クルマが事故にあったり故障したりした際、修理をディーラーに依頼しようとしている方もいるでしょう。クルマの修理は、依頼先によって修理費用や対応が異なるため、自分のニーズに合った業者を選ぶことが重要です。
この記事では、各修理業者の特徴を解説するとともに、ディーラーに依頼したほうがよいケースや修理の費用相場などを紹介します。
ディーラー=修理業者ではない
ディーラーでは、一定の修理への対応は可能なものの、故障箇所によっては他の業者に外注するケースがあります。たとえば、事故による傷やヘコミ、塗装などの修理です。
ヘコミや塗装などの修理は、ディーラーに在籍する整備士では対応が難しいため、多くの場合は板金塗装工場に外注します。修理に要する期間は外注先の空き状況次第のため、予想以上に時間がかかる可能性もあります。
なお、ディーラーが修理を外注した場合、15〜30%程度の中間マージンが発生します。そのため、修理工場へ直接持ち込むよりも費用が高額になることが一般的です。
中間マージンには、ディーラーによる修理箇所の仕上がりのチェックや、万が一の際にサポートを行うための費用などが含まれています。
ディーラー以外のクルマの修理の依頼先
クルマの修理は、修理工場やカー用品店にも依頼できます。ここでは、ディーラー以外のクルマの修理の依頼先を紹介します。
整備工場
整備工場は、クルマの修理や整備に精通しています。修理に関する経験や知識が豊富なため、他では直せなかった箇所でも対応してくれる場合があります。生産が終了している部品が必要でも、同等なものを見つけて修理してくれることもあるでしょう。
また、整備工場は部品を交換するのではなく、修理を基本としているため修理費を抑えられます。ディーラーとは異なり、外注せずに直接修理することも、修理費用を抑えられる理由の1つです。
ただし、整備工場によって品質やサービス内容が異なります。修理費用が同額でも、仕上がりのクオリティに差があるため、信頼できる整備工場かどうか見極めなければなりません。
なお、修理する箇所によっては部品の仕入れに日数を要するため、引き渡しまでが長くなるケースもあります。
カー用品店
カー用品店のなかには、クルマのアクセサリーや部品などの販売に加えて、修理にも対応している店もあります。修理には純正品ではなく、汎用性が高い社外品が使用されるため、修理費を抑えることが可能です。
また、カー用品店は店舗数が多く、おおむね大通りや主要道路のそばにあるため、クルマで旅行中や出張中などに故障したときに重宝するでしょう。
ただし、カー用品店に依頼できる内容は以下のような作業です。
・ 消耗品の交換
・簡易な部品交換
・板金塗装修理
たとえば、エンジンやトランスミッションなどの大がかりな修理には対応していません。クルマの状態によって、カー用品店に依頼できるかどうかが変わる点に留意してください。
ディーラーに相談したほうがよいケース
クルマの状態によってはディーラーに相談したほうがよいケースがあります。ここでは、ディーラーに相談した方がよいケースとそれぞれの理由について紹介します。
ディーラーから購入したクルマが故障した
ディーラーから購入したクルマが故障した場合、保証で修理できる可能性があるため、まずは購入店に相談しましょう。ディーラーでクルマを購入した場合、修理保証が数年間付帯されているケースがほとんどです。
ディーラーの保証には、「一般保証」と、「特別保証」の2種類があります。一般保証とは、クルマを構成するすべての部品に対する保証のことです。たとえば、パワーウィンドウが故障し、窓の開け閉めができなくなった際は一般保証で直せます。ただし、消耗品や油脂類、特別保証の対象部品は含まれません。
一方、特別保証は走行や安全に関わる重要な部品に対する保証です。エンジンやブレーキ機構、動力伝達装置などが故障した際に利用できます。前オーナーから保証が継承されていて、保証期限内であれば、中古車販売店で購入したクルマでもディーラーで保証修理を受けられます。
ディーラーで用意されている各保証の保証期間の目安は、以下のとおりです。
・一般保証:新車登録or納車から3年、もしくは走行距離が5万〜6万km時点のいずれか早いほう
・特別保証:新車登録or納車から5年、もしくは走行距離が10万km時点のいずれか早いほう
各メーカーによって正確な保証期間が異なるため、問い合わせて確認しましょう。
純正パーツで修理してほしい
純正パーツで修理してほしい場合は、ディーラーに相談しましょう。純正パーツとは、メーカーで販売されているパーツのことで、クルマが生産された際に使用されたものと同じ新品です。
社外品と比べて値段は高いものの、各クルマの規格に合わせて生産されるため、質が高く安心感があります。また、パーツに対して一定の保証が付帯されているため、万が一故障した際でも対応してもらえます。品質や安心感を重視している場合は、ディーラーでの修理がおすすめです。
なお、ディーラーは自社のクルマに対する知識が豊富であり、持ち前の高い技術を活かした修理が可能です。自社のクルマに適した工具や設備も整えられており、スムーズにクルマを修理してもらえます。
たとえば、ディーラーがもっている故障診断機はメーカー車に特化しているため、スムーズかつ正確に故障箇所を特定できます。
他の修理業者にも故障診断機が完備されているものの、性能にばらつきがあり、正確に故障箇所を特定できないケースがあります。
修理業者を選ぶ手間を省きたい
修理業者を選ぶ手間を省きたい場合は、ディーラーへの相談をおすすめします。クルマの修理業者は多いため、どこに依頼すればよいのか迷う場合もあるでしょう。
