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車の修理が必要になった場合、保険を使えば修理費用が補償されます。ただし、保険を使うには一定の条件があるため、補償してもらえるのか不安に思う方もいるでしょう。また、翌年の保険料も上がるため、保険を使うかどうかは慎重に判断する必要があります。この記事では、車の修理費用を補償してもらえるケースや、保険を使う判断基準などを紹介します。
車の修理に保険を使えるケース
車の修理には「対物賠償責任保険」と「車輌保険」を使えます。ただし、補償の対象が「他人の車」と「自分の車」かで使う場面が異なるため、違いを把握しておきましょう。まずは、車の修理に保険を使えるケースを紹介します。
他人の車に損害を与えた場合
相手の車に損害を与えたケースでは「対物賠償責任保険」を使います。対物賠償責任保険は、他人の所有物に損害を与えてしまい、法律上の損害賠償責任を負った際に、相手へ保険金が支払われます。
たとえば、他人の車や所有物、電柱やガードレールなどを壊した場合に対物賠償責任保険で補償が可能です。補償金額は、契約時に決めた保険金額となり、1,000万円〜無制限まで設定できます。
ただし、記名被保険者やその家族の車は、補償対象外なため注意しましょう。具体的には、記名被保険者の以下の方が補償対象外です。
・配偶者
・子ども
・親
なお、契約車輌を運転している方の配偶者や子ども、親も補償対象外です。
自分の車を修理する場合
事故や災害などで自分の車を修理する場合は「車輌保険」を使います。盗難や当て逃げ、いたずらによる落書きなどでも、修理費用を補償してもらうことが可能です。ただし、車輌保険には「一般型」と「エコノミー型(車対車)」の2種類があり、加入しているタイプによっては補償対象外になるケースもあります。
一般型は補償範囲が広く、以下のケースで車輌保険を使えます。
・他の車との接触や衝突
・単独事故
・火災や台風などの災害
・落下物との衝突
・落書きやいたずら
・盗難
・当て逃げ
一方、エコノミー型は保険料を抑える代わりに補償範囲が狭いタイプであり、単独事故や当て逃げをされた際は補償対象外です。たとえば、車庫入れの失敗や駐車中に他の車に擦られた際にできた損傷は補償されません。
また、補償金額の限度額は契約時に設定された「車輌保険金額」です。保険証券をチェックして、加入しているタイプや車輌保険金額を確認しましょう。なお、地震や津波、火山の噴火が原因で車が故障した場合は、タイプを問わず補償対象外になるため注意してください。
車の修理に保険を使うと翌年の保険料が上がる
車の修理に保険を使うと、翌年の保険料が上がります。自動車保険には「1〜20等級」まであり、等級が高いほど保険料が安くなります。たとえば、20等級の「63%」に対して、17等級の割引率は「44%」です。
自動車保険は基本的に「6等級」からスタートし、無事故の場合は翌年に1等級アップします。保険を使った場合は「1等級」もしくは「3等級」ダウンする仕組みです。
参考:東京海上日動公式Webサイト よくある質問「ノンフリート等級別割引・割増制度の割増引率の決定方法を教えてください」
4等級以下からは割引率ではなく「割増率」が適用されるため、等級が低いと保険料が高くなることも把握しておきましょう。ただし、保険会社と共済の自動車保険では、割引率や割増率が異なるケースがあります。具体的な割引率や割増率は、加入している保険会社や公式Webサイトを確認しましょう。
また、事故の内容に応じて下がる等級数が定められているため、保険を使う際の参考にしてみてください。
■3等級ダウン事故 ※主に自分に過失がある事故
・車同士の事故で車が壊れた
・当て逃げ
・自転車や通行人をケガさせた
・建物や電柱など他人の所有物に衝突して壊してしまった
当て逃げは自分に過失はないものの、3等級ダウンに該当します。加害者が見つかった場合は、相手に修理費用を請求できるため、ドライブレコーダーや防犯カメラを使って対策しておくとよいでしょう。
■1等級ダウン事故 ※自分に過失がない事故
・自然災害
・落下物との衝突
・盗難
・いたずらによる落書きや窓ガラスの破損
なお、弁護士費用特約や人身傷害保険特約などはノーカウント事故のため、保険を使用しても翌年の等級は下がりません。
車の修理に保険を使うかどうかの判断基準
車の修理に保険を使うかどうかは「修理費用」と「元の等級に戻るまでに余分に支払う保険料」を比較して判断しましょう。修理費用の方が高額な場合は、保険を使うとよいでしょう。
たとえば、当て逃げにより保険を使う場合は「3等級ダウン」に加え「事故有係数適用期間 3年」が加算されるため、保険料は以下のように上がります。
■車の修理に保険を使った場合
※は余分に支払う保険料
年 | 等級/事故歴 | 保険料 |
事故年 | 20等級/無事故 | 8万円 |
