クルマのリサイクル料金に消費税はかかる?課税されるタイミングや仕訳方法を解説

目次
1.クルマのリサイクル券の消費税の扱い 2.リサイクル券の消費税の仕訳方法 3.リサイクル券の消費税の仕入税額控除 4.まとめ

新車を購入するときは、将来的にクルマを解体する際の費用に充てられる「リサイクル料金」を預託(預けて任せること)する必要があります。リサイクル券は、リサイクル料金が預託されていることを証明する書類です。

個人事業主や法人が事業に利用するクルマを所有する場合、リサイクル料金に関する消費税の取扱いをよく理解し、正しく会計処理をする必要があります。

この記事では、リサイクル料金に消費税が課税されるケースや経理処理の方法などについて詳しく解説します。

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クルマのリサイクル券の消費税の扱い

クルマのリサイクル券の消費税の扱い

消費税は、商品の販売やサービスの提供などに課税される税金です。消費税を支払うのは商品を買った人やサービスを利用した人ですが、納税するのは課税事業者となっている個人や法人です。

リサイクル料金の消費税の取り扱いは、クルマの購入時、売却時、廃車時で異なります。以下で詳しく解説します。

購入時の消費税

新車を購入する際に支払うリサイクル料金には、消費税が課税される項目と不課税となる項目があります。詳細は以下のとおりです。

 

内訳と料金の用途

不課税

・シュレッダーダスト料金:クルマの解体後に残る樹脂やゴムなどの処理
・エアバッグ類料金:エアバッグ類の回収・処理
・フロン類料金:カーエアコン用冷媒の回収・処理
・情報管理料金:使用済自動車の処理状況の電子管理

課税対象

・資金管理料金:リサイクル料金の収納・管理・運用

消費税は、原則として商品の販売やサービスの提供など役務提供を受けたときに納める税金です。

シュレッダーダスト料金、エアバッグ類料金、フロン類料金、情報管理料金は、クルマの廃車という役務提供を受けるために支払う費用です。これらは自動車リサイクル促進センターに預託され、廃車になるまで厳重に管理されるため「リサイクル預託金」と呼ばれます。

購入時点でのリサイクル預託金の支払いは、消費税の不課税取引にあたります。不課税取引とは、消費税の課税対象とはみなされない取引のことです。

一方、資金管理料金は、リサイクル預託金を管理するための手数料であり、クルマの購入時点で役務提供を受けているため、支払ったタイミングで消費税が課税されます。

売却時の消費税

クルマを売却するときは、車輌本体と合わせてリサイクル券を譲渡し、リサイクル預託金を買い手に引き継ぎます。この場合、売り手はリサイクル料金分が上乗せされた売却代金を受け取るのが一般的です。ただし、業者によって対応は異なるため確認が必要です。

売り手が受け取ったリサイクル料金相当額は「金銭債権の譲渡」の対価とみなされます。金銭債権の譲渡は、非課税取引に該当するため、受け取ったリサイクル料金相当額には消費税が課税されません。

廃車時の消費税

クルマを廃車にする際は、リサイクル料金の支払いに対する役務提供を受けることになるため、リサイクル預託金に消費税が課税されます。

消費税の税率は、クルマを購入したときではなく廃車された時点のものが適用されます。

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リサイクル券の消費税の仕訳方法

個人事業主や法人が事業に使用するクルマを購入・売却したときや廃車にするときは、リサイクル料金を適切に会計処理する必要があります。以下では、リサイクル料金の仕訳方法を詳しく解説します。

購入時の仕訳

クルマを購入するときに支払ったリサイクル料金のうち、資金管理料金は支払手数料として経費に計上し、残りはリサイクル預託金(または長期前払費用)として資産計上します。

たとえば、シュレッダーダスト料金、エアバッグ類料金、フロン類料金が計1万6,000円としましょう。2025年4月時点の情報管理料金は130円、資金管理料金は290円※のため、リサイクル料金を現金で支払った場合の仕訳方法は以下のとおりです。

※使用済自動車引取時は410円

借方

 

貸方

 

リサイクル預託金

16,130

現金

16,420

支払手数料

290

 

 

出典:自動車リサイクル促進センター ホームページ (https://www.jarc.or.jp/automobile/fee/feeindex/)

売却時の仕訳

クルマを売却する際に買い手からリサイクル料金に相当する金額を受け取るときは、リサイクル預託金(または長期前払費用)として資産計上していた分を振り替えます。

リサイクル料金に相当する金額を現金で受け取った場合、仕訳方法は以下のとおりです。

借方

 

