フロントガラスの凍結は冬場に起こりやすいトラブルです。特別な道具がなくても凍結部分を溶かせるため冷静に正しく対処しましょう。また、凍結防止に役立つグッズを使うのも1つの方法です。この記事では、フロントガラスの凍結の対処法や予防法、注意点などについて詳しく解説します。
車のフロントガラスが凍ったときの対処法
車のフロントガラスが凍ったときには、以下の対処法を試してみてください。
- ・車を温めてから発進する
- ・氷をヘラやスクレイパーで取り除く
- ・ぬるま湯をかける
- ・解氷スプレーを吹きかける
- ・解氷用ウォッシャー液を使う
- それぞれ詳しく解説します。
車を温めてから発進する
フロントガラスの凍結の対処法として最も簡単な方法は、車を温めてから発進することです。車のエンジンをかけてエアコン(暖房)をつけると、車内が温まりフロントガラスの氷も次第に溶けていきます。
フロントガラスが凍るほどの寒い日は車内の温度も低下しており、寒さで手がかじかんでハンドルを握ることも難しくなりがちです。前もって車内を温めておくと、フロントガラスの氷を溶かせるだけでなく、車に乗り込んだときにすでに暖かい状態のため、スムーズに運転を始められます。
また、車にはデフロスターやデフォッガーが備えられています。デフロスターは、フロントガラスとフロントドアガラスの内側の曇りを取るもので、デフォッガーはリアウィンドウの内側の曇りをとるものです。本来ガラスの曇りを取るものですが、氷を溶かすことにも効果があります。
氷をヘラやスクレイパーで取り除く
薄く張った氷であれば、ヘラやスクレイパーを使ってとることも可能です。ただし、調理器具や工具として使用するプラスチック製や金属製のものは、フロントガラスを傷つけてしまう恐れがあり使用すべきではありません。
カー用品店や通販で、車の氷を取り除く専用のヘラやスクレイパーを購入しましょう。ただし、車用のヘラやスクレイパーであっても、分厚い氷の場合には取り除くまでに時間がかかってしまうことがあります。エアコンやデフロスターを併用しながら行いましょう。
ぬるま湯をかける
ぬるま湯や水をかければ、氷を溶かせます。ただ、熱湯をかけると外気温との差でフロントガラスがひび割れてしまう可能性があるため、避けましょう。また、気温の低い日には、ぬるま湯や氷をかけた瞬間から凍ってしまうこともあるため注意が必要です。
適温は40度前後です。耐熱のビニール袋に入れて氷をなぞると効率よく溶かせます。
解氷スプレーを吹きかける
フロントガラスが凍ったときには、カー用品店や通販で販売されている解氷スプレーの使用も効果的です。
取扱いは非常に簡単で、スプレーをフロントガラス全体に吹きかけるだけで、氷が溶けます。ぬるま湯や水のようにかけた瞬間に凍る心配もありません。
解氷スプレーにはアルコールが含まれており、アルコールの主成分であるエタノールの凍結温度は約-114℃です。水の凍結温度が0℃のため、エタノールは凍結しにくいことがわかります。そのため、アルコールが手元にある場合には、水で2倍希釈すると手作り解氷スプレーを作ることも可能です。
ただし、車のボディにかかるとワックスなどのコーティングが剝がれてしまうこともあるため注意しましょう。
解氷用ウォッシャー液を使う
フロントガラスの凍結頻度が高い場合には、ウォッシャー液を解氷用のものにすることもおすすめです。
ウォッシャー液は汚れを落とすための液体です。ボンネット内のウォッシャータンクに入れて使用します。このウォッシャー液を解氷用のものに変えると、噴射時にフロントガラスの氷を溶かせます。
ただし、解氷用ウォッシャー液とその他のウォッシャー液は混ぜて使用できません。そのため、すでにタンクに入っている他のウォッシャー液が空になってから、解氷用ウォッシャーを入れる必要があります。
車のフロントガラスが凍結する仕組み
フロントガラスが凍る仕組みの1つに「放射冷却」があります。放射冷却は、物体が外に熱を出して冷えることで、熱湯を放置しておくといずれ温度が下がり水になる現象です。
曇りや雨の日には上空に雲がかかっており、この雲が蓋のような役割をするため、地面の熱が上空に逃げにくくなっています。一方、雲がない晴天の日は地面の熱が上空に逃げやすく、冷え込みます。
また、フロントガラスの氷は霧が固まってできており、気温が5℃を下回ると霧が発生します。通常水が凍るのは0℃からですが、晴れている日こそ放射冷却が起こりやすく、日中と夜間の気温差が大きいほど凍結しやすいです。