1年後 | 17等級/事故有 |
12万1,000円 |
2年後 | 18等級/事故有 | 11万7,000円 ※3万7,000円 |
3年後 | 19等級/事故有 | 10万8,000円 ※2万8,000円 |
上記の場合、20等級に戻るまで「10万6,000円」かかります。修理費用が10万6,000円以下の場合は、保険を使わずに自費で修理したほうが、結果的に支払う金額を抑えることが可能です。
また、保険を使うといくら保険料が上がるかどうかは、保険会社に問い合わせると試算してもらえます。保険料がいくら上がるのかを試算してもらい、車の修理に保険を使うかどうかの判断基準にしてみてください。
車の修理に保険を使うときの流れ
保険を使うときの流れを把握しておくと、スムーズに車を修理できます。続いて、車の修理に保険を使うときの流れを紹介します。
まずは警察署に連絡する
事故を起こした場合、ケガ人の救護を行った後に警察署へ連絡します。事故が原因で保険を使うには、警察署で発行された「事故証明書」が必要です。スムーズに保険で車を修理できるよう、警察署に必ず事故処理をしてもらいましょう。
なお、当て逃げやいたずらをされた場合は、発覚した時点で警察署に連絡しましょう。
保険会社に連絡する
警察の事故処理が完了したら、加入している保険会社に連絡します。保険を使うかどうか決めていなくても、事前に相談しておけばスムーズに保険金を補償してもらえるため、事故時に連絡しておくとよいでしょう。
また、保険会社に連絡したタイミングでは、以下の情報を確認されます。
・契約者
・証券番号
・事故の状況
・被害者の有無
保険会社の連絡先や証券番号は保険証券に記載されているため、チェックしてみてください。
修理費用の見積をしてもらう
保険会社への連絡が完了したら、保険金を確定させる必要があるため、ディーラーや修理工場で修理費用の見積をしてもらいます。どこに見積を依頼すればよいのか迷った場合は、保険会社に相談すると、車に適した修理業者を紹介してくれます。ただし、修理工場によっては見積費用が発生するケースがあるため、入庫前に費用の有無を確認しておきましょう。
見積書を保険会社に提出する
見積書を保険会社に提出して、内容が承認されるまで待ちます。見積を依頼したディーラーや修理工場によっては、保険会社にそのまま見積書を提出してくれるため、スムーズに車を修理できるケースもあります。
また、事故の状況によっては「事故証明書」や「事故発生状況報告書」などの書類の提出も求められるため、事前に用意しておきましょう。
保険金が振り込まれる
事故の内容が承認されたら、車を修理したディーラーや修理工場に保険金が振り込まれます。車を修理せずに保険金のみを受け取る場合は、自分の口座に入金されます。受け取った保険金は、買い替え費用や他の用途にあてることも可能です。
車に保険を使えないケース
メンテナンス不足や経年劣化が原因で車が故障した場合は、保険を使えません。修理費用が補償されるのは、あくまでも以下の場合に限るため、混同しないよう注意しましょう。
・事故
・事件
・災害(地震や津波、火山の噴火を除く)
ただし、メンテナンス不足や経年劣化による故障が原因で事故を起こした場合は、車の保険が使えます。たとえば、エンジンの故障で停車した際、後車に衝突された場合は保険を使うことが可能です。事故による損傷は保険を使えても、エンジンの修理費用が補償されるかは保険会社によって異なるため、問い合わせて確認してみてください。
なお、無免許運転や酒気帯び運転した際に起こした事故や、改造車輌には保険が適用されないことを把握しておきましょう。
車の修理に保険を使う場合は免責金額に注意
免責金額を設定している場合は、修理費用の一部を自己負担する必要があるため注意しましょう。保険は、契約時に免責金額を設定することで、保険料を抑えられます。たとえば、修理費用が30万円で免責金額を3万円で設定した場合、保険金として支払われる金額は27万円です。
ただし、修理費用が車輌保険金額を上回った場合や、物理的に修理が不可能な「全損」となった場合は、免責金額が引かれないため保険金を全額受け取れます。保険証券をチェックして、免責金額を設定しているかどうか確認しましょう。
まとめ
他人の車は「対物賠償責任保険」自分の車には「車輌保険」を使うと、修理費用が補償されます。ただし、保険を使うと1等級もしくは3等級ダウンになるため、翌年の保険料が上がるデメリットがあります。
実際にかかる「修理費用」と「元の等級に戻るまでに余分に支払う保険料」を比較して、保険を使って修理するかを判断しましょう。
なお、保険金は必ず修理費用にあてる必要がなく、買い替え資金や他の用途にも使えます。年式が低く走行距離が多い場合は、修理ではなく買い替えも検討してみましょう。
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