クルマを売却するときにかかる税金は?納税が必要なケースや注意点を解説

目次
1.クルマの売却でかかる可能性がある税金 2.クルマの売却で自動車税(種別割)が還付されるケース 3.クルマの売却益に所得税がかかるケース 4.クルマの売却でかかる所得税の計算方法 5.クルマの売却で消費税の申告が必要なケース 6.クルマの売却益を得た場合は確定申告は必要? 7.クルマの売却にかかる税金の注意点 8.まとめ

クルマの売却に関係する税金には「自動車税(種別割)」「所得税」「消費税」があります。売却をする際は、自動車税(種別割)の取扱いや、所得税と消費税の申告・納税が必要なケースを理解することが大切です。

この記事では、クルマの売却時にかかる税金の種類や計算方法、注意点などについて詳しく解説します。

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クルマの売却でかかる可能性がある税金

クルマの売却でかかる可能性がある税金

クルマの売却に関する「自動車税(種別割)」「所得税」「消費税」について、それぞれがどのような税金なのかを解説します。

自動車税(種別割)

自動車税(種別割)は、毎年4月1日時点でクルマを所有している人に課される地方税です。自家用乗用車の場合、税額は総排気量によって決まります。

原則として、毎年5月上旬ごろに送付される納付書をもとに1年分を一括で納める税金のため、月割りでの納税はできません。

年度の途中でクルマを売却しても、納めた自動車税(種別割)が戻ってきませんが、買取業者によっては精算をしてもらえることがあります。

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所得税

所得税は、給与所得や事業所得など1年間で生じた個人の所得に対して課される国税です。

クルマの売却で所得税が課税される可能性があるのは売却益が生じたときです。クルマをはじめとした資産を譲渡したときの利益は「譲渡所得」として所得税の課税対象になることがあります。

しかし、中古車の多くは購入時よりも売却時のほうが価値は低いため、利益が出ることはあまりありません。また、買い物や通勤など日常生活で利用するクルマを売却する際に利益が生じても所得税は非課税となります。

消費税

消費税は、商品の販売やサービスの提供に対して課せられる税金です。2024年現在の基本税率は10%、飲料食品(酒類を除く)や新聞は軽減税率により8%となっています。

個人がプライベートで使用するクルマを売却するのであれば、消費税を納める必要はありません。中古車販売店にクルマを買い取ってもらう場合、買取価格には消費税が含まれるのが一般的ですが、個人がそれを受け取っても納税は不要です。

ただし、事業を行う個人や法人が事業用のクルマを売却すると消費税の納税が必要になる場合があります。

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クルマの売却で自動車税(種別割)が還付されるケース

クルマの売却で自動車税(種別割)が還付されるケース

4月1日以降にクルマを売却する場合、売り手側が1年分の自動車税(種別割)を納めるのが原則であり、売却しても還付されません。

ただし、売却先によっては残りの月数分に応じた税額を買取価格や売却価格に上乗せしてもらえることがあります。年度の途中でクルマを売却する場合は、自動車税(種別割)の還付相当額を売却価格へ上乗せしてもらえるかどうかを買取店に確認するとよいでしょう。

クルマを売却せず廃車(永久抹消登録)にした場合、残りの期間分に応じた税額が還付されることがあります。還付される税額の計算式は、下記のとおりです。

  • ■自動車税(種別割)の還付金額 =納付した年税額-(年税額×4月から抹消登録の日が属する月までの月数÷12月)
    ※カッコ内は100円未満を切り捨て

実際に計算してみましょう。排気量が1,998ccで、2019年9月30日以前に新規登録している普通自動車の場合、自動車税(種別割)は年間3万9,500円です。

このクルマを10月に廃車にすると、納付すべき額は4月から10月までの7ヶ月分となるため、還付される金額は下記のとおりです。

  • ■還付金額=3万9,500円−(3万9,500円×7ヶ月÷12月)≒ 1万6,500円
    ※カッコ内は100円未満を切り捨て

永久抹消登録をすると5ヶ月分の税額である1万6,500円が戻ってきます。

ただし、永久抹消登録の際に自動車税(種別割)の還付を受けられるのは普通自動車のみであり、軽自動車や貨物自動車は対象外です。

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クルマの売却益に所得税がかかるケース

クルマの売却益に所得税がかかるケース

所有する目的が買い物や通勤などであるクルマは、日常生活に必要なものとみなされるため売却しても税金はかかりません。一方、事業に使っていたクルマや生活に通常必要ではないクルマを売却したときは、所得税がかかる場合があります。

以下で、所得税がかかるケースを詳しくみていきましょう。

事業用のクルマを売却した

事業に使用していたクルマを売却すると、売却益が譲渡所得として所得税の課税対象となります。事業に使用しているクルマとは、企業の営業車やタクシー、介護サービス会社の送迎車などのことです。

所得税が課税されるのは、クルマを取得した金額から購入時に支払った金額と譲渡するときの税金や手数料などを差し引いた部分が特別控除額の50万円を超えるときです。

事業用のクルマを売却する場合、譲渡所得を計算するときは「減価償却」をする必要があります。時間の経過や使用によって減少したと考えられるクルマの価値分を「減価償却費」として購入金額から差し引きます。

生活に通常必要ないクルマを売却した

日常生活で必要のないクルマを売却したときに利益が生じたときも、譲渡所得として所得税の課税対象となります。

たとえば、趣味で所有していたスポーツカーやクラシックカーを売却したときに利益が出たときは、確定申告をして所得税を納める必要があります。

生活に必要のないクルマを売却したときも、所得税が課税されるのは利益が50万円を超える場合です。一方、事業用のクルマを売却するケースとは異なり、購入金額から減価償却費は差し引く必要はありません。

