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手間の問題から相続手続きと同時に一時抹消登録をしたい方もいるでしょう。「移転抹消登録」を行えば、相続と同時に一時抹消登録ができます。この記事では、相続と同時に一時抹消登録する方法や必要書類などを紹介します。
一時抹消登録とは
一時抹消登録とは、車の登録を一時的に解除し、一旦保管しておく際に行われる手続きのことです。廃車にするわけではないため、再登録すれば公道を走行できます。ただし、車検の満了を迎えている場合は再度取得してからでないと、再登録できません。
また、一時抹消登録のほかに、車を解体して廃車にする際に行う「永久抹消登録」もあります。一時抹消登録のように再度公道を走行できません。一時抹消登録と永久抹消登録はそれぞれ異なる手続きのため、混同しないよう注意しましょう。
相続と一時抹消登録を同時に行う方法
通常は、一旦相続人に名義変更してから一時抹消登録を行います。ただし「移転抹消登録」をすれば、相続人への名義変更と一時抹消登録を同時に手続きできます。移転抹消登録とは、名義変更をしつつ一時抹消登録を行うことです。
続いて、相続人への名義変更と一時抹消登録を同時に行う「移転抹消登録」の方法について紹介します。
必要書類
相続する車の移転抹消登録をするには、以下の書類が必要です。
1.被相続人の戸籍謄本※死亡した事実や相続人全員を確認できるもの
2.遺産分割協議書※相続人が複数いる場合のみ
3.相続人の印鑑証明書
4.相続人の実印※代行を依頼する場合は委任状に実印を押印
5.車検証
6.ナンバープレート前後2枚
7.OCR申請書(第1号様式)※名義変更用
8.OCR申請書(第3号様式の2)※一時抹消登録用
9.手数料納付書
10.自動車税申告書
7〜10は陸運局でも入手できるため、手続き当日に記入しても問題ありません。また、必要書類に漏れがあった場合は手続きが受理されないため、不備がないか確認しておきましょう。
手続きの流れ
移転抹消登録を行う際の手続きの流れは、以下のとおりです。
1.車検証で所有者が被相続人になっているかを確認する
2.相続手続きと一時抹消登録の必要書類を揃える
3.管轄の陸運局の窓口で印紙を購入し「手数料納付書」に貼り付ける
4.抹消登録を実施している窓口に必要書類を提出する
5.「登録識別情報通知書」を発行してもらう
6.陸運局内に隣接している「自動車税事務所」で税申告をする
7.ナンバーセンターにナンバープレートを返却する
手続きする前は、まず所有者が被相続人になっているのかを確認しましょう。被相続人が車をローンで購入していると、所有者はローン会社になっているケースもあります。所有者がローン会社になっている場合は、残債を完済をして被相続人名義に変更してからでないと、移転抹消登録ができません。
ローン会社に車を相続する旨を伝えて、被相続人名義へ変更する「所有権解除」を行いましょう。
また「登録情報識別情報通知書」とは、普通車の一時抹消登録をした際に交付される書類のことです。再登録や廃車する際に必要なため、紛失しないよう大切に保管しておきましょう。
なお、ナンバープレートを返却する際は、ネジの上に被せてある「封印」も外します。封印はアルミ状でできており、東京都なら「東」埼玉県であれば「埼」と刻印されています。以下の順に沿えばネジの溝を潰さずに外せるため、ナンバープレートを返却する際の参考にしてください。
1.封印の溝にマイナスドライバーを差し込む
2.封印をめくる
3.プラスドライバーでネジを回す
一時抹消登録を選択するケース
一時抹消登録は、車を形見として残しておきたいときや、価値が高くなってから売りたい場合などに行います。続いて、一時抹消登録を選択するケースを具体的に紹介します。
車には乗らないが形見として残したい
車には乗らないが形見として残しておきたい場合は、一時抹消登録するとよいでしょう。ただし、長期間使用せずに保管すると車は劣化し続けるため、定期的な手入れが必要です。例えば、湿気で車内にカビが生えないよう、定期的に換気や掃除をしなければなりません。
また、車を長期間放置するとバッテリーが上がってしまうため、エンジンがかからなくなります。いざ「売却しよう」もしくは「車検を取得して乗ろう」と思った際に、レッカーを手配しなければ買取店や整備工場まで車を搬送できません。車に関する知識がある場合は、バッテリーを外して可能な限り劣化が進まないよう、対策しておくとよいでしょう。
なお、2017年より「記念所蔵容認」の制度が設けられたため、被相続人が乗っていた車のナンバープレートを形見として残せます。一部だけでも形見として残しておきたい方は、参考にしてみてください。
