トヨタ ZZT231型セリカはライトウェイトスポーツの可能性を感じさせた! 隠れた名機2ZZ-GEの魅力に迫る

目次
1.30年以上の歴史をもつセリカの最終モデル 2.VTECを超える機構をもつ2ZZ-GEエンジン 3.わずか1世代ながら可能性を感じるエンジンだった

トヨタ セリカ通算7代目のZZT231型は、ロングホイールベース&ショートオーバーハングという個性的なデザインで登場しました。FF化以降も上位モデルとして4WDをラインナップし続けてきたセリカですが、7代目ではついにFFのみとなります。

しかし、ライトウェイトスポーツで頭1つ抜けるVTECのホンダに対して、トヨタの技術人が意地をみせた新型エンジンが搭載されていました。

隠れた名機ともいわれる2ZZ-GEエンジンを搭載する、ZZT231型セリカの魅力をみてきましょう。

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30年以上の歴史をもつセリカの最終モデル

トヨタ セリカ ZZ231

6代目のST200系が生産終了し、1999年に7代目セリカが登場しました。7代目ZZT231型セリカは、スポーツカー人気が陰りを見せるなか2006年までの7年間も販売されたモデルです。人気だった先代を超える販売期間でしたが、残念ながら後継モデルは開発されませんでした。

ダルマの愛称で親しまれた初代セリカが登場した1970年から続いた36年の歴史に幕を下ろした最後のモデル、ZZT231型セリカの誕生について振り返ってみましょう。

FFモデルとして登場

ZZT230系と呼ばれる7代目セリカは、FF車のみがラインナップされました。大まかなグレードは、本記事で紹介する上位モデルのZZT231型の「SS-II」と廉価グレードの「SS-I」の2種類です。それぞれに4ATが設定され、マニュアル車はSS-Iが5MT、SS-IIには6MTが用意されていました。さらにSS-IIには、足回りを強化したスーパストラットパッケージがあります。

FRや4WDモデルがWRCで活躍してきたセリカのイメージからすると、FF車のみというのは物足りなさが否めません。しかし、ロングホイールベース&ショートオーバーハングデザインの採用による安定性と、リアサスペンションに備えたヴァイザッハアクスル式ダブルウィッシュボーンによる路面追従性と運動性は抜群でした。さらに、1.8Lで190馬力を発生し、1Lあたり105馬力にも達する新開発の2ZZ-GEエンジンも7代目セリカの魅力です。

FR化されたモデルが全日本GT選手権(JGTC)で活躍

7代目セリカは、現在のスーパーGTの前身、全日本GT選手権でも2003年のデビューイヤーから活躍しました。伸び悩んでいたMR-Sの後継として、ロングホイールベースで限界の高いZZT231セリカが選ばれます。また、エンジンの搭載方向や駆動方式の変更が可能になった、同年のレギュレーション変更もセリカのJGTC参戦を後押ししました。

FR化したセリカにGT500で活躍したスープラの3S-GTEを搭載し、圧倒的な速さを見せつけます。デビュー戦こそ結果を残せなかったものの第5戦の富士スピードウェイで初優勝を飾ると、その年は参戦6戦中4勝という驚異的な結果を残しました。

エンジンや駆動方式こそ変更されていますが、運動性能にこだわったベース車輌の設計のよさが好成績につながったのかも知れません。

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VTECを超える機構をもつ2ZZ-GEエンジン

トヨタ セリカ ZZ231

FFのみがラインナップされた7代目セリカで注目すべきは、新開発された2ZZ-GEエンジンです。可変バルブタイミング機構は4A-Gにも備えられていたものの、バルブのリフト量は固定でした。

しかし、カムの切り替え機構をもち、VTECのようにバルブリフト量の変化も実現したのが2ZZ-GEです。

2ZZ-GEエンジンについて、詳しくみていきましょう。

名機4A-Gや3S-Gの後継として新型エンジンを開発

ZZT231セリカが発売された1999年当時は、まだ4A-Gや3S-Gの生産は続いていました。しかし、いずれも基本設計は1980年代だったため、後継スポーツエンジンの開発が求められます。

そこで、1ZZ-FEをベースにVVTL-i機構を組み込んで、2ZZ-GEエンジンが開発されました。5バルブの4A-GEにも組み込まれていた吸気側の可変バルブタイミング機構を連続可変にしたうえ、一定回転数以上でカムを切り替えることで吸排気のバルブリフト量と作用角の変化も実現させました。バルブタイミングの連続可変とバルブリフト量の切り替えをもつ機構は、当時世界初だったともいわれています。

結果的に最高出力は190馬力まで高められ、145馬力の1ZZ-FEから実に45馬力もの大幅な性能向上を果たしました。排気量1L当たりの出力は105馬力で、4A-GEの103馬力を上回っているうえ、熟成を重ねたひと回り大きい3S-GE最終型の出力効率とも同等です。

名門ロータスからも搭載車が発売

2ZZ-GEが画期的なエンジンだったことは、イギリスの名門自動車メーカー ロータスが自社モデルに搭載したことからもうかがい知れます。ローバー製エンジンを搭載していた2代目エリーゼに、2004年から採用されました。また、2004年にフルモデルチェンジをおこなったエキシージにも搭載されています。

トヨタ車に搭載された2ZZ-GEは自然吸気モデルのみでしたが、エリーゼSCとエキシージSでは、220馬力を発生するスーパーチャージャーモデルも追加されています。

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わずか1世代ながら可能性を感じるエンジンだった

自然吸気でも200馬力に迫るハイパフォーマンスを実現した2ZZ-GEですが、実は1代限りで生産を終了しています。また、画期的な機構だったVVTL-iも、2ZZ-GE以外には搭載されませんでした。

開発が止まった理由は明確にはされていませんが、時代背景が少なからず影響していたのかも知れません。国産スポーツカーがやや下火になっていたことと、省燃費性能が求められるようになっていたためです。

燃費面でも有利に働く可変バルブタイミング機構はその後も開発が続けられましたが、VVTL-iの核となるカム自体の切り替え機構は熟成には至りませんでした。しかし、ロータスにも採用された2ZZ-GEの実力は、ライトウェイトクラスのエンジンとして可能性を感じさせたことは間違いありません。2L以下クラスのトヨタの名機といえば4A-Gや3S-Gが挙がりますが、2ZZ-GEも高いポテンシャルをもつ隠れた名機です。

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