雪が降る環境の中で車が立ち往生したり車内で待機したりするときは、一酸化炭素中毒に注意しなければなりません。今回は、車が雪で埋まったり、マフラーが塞がれたりする危険性を解説するとともに、対策を紹介します。
車のマフラーに雪が詰まる問題点
車のマフラーが雪で埋まると、一酸化炭素中毒になる恐れがあります。
一酸化炭素とは、炭素を含む物質が酸素不足の環境で不完全燃焼を起こした際に発生する気体です。一酸化炭素は、酸素を全身に運ぶ役割を果たすヘモグロビンの働きを阻害することで、全身に酸素が十分に届かなくなります。その結果、酸素不足になった状態を一酸化炭素中毒といいます。
一酸化炭素は、無臭かつ無色のため、車内に充満していても気づくことは困難です。気づいたときには頭痛や吐き気、眠気、判断力の低下などの症状が現れ、そのまま放置すると命を落とすおそれもあります。
車のマフラー周辺が雪で塞がれたり埋まったりすると、マフラーから出た排出ガスが車の下側を通り、エアコンの空気を取り入れるダクトから室内に侵入します。この排出ガスによって一酸化炭素中毒になってしまうのです。
一酸化炭素中毒の症状
一酸化炭素中毒の症状は、一酸化炭素の濃度によって異なります。濃度別の一酸化炭素中毒の症状は次のとおりです。
・200ppm:軽度の頭痛や吐き気がする濃度
・800ppm:頭痛やめまい、吐き気、失神などを引き起こす濃度
・1,000ppm:致死する濃度
一酸化炭素中毒になりやすい状況
一酸化炭素中毒は、一酸化炭素の濃度が高くなることによって起こります。そのため、一酸化炭素の濃度を上げないようにすることが一酸化炭素中毒にならないようにするためのポイントです。
ここでは、JAFのテスト結果を元に、一酸化炭素中毒になりやすい状況を解説します。
まず、最も危険な状況は、車が雪に埋まっている状態のままにしておくことです。窓を開けず、マフラー付近の雪を取り除かずにエンジンをかけたままにすると、22分ほどで一酸化炭素の濃度が1,000ppmに達します。
次に、窓を少し(5cmほど)空けた状態です。窓を開けることで、一酸化炭素の濃度が急激に高くなることはありませんが、40分ほど経過すると800ppm程度まで上昇します。
一酸化炭素の濃度上昇を抑えられるのは、マフラー付近の雪を取り除いた場合です。マフラー付近の雪を取り除くと、体調不良になるほどの濃度まで上昇することはありません。
このようなテスト結果からも、車のマフラー付近の雪をそのまま放置するのは危険だといえるでしょう。
車のマフラーに詰まる雪の対策法
車のマフラー付近が雪で埋まる可能性があるときは、どのような対策をすればよいのでしょうか。ここからは、雪で車のマフラー付近が埋まったり塞がったりしないための対策を紹介します。
乗車前にマフラーをチェックする
車の中で仮眠したり天候回復を待ったりするときは、車に乗る前にマフラーまわりに雪が積もっていないか確認しましょう。
また、マフラーの中に雪が詰まっていないかということも合わせて確認してください。乗車前に確認しておけば、一酸化炭素が車内に充満するのを防ぐことができます。
除雪する
マフラーまわりに雪が積もっていたり、マフラーの中に雪が詰まっていたりするときは、除雪してから車に乗りましょう。除雪するときは、スコップや手袋があると便利です。手袋は、水を通さないタイプがおすすめです。
また、雪は時間の経過とともに再び積もるため、雪が降り続いている場合には定期的に除雪をしてください。
窓を定期的に開ける
窓を開けておくのも一酸化炭素中毒を防ぐのに効果的です。ただし、一酸化炭素の濃度の上昇を抑えられるだけであることを忘れないようにしておいてください。
車内で寝るときはエンジンを切る
車内で長時間にわたり待機するときや仮眠をするときは、エンジンを切りましょう。エンジンを切ることで排出ガスが車内に循環するのを防止できます。
ただし、エンジンを切ると暖房が使えなくなるため、しっかり防寒する必要があります。防寒する際には、上着や毛布だけでなく、使い捨てカイロや充電式のカイロも合わせて使うとよいでしょう。
まとめ
雪に埋もれた車は、排出ガスによって引き起こされる一酸化炭素中毒の原因となります。「短時間なら」や「少しだけ仮眠する」といった場面でも油断は禁物です。短い時間の休憩や天候回復の待ち時間などでも、車のマフラー周辺の雪を取り除いてから、車内で待機するようにしましょう。
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