車のスリップは頻繁に経験するものではありません。しかし、悪条件が重なると、日常使いの範囲内でもスリップすることがあります。そこで今回は、車がスリップしてしまう原因やスリップしたときの対処法、スリップしないための対策について紹介します。
車がスリップする原因
車のスリップは、タイヤと路面の摩擦により発生するグリップ力の限界を超えると発生します。グリップ力の限界を超える理由は、車の速度、タイヤの性能、タイヤの摩耗具合などによって異なります。
ただし、車のスリップは、グリップ力の限界を超えたときだけではありません。路面とタイヤの間に水が入り込みタイヤが浮いてしまう「ハイドロプレーニング現象」もスリップの1つです。また、路面の上に散らばっている砂利や砂などによってタイヤのグリップ力が失われることでスリップする場合もあります。
このように、車のスリップは性能の限界を超えることで発生するだけでなく、車を走らせる環境によって発生する場合もあるのです。そのため、日常使いの範囲ではスリップすることがないとは言い切れません。
車がスリップしたらどうなるのか?
車がスリップすると、アクセル、ブレーキ、ハンドルなどの操作が効かない状態になります。つまり、車が制御不能状態に陥り、事故につながるリスクが格段に上がります。
カーブや曲がり角でスリップした場合、進みたい方向に進めないため、ドライバーがすぐにスリップに気づくでしょう。しかし、直進しているときや一瞬だけスリップした場合は、ドライバーがスリップに気づかないこともあります。
■スリップしているときの警告灯を「スリップ表示灯」という
走行中に車の制御ができないと感じたときや違和感を覚えたときは、メーター内の車が滑っているマーク「スリップ表示灯」を見てください。
スリップ表示灯は、タイヤがスリップしているときに点滅する警告灯です。この警告灯が点滅しているときは、車がスリップしていることを意味します。
車がスリップしたときの対処法
車がスリップしたときは、どのように対処すればよいのでしょうか。ここからは、スリップした時の対処法を紹介します。
とっさにアクセルやブレーキを踏まないようにする
車がスリップすると、何とかしてスリップ状態から抜け出そうとするでしょう。このようなときに、アクセルを踏み続けたり、ブレーキを強く踏み込んだりするのは危険です。
そもそも、スリップ中はアクセル操作やブレーキ操作をしても効果がありません。また、スリップしながら自然と速度が低くなり、タイヤのグリップが回復したときにペダル操作をしていると、飛び出したり急減速による横滑りが発生したりします。
つまり、スリップ中のペダル操作は、効果がないだけでなく、タイヤのグリップが回復したときに新たな危険を発生させる原因となるのです。
ハンドルを大きく回さない
車がスリップしているとき、ドライバーはスリップによって進んでいる方向から早く元の走行ラインに戻りたいと考え、ハンドルを急いで大きく操作してしまうことがあります。
しかし、この大きなハンドル操作は、タイヤのグリップ力が回復したときに急旋回や横滑りを誘発する危険があるため、避けたほうがよいでしょう。
カウンターステアを行う
カウンターステアをあてるのも有効な手段といえるでしょう。カウンターステアとは、後輪がスリップしている方向と同じ方向にステアリングを切る操作です。
しかし、カウンターステアは、ある程度の運転技量が必要となるため、運転技量を高めてから行うほうがよいでしょう。
車のスリップを防ぐ方法
車のスリップを防ぐためには、どのようにしたらよいのでしょうか。ここからは、車がスリップしないようにするための方法について紹介します。
悪路では速度を抑える
未舗装路、砂利道、濡れた路面、積雪路、凍結路などの悪路では、速度を抑えましょう。
車のスリップは、タイヤと路面の摩擦力がなくなったり、路面からタイヤが浮いたりすることで発生します。つまり、タイヤと路面の接地および摩擦を確保することでスリップを防げるのです。そのため、悪路では速度を落としたほうがよいといえるでしょう。
急ハンドルを切らない
急ハンドルをはじめとした急操作は、スリップの原因になることがあります。
カーブや曲がり角を通過するときは、直線部分であらかじめ減速し、落ち着いたハンドル操作で通行しましょう。このようなゆとりを持った操作は、スリップを防止するだけでなく交通の安全にもつながります。
空気圧を適切に保つ
タイヤの空気圧を適正に保ちましょう。タイヤの空気圧が高すぎたり低すぎたりすると、タイヤが路面に正しく接地しません。
タイヤの面が正しく路面に接地していない場合、タイヤのグリップ力が最大限に発揮されず、スリップを誘発することがあります。このようなことから、タイヤの空気圧を適正に保つこともスリップを防止する方法の1つとなるのです。
タイヤの空気圧は、最低でも1ヶ月に1回はチェックし、適正値を保ち続けるようにしましょう。
タイヤの溝やヒビをチェックしておく
スリップを防ぐためには、タイヤの管理が大切です。そのため、タイヤの残り溝の深さやひび割れも1ヶ月に1回はチェックしておきましょう。
タイヤは、路面との接地面に刻まれている溝で路面の水を排水しています。また、ゴムの柔軟性によって適切なグリップ力を確保しています。つまり、溝が浅く、ひび割れるほど硬化したタイヤでは、適切な排水やグリップ力を発揮することができません。
このようなことから、タイヤの残り溝の深さやひび割れなどを確認しておく必要があるのです。
まとめ
車のスリップは、公道での走行や日常使いの範囲内で経験することはほとんどありません。しかし、悪条件が重なると、通勤や買い物などの日常使いのシーンでもスリップする場合があります。車がスリップすると、焦って適切な操作ができないこともあるため、万が一に備えてスリップしたときの操作方法を覚えておくとよいでしょう。
また、車のスリップは運転操作の見直しや日常点検をすることで防げます。安全に車を走らせるためにも、車やタイヤの点検、ゆとりある運転を心がけるようにしましょう。
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