ディーラーは、部品の入荷状況次第ではあるものの、なるべく顧客の都合に合わせて柔軟に修理期間を調整してくれます。さらに、修理期間が長くなる場合、空き状況次第で無料の代車を貸し出してくれることもあります。
忙しくて修理業者をしっかり比較できない場合は、顧客の都合に合わせてくれるディーラーに修理を依頼するとよいでしょう。
ディーラーに相談しないほうがよいケース
保証が付帯されていたり、純正パーツで修理してほしかったりする場合は、ディーラーに相談したほうがよいでしょう。
しかし、状況によってはディーラーに相談しない方がよいケースもあります。続いて、ディーラーに相談しない方がよいケースを紹介します。
信頼できる修理業者を知っている
信頼できる修理業者を知っている場合は、その業者に相談するとよいでしょう。ディーラーは修理業者と同じく店舗ごとに整備の質やサービスにばらつきがあるため、必ずしも期待どおりの対応をしてくれるとは限りません。
信頼できる修理業者であれば、期待どおりの整備や対応を受けられる可能性が高いほか、スムーズなやり取りが可能です。また、長年の付き合いがある修理業者であれば、割引サービスをしてくれる場合もあるでしょう。
なるべく安く修理したい
なるべく安く修理したい場合は、ディーラー以外の修理業者に相談するとよいでしょう。ディーラーは、部品や整備の質が高く安心感はあるものの、他の修理業者に比べて修理費用が高い傾向にあります。
他の修理業者は、社外品を使用したり部品交換ではなく故障箇所を修理したりするため、費用を抑えることが可能です。また、ヘコミや塗装の修理をする場合、ディーラーが仲介役となることで発生していた中間コストも省けます。
たとえば、ディーラーでは板金修理費用が32万円でも、修理業者に直接依頼すれば25万円程度で修理できるケースがあります。
ディーラーに車の修理を依頼するときの流れ
ディーラーにクルマの修理を依頼するときの流れは以下のとおりです。
1.見積もりを依頼する
2.見積もり内容を確認する
3.クルマを修理してもらう
修理費が予想より高額だった場合、修理せずに買い替えたり手放したりするといった選択肢もあります。そのため、ディーラーにクルマの修理を依頼する際は、必ず見積もりを依頼しましょう。
見積もり後は、修理内容が依頼事項に対して沿っているかどうかや、納得できる金額かどうかチェックします。トラブルを防ぐためにも、見積もりに不明点がある場合は、必ず依頼前に確認することをおすすめします。
見積もり内容を確認したら、以下の事項もあわせて確認しましょう。
・修理期間
・代車の有無
・支払い方法
・保険手続きの代行
保険を使ってクルマを修理する場合、ほとんどのディーラーが見積書や修理箇所の写真の提出などといった保険手続きを代行してくれます。ただし、ディーラーによっては対応していない場合があるため、依頼前に保険手続きの代行について詳しく確認しましょう。
見積もり内容や修理期間、その他のサービスに納得したら、予約日にクルマをディーラーに持ち込んで修理してもらいます。修理に出す際は、車内に貴重品やETCカードの置き忘れがないかチェックしてから、クルマを引き渡しましょう。
なお、見積もりを依頼したからといって、必ずしもそのディーラーで修理を受けなければならないというわけではありません。ディーラーの対応や見積もり金額に納得できなかった場合は、ディーラーの他の販売店や修理業者への依頼も検討しましょう。
ディーラーのクルマの修理の費用相場
ディーラーのクルマの修理の費用相場は、故障した箇所によって異なります。代表的な修理の費用相場は、以下のとおりです。
部品・場所 | 修理費用 |
エンジン | ・分解修理:1万円以上 ・交換:100万円程度 ※2L 4気筒エンジンの場合(ヴォクシーやセレナなど) |
フレーム | ・一部の歪み:10万円程度 ・全体の歪み:100万円以上 |
足回り | サスペンションやアームの交換:10〜20万円程度 |
外装 | ・引っかき傷:1箇所1,000円程度 ・10cm程度のヘコミ:2万〜3万円程度 ・30cm程度のヘコミ:4万〜6万円程度 |
マフラー | ・穴開き修理:1万円程度 ・マフラー交換:8万円程度 |
エアコン | ・ガス補充:5,000円程度 ・コンプレッサー交換:5万〜10万円 ・ファンモーター交換:2万〜4万円 ・ガス管交換:2万〜3万円 ・サーモスタッド交換:1万円程度 ・エアコン本体交換:20万円程度 |
上記はあくまでも費用相場であり、正確な修理費用ではありません。正確な金額を知りたい場合は、ディーラーで見積もりを依頼しましょう。
ただし、修理の見積もりは時間と労力がかかるため、有料なケースが多い傾向にあります。修理にかかる全体の費用を抑えたい場合は、複数の見積もりを比較せず、あらかじめ依頼する修理業者を決めておくとよいでしょう。
まとめ
保証が付帯されていたり、純正パーツで直してほしかったりする場合は、ディーラーに修理を依頼するとよいでしょう。一方、ディーラー以上に信頼できる業者を知っていたり、なるべく安く修理したい場合は整備工場やカー用品店に依頼することも1つの手段です。
修理費を抑えられるうえに、ディーラー以上のサービスを受けられる可能性があります。ディーラー以外の修理業者の特徴も把握し、自分に合った業者に修理を依頼しましょう。
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