貸方

 

現金

16,130

リサイクル預託金

16,130

リサイクル料の授受は金銭債権の譲渡にあたるため、クルマの売却代金とは別に会計処理をする点に注意が必要です。

廃車時の仕訳

クルマを売却せず廃車にするときは、資産計上しているリサイクル料金を支払手数料に振り替えて経費に計上します。仕訳の例は以下のとおりです。

借方

 

貸方

 

支払手数料

16,130

リサイクル預託金

16,130

リサイクル券の消費税の仕入税額控除

リサイクル券の消費税の仕入税額控除

個人事業主や法人が課税事業者となっている場合は消費税を納める必要があります。納税する税額は、原則として以下の計算式で求めます。

  • 納付する税額=売上の消費税額−仕入れや経費の消費税額

仕入れや経費の消費税額を差し引く計算を「仕入税額控除」といいます。

クルマを購入する際に支払う「資金管理料金」に課税される消費税は、仕入税額控除の対象です。残りの部分については、クルマを廃車にして消費税が課税されるタイミングで仕入税額控除の対象となります。

2023年10月1日から「インボイス制度」が始まり、消費税の課税事業者が仕入税額控除を受けるためには適格請求書(インボイス)の保存が必要となりました。

また、クルマを売却した場合、リサイクル預託金に消費税は課税されませんが、金額の5%を課税売上割合の分母に含めることができます。以下で詳しく解説します。

仕入税額控除を受けるためには適格請求書の保存が必要</h3>

リサイクル料金に課税される消費税を仕入税額控除とするためには「自動車リサイクルシステム」から以下の手順で適格請求書をダウンロードします。

  1.  
  2. 1.自動車リサイクルシステムの「消費税のインボイス制度への対応について」へアクセス

  3. 2.「インボイス発行」をクリック

  4. 3.適格請求書を発行したい車輌の車両区分(登録自動車/軽自動車)、車台番号、登録番号/車両番号などを入力して検索(CSVファイルのアップロードで複数台検索が可能)

  5. 4.検索結果から該当車輌の適格請求書をダウンロード

適格請求書は、消費税が課税されるタイミングに合わせて発行します。発行のタイミングとダウンロードする適格請求書の種類は以下のとおりです。

発行するタイミング

発行する適格請求書の種類

新車購入時

・資金管理料金

廃車時

・再資源化等料金(シュレッダーダスト料金、エアバッグ類料金、フロン類料金)

・情報管理料金

売却時のリサイクル料金の5%は課税売上割合の分母に含められる

2014年(平成26年)の税制改正により、課税売上割合を計算する際には、金銭債権の譲渡額の5%を分母の総売上高に含めるというルールに変更されました。

課税売上割合は、課税期間中の総売上高に占める消費税がかかる売上(課税売上)の割合です。課税期間は、個人事業主の場合は1月1日から12月31日、法人は事業年度です。

消費税の納税額を計算する際、仕入れや経費で支払った消費税の全額を課税売上から差し引くためには以下2つの条件を満たす必要があります。

  • ・課税期間中の課税売上高が5億円以下
  • ・課税期間中の課税売上割合が95%以上

金銭債権の譲渡には消費税がかからないため、合計金額が高くなればなるほどに分母が増え、課税売上割合が下がって全額控除を受けにくくなります。

改正後は、金銭債権の譲渡額のうち5%のみを分母の総売上高に含めることになったため、仕入れや経費などに課税される消費税の全額を控除しやすくなったといえます。

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まとめ

クルマを購入するときは、支払ったリサイクル料金のうち資金管理料金のみが消費税の課税対象です。残りの部分が消費税の課税対象となるのはクルマを廃車にするときです。売却する場合、リサイクル料金相当額が返金されますが消費税は課税されません。

事業に利用するクルマを購入するときは、資金管理手数料を「支払手数料」とし、残りをリサイクル預託金として資産に計上します。資産計上されているリサイクル料金は、売却時には現金などに、廃車時は支払手数料に振り替えます。

購入や廃車の際に負担した消費税を仕入税額控除の対象とするためには、自動車リサイクルシステムから適格請求書の取得が必要です。消費税の会計処理や税額の計算方法、インボイス制度などに関する不明点がある場合は、税理士や税務署に相談するとよいでしょう。

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