価値が高くなってから売りたい
相続する車の価値が高くなってから売りたい場合も、一時抹消登録するとよいでしょう。車はプレミア価格がつくケースがあるため、相続してすぐに売却するよりも、高く手放せる可能性があります。なかでも流通台数が少ない特別仕様車や限定車は、プレミアがつくと新車購入時より高く売却できるでしょう。
ただし、全ての車種にプレミアがつくわけではないため、価値があがらず高く売却できないケースがある点に注意してください。高く売却するには、相続する車の価値が今後上がるかどうかや、中古車市場の動向を調べておく必要があります。自分で調べてもわからない場合は、プレミア価格がついた車を取り扱っている店舗や、旧車専門の業者に相談してみましょう。
相続と同時に一時抹消登録をするメリット
相続と同時に一時抹消登録をすると、自動車税や自賠責保険料の還付を受けられるなどのメリットがあります。続いて、相続と同時に一時抹消登録をするメリットを紹介します。
税金がかからない
相続と同時に一時抹消登録すると、本来であれば毎年支払う「自動車税」の納税義務がなくなります。また、自動車税の未経過分がある場合は、還付金として返戻されます。例えば8月に一時抹消登録した場合、翌月9月から翌年3月までの税金が返戻される仕組みです。
還付を受けるには、一時抹消登録してから1〜2ヶ月程度で自宅に送付される「還付通知書」を指定の金融機関の窓口に提出します。金融機関の窓口に出向く際は、身分証明書と印鑑も持参しましょう。
なお、一時抹消登録している期間は、車検を取得する必要がないため「自動車重量税」の支払い義務もありません。
自賠責保険料の還付を受けられる可能性がある
相続と同時に一時抹消登録すると、自動車税のほかに自賠責保険料の還付を受けられる可能性があります。残りの保険期間が「1ヶ月以上」ある場合に、自賠責保険料の還付を受けることが可能です。
ただし、自動車税のように自動的に還付申請が行われるわけではありません。還付を受けるには、加入している保険会社に連絡して、還付申請を行う必要があります。還付申請する際は、一時抹消登録時に発行された「登録情報識別情報通知書」が必要なため、準備しておきましょう。
再登録が可能
相続と同時に一時抹消登録をすると再登録が可能なため、公道を走行できる状態に戻せます。つまり、後に免許を取得した親族へ譲渡したり、お金が必要になった際に自由に売却したりできます。相続時は不要でも、一時抹消登録をしておけば今後車が必要になった場合に活用できるでしょう。
相続と同時に一時抹消登録をするデメリット
相続と同時に一時抹消登録をしても、車に関する全ての税金の還付を受けられるわけではありません。また、車を使用していないのに、駐車場代がかかるデメリットもあります。続いて、相続と同時に一時抹消登録をするデメリットを紹介します。
車の保管場所が必要
相続と同時に一時抹消登録をするには、車の保管場所が必要なため、場合によっては駐車場代が発生します。戸建ての住宅で、広いガレージや庭があれば駐車場代は不要です。しかし、マンションや賃貸に住んでいる場合は、車の保管場所として駐車場を契約する必要があるため、駐車場代が毎月発生します。車を保管するには、ある程度のコストがかかることを考慮したうえで、一時抹消登録をしましょう。
なお、都心は地方より駐車場代が高く設定されているため、東京都や大阪府に住んでいる場合は、さらに高いコストがかかります。
自動車重量税の還付を受けられない
相続と同時に一時抹消登録をしても、自動車重量税の還付は受けられません。自動車重量税の還付を受けるには「永久抹消登録」をする必要があります。一時抹消登録をしたとはいえ、車に関しての全ての税金が還付されるわけではないことを把握しておきましょう。
まとめ
車の抹消登録には、一時的に車の登録を解除する「一時抹消登録」と、廃車時に行う「永久抹消登録」の2種類があります。永久抹消登録してしまうと、再登録が不可能なため、二度と公道を走行できないことを把握しておきましょう。
また「移転抹消登録」をすれば、相続手続きの際の名義変更と一時抹消登録を同時に行えます。手続きする際は、相続手続きと一時抹消登録に必要な書類を陸運局に提出します。陸運局に再度出向く必要がないため、相続後に一時抹消登録を予定している場合は、同時に手続きしましょう。
なお、一時抹消登録には税金の納税義務がなくなるほか、未経過分の自動車税と自賠責保険料の還付を受けられるメリットがあります。ただし、マンションや賃貸に住んでいる場合は駐車場代が発生するため、メリットとデメリットを考慮したうえで、相続する車を一時抹消登録しましょう。
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