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クルマの売却でかかる所得税の計算方法

クルマの売却でかかる所得税の計算方法

事業用のクルマや日常生活に使用しないクルマを売却したときは、まず譲渡所得を計算します。1年間で売却したクルマが1台のみである場合、譲渡所得の計算式は下記のとおりです。

  • ■譲渡所得=総収入金額-(取得費+譲渡費用)−特別控除額50万円
    ※総収入金額:クルマの売却金額
    ※取得費:クルマの購入金額や税金、手数料など
    ※譲渡費用:クルマを売却したときの税金や手数料など

たとえば、購入価格800万円のスポーツカーを1,000万円で売却し、売却時の諸費用が20万円かかった場合の譲渡所得額は下記のとおりです。

  • ■譲渡所得 = 1,000万円 -(800万円 + 20万円)- 50万円 = 130万円

クルマを売却したときの譲渡所得は総合課税の対象です。給与所得や事業所得など総合課税の対象となるほかの所得と合算して所得税を計算します。ただし、所有期間が5年を超えるクルマを売却した場合、課税対象となるのは譲渡所得の2分の1です。

所得税の税率は5〜45%です。税額を求める際は、下記の表をもとに「課税される所得金額×税率−控除額」の速算式を用います。

課税される所得金額 税率 控除額
1,000円 から 1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円 以上 45% 4,796,000円

※出典:国税庁「No.2260 所得税の税率

クルマの売却で消費税の申告が必要なケース

クルマの売却で消費税の申告が必要なケース

続いて、消費税の申告が必要なケースと不要なケースを詳しく解説します。

申告が必要なケース

消費税の申告が必要になるのは、課税事業者である個人事業主や法人が事業用のクルマを売却したときです。

個人事業主の場合は前々年、法人であれば前々事業年度の課税売上高が1,000万円を超える場合は、課税事業者となり消費税を納める義務が生じます。

また、インボイス発行事業者として登録を受けている者(適格請求書発行事業者)は、対象期間の課税売上高にかかわらず納税義務があります。

納税義務がある場合、期日までに消費税の申告が必要です。消費税の納付期限は、原則として課税の対象となる期間の翌年3月31日までです。

納税額は、クルマの売却代金や課税売上に含まれる消費税額から、仕入れをする際に支払った消費税額を差し引いて計算します。

参考:消費税のしくみ|国税庁No.6501 納税義務の免除|国税庁主な国税の納期限(法定納期限)及び振替日|国税庁

申告が不要なケース

通勤や買い物など個人が生活に使用する自家用車を売却するときは、受け取った消費税を申告する必要はありません。

個人事業主が事業用のクルマを売却した場合でも、前々年の課税売上高が1,000万円未満であり免税事業者である場合や、インボイス登録をしていない場合、申告・納税は不要です。

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クルマの売却益を得た場合は確定申告は必要?

クルマの売却益を得た場合は確定申告は必要?

事業用のクルマや投資目的のクルマなどを売却して利益が出た場合は、確定申告をして譲渡所得に課税される所得税を納める必要があります

一方、日常生活で使用するクルマを売却しても、売却益に所得税は課税されないため、確定申告も不要です。

確定申告の期間は例年2月16日〜3月15日ですが、土日祝によって前後することがあります。

期限までに確定申告をしなかったときや税額を本来よりも少なく納めたときなどは、延滞税や加算税の対象になる可能性があります。譲渡所得が生じたときは、税額を正しく計算し期日までに申告と納税を済ませましょう。

▼関連記事はこちら
個人事業主必見!クルマ売却した際に影響する税金や申告方法を紹介

クルマの売却にかかる税金の注意点

クルマの売却にかかる税金の注意点

クルマを売却するときの税金に関する主な注意点は下記の2点です。

自動車税(種別割)をどちらが負担するか確認しておく

4月1日よりもあとにクルマを売却するときは、自動車税(種別割)の精算方法をよく確認することが大切です。

特に、個人間でクルマを売買する場合は、買い手と売り手が話し合いをして精算方法を決めることになります。口頭での約束だけではあとでトラブルになる可能性があるため、売買契約書に自動車税(種別割)の精算方法を明記しておくとよいでしょう。

個人間でのトラブルを防ぎたい場合は、買取業者への売却がおすすめです。

自動車税(種別割)が未納だと売却できない

自動車税(種別割)を納めていないと、クルマの名義変更手続きをする際に必要な納税証明書が発行されないため、そのままでは売却ができません

4月1日よりもあとにクルマを売却するときは、1年分の自動車税(種別割)をすべて払うようにしましょう。延滞分がある場合は、納付を済ませてから売却するのが基本です。

▼関連記事はこちら
自動車税が未納でもクルマは売却できる?納税証明書がないときの対処法も解説

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まとめ

年度の途中でクルマを売却する場合、自動車税(種別割)は還付されませんが、買取業者によっては精算してもらえることがあります。

所得税が課税されるのは、事業用のクルマや生活に必要でないクルマの売却をして利益を得たときです。その場合、確定申告をして期限までに税金を納める必要があります。

消費税の納税が必要になるのは、納税義務のある個人事業主や法人が事業用のクルマを売却したときです。自身にどの税金が関係するのかを理解することで、よりスムーズにクルマの売却を進められるでしょう。

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