限定されている場合です。仮に子どもが事故を起こすと保険金が支払われません。
クルマの貸し借りを行う際は、保険の適用範囲を確認し、必要に応じて変更しましょう。
評価額が110万円以下になってから贈与する
贈与税は、年間110万円を超える贈与に対して課税されます。そのため、クルマの評価額が110万円以下の場合は贈与税がかかりません。
新車や高額車の場合、評価額が高いため贈与税の対象となることがほとんどですが、基本的にクルマの価格は年月が経過するほど安くなるため、市場価値が110万円以下になった時点で贈与すれば、贈与税の支払いを避けることが可能です。
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