さらに湿度が高く、空気中の水蒸気が多い日も凍結しやすいため、注意しましょう。
車のフロントガラスの凍結を防ぐ方法
放射冷却の仕組みを知れば、凍結しやすい日がある程度予測できます。そのため、凍りやすそうな日には、凍結を防ぐために事前に対策しておきましょう。
ここからは、フロントガラスの凍結を防ぐ方法について解説します。
凍結防止シートを取り付けておく
カー用品店や通販で購入できる凍結防止シートをフロントガラスにつけておくと、凍結を防止できます。
フロントガラスの大きさは車種によって異なり、凍結防止シートもさまざまな大きさのものが販売されています。ドアに挟むタイプのシートは挟むだけの余分が必要なため、車に合ったサイズのものを選びましょう。
また、夏場にも使えるUVタイプのものや、急な雨にも対応しやすい撥水加工がされているものなどシートによって機能や価格も異なります。
撥水スプレーを使用する
凍結予防には、フロントガラスに水をつきにくくする撥水スプレーも効果的です。凍結防止シートのように付けたり外したりする必要がなく、フロントガラスに吹きかけるだけのため手軽に使用できます。また、水がつきにくくなるのにあわせて、汚れもつきにくいです。
撥水スプレーをしていると、万が一フロントガラスが凍結をしてもヘラやスクレイパーでとりやすくなります。撥水効果の高いシリコン系、持続力が高いフッ素系と種類によって効果も異なるため、用途に合ったものを選びましょう。
油膜や汚れを落としておく
凍結を予防するには、フロントガラスの油膜や汚れを落としておくことも大切です。フロントガラスが汚れていると、水に汚れの不純物が混ざり氷結点が高くなります。
フロントガラスの凍結には、放射冷却や霧の発生が大きく関係していますが、温度がさほど低くない日でも凍結している場合には、汚れが付着している可能性があります。水性の汚れは水やカーシャンプーで落ちますが、油性の汚れは油膜除去剤による研磨がおすすめです。
固着した汚れはセルフでは落としにくいこともあるため、無理に落とそうとせずお店に相談しましょう。
車のフロントガラスの凍結時の注意点
フロントガラスの氷を溶かす際には、注意しなければならない点がいくつかあります。
- ・熱湯をかけない
- ・ワイパーで取り除かない
- ・氷をたたき割らない
それぞれ詳しく解説します。
熱湯をかけない
氷を手っ取り早く溶かすために熱湯をかければよいと考える方もいるかもしれませんが、フロントガラスがひび割れてしまうため、熱湯は絶対にNGです。
ガラスは温度が上がると膨張し、下がると収縮します。また、熱が伝わる速度が遅く、熱を通しにくいという性質ももっています。そのため、熱湯をかけるとフロントガラスの外側は膨張しますが、熱が伝わりにくいため内側は膨張しません。この変化に耐えられず、ガラスはひび割れてしまいます。
ワイパーで取り除かない
フロントガラスの凍結をワイパーで取り除こうとすると、ワイパーが故障してしまう恐れがあります。
ワイパーには、ワイパーブレードというフロントガラスの表面の汚れや雨水を取り除くゴムがついています。凍結をワイパーで取り除こうとすると、ワイパーブレードのゴムが剥がれてしまう可能性があります。
また、ワイパー自体が折れてしまったり動かなくなってしまうこともあり、使用すべきではありません。
氷をたたき割らない
フロントガラスに分厚い氷ができてしまったときには、ハンマーなどで叩き割ろうとする方もいますが、これもNG行為の1つです。
力加減を間違えれば、フロントガラスを叩き割ってしまう危険があるためです。フロントガラスの修理や交換は高額で、数万円~数十万円もの費用がかかる場合もあります。
まとめ
フロントガラスの凍結は、寒冷地でなくても起こりやすいものです。凍ったままの状態では前が見えづらく、事故などを起こしやすくなります。
フロントガラスの凍結防止のためにさまざまな便利グッズが販売されているため、ぜひ活用してみてください。また、凍結させないために日頃からフロントガラスを綺麗にしておくことも大切です。
もし凍結してしまった場合にも適切に溶かせば問題ありません。ただし、熱湯をかける、氷を叩き割るなどのNG行為を行えば、フロントガラスがひび割れてしまったり、車が故障してしまう可能性もあるため注意が必要です。
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