自動車を相続することになり名義変更しようと思っているが、手続きが複雑だからと先延ばしにしている人もいるのではないでしょうか。
相続した車の名義変更は、通常の名義変更と必要書類が異なりますが、押さえておくポイント掴めば、それほど難しくないのです。本記事では、相続した車の名義変更の手続きの流れや、必要書類を詳しく解説します。
自動車の相続における名義変更の必要性
相続した車を名義変更しなくても、法律で義務化されていないので、罰則はありません。しかし、相続した車の名義変更を行わないと様々な問題が起こる可能性があるのです。次は、名義変更しないと、どのような問題が起こるのか解説します。
自動車の相続での名義変更とは
自動車の相続での名義変更とは、被相続人(亡くなった人)の車を譲り受けるための手続きです。相続した自動車の名義変更をしないでいると、下記の問題が発生する可能性があります。
売却・廃車できない
事故をした場合、補償面で不利になる可能性がある
車を担保にできない
上記のような問題が発生するのは、相続した自動車が相続人の財産になっていないからです。また、手続きを先延ばしにしてしまうと、必要書類を揃えるのに時間がかかるため、スムーズに名義変更ができない可能性があります。名義変更を先延ばしにするメリットはないので、できるだけ早めに手続きをしておきましょう。
自動車の名義変更の流れ
ここからは、自動車の名義変更の流れを詳しく解説します。流れを把握し、スムーズに名義変更の手続きができるようにしておきましょう。
自動車の名義を確認
まず、自動車の所有者を確認する必要があります。自動車の所有者は、基本的に被相続人の名義になっています。しかし、ローンを完済していなかったりリース契約だったりすると、車の所有者はローン会社や自動車販売店の名義になっているのです。
ローン会社や自動車販売店が所有者の場合、自動車の名義変更を行うには相続人がローンの残債を精算して、所有者を変更(所有権解除)する必要があります。
所有者の確定
次に、自動車を相続する所有者を確定させます。遺言書に相続人が記載されている場合、遺言書を添付すれば名義変更の手続きが可能です。一方で、遺言書がない場合は、遺産協議で相続人を決める必要があります。
また、相続人が1人で単独相続するのか、相続人全員で共同相続するかによって必要書類が変わるので注意が必要です。所有者が確定していれば必要書類を揃えるだけなので、名義変更の手続きはスムーズに済むでしょう。
必要書類を揃えて手続き
最後に、所有者が確定したら警察署で車庫証明を申請し、申請している間にその他の必要書類も揃えておきましょう。車庫証明の交付日数は申請先の警察署によって異なります。早ければ3営業日後、遅いと6営業日後になるので注意が必要です。必要書類が全て揃ったら、管轄の運輸支局で名義変更を行います。
また、自動車を共同相続する場合は相続人の中から1人代表を決め、その人の名義で車庫証明を発行し名義変更の手続きをしましょう。
相続における自動車の名義変更方法
次は、相続で自動車の名義変更を行う場合の費用や、当事者以外でも手続きの代行ができるか解説します。
相続で自動車の名義変更を行う場合の費用
相続で自動車の名義変更を行う場合の費用は下記の通りです。
被相続人(死亡者)の戸籍謄本 約500円
相続人の印鑑証明 約300円
車庫証明代 約3,000円
ナンバープレート代 約1,500円(管轄が変わる場合)
移転登録手数料(印紙代) 約500円
ご自身で手続きを全て行う場合は、約6,000円で名義変更ができます。しかし、行政書士や自動車ディーラーで手続きの代行を依頼すると、代行費用として1万円以上費用が発生する可能性があるのでご注意ください。管轄の警察署や運輸支局によっては上記で紹介した費用が異なる場合もあるので、事前に確認しておくと良いでしょう。
当事者以外の人に名義変更を代行してもらうことはできる?
当事者以外の人に名義変更を代行してもらえます。しかし、必要書類に加えて相続人の実印を押印した委任状が必要です。委任状は運輸支局やインターネットでダウンロードができます。そのため家族や知人に、代行してもらうことが可能です。とはいえ、平日に時間が作れない人が多く、行政書士や買取店に依頼する人も多いです。
相続におけるケース別手続き方法
次は、相続におけるケース別の手続き方法を解説します。
名義変更を行う前に確認すべきこと
自動車を相続する際、通常の名義変更の書類に加えて遺産協議書が必要なケースと、遺産分割協議成立申込書が必要な場合があります。また、軽自動車の場合は普通車よりも必要書類が少ないです。では、どのようなケースで必要書類が変わるのでしょうか。詳しく解説します。
遺産分割協議書が必要なケース
遺言書に相続人が記載されておらず、相続人を遺産協議の中で決める場合は、遺産分割協議書が必要です。遺産協議で誰が自動車を相続するか決まったら、遺産協議を元に作成された遺産分割協議書を添付して、名義変更の手続きをしなければなりません。
遺産分割協議成立申立書で対応できるケース
相続する自動車の時価額が100万円以下の場合は、遺産分割協議書が簡略化された「遺産分割協議成立申込書」を、通常の名義変更の書類に加えて手続きをします。遺産分割協議書は、相続人全員の実印が必要です。一方で、遺産分割協議成立書は相続する人の実印だけで手続きができます。
しかし、相続する車の価値が100万円以下かどうかを証明しなければなりません。そのため、買取店などで査定してもらう必要があります。遺産分割協議成立申込書を添付して名義変更する場合は、買取店で入手した査定書も必要なので注意してください。
軽自動車の相続の場合
軽自動車を相続する場合は、遺産分割協議書や遺産分割協議成立申込書も必要がありません。なぜなら軽自動車は普通車より価値が比較的低く、遺産争いが考えにくいからです。そのため、軽自動車の名義変更は普通車より手間なく手続きができます。
また、軽自動車を相続する場合は、普通車とは異なり運輸支局ではなく軽自動車検査協会で名義変更の手続きをします。
相続の流れと必要書類
自動車を相続する場合の流れは下記の通りです。
相続する自動車の所有者を確定
必要書類の準備
運輸支局または軽自動車検査協会で名義変更の手続き
運輸支局は営業時間が平日8:45〜16:00なので、その間に手続きができるよう、スケジュールを調整しましょう。次は、相続した自動車の名義変更に必要な書類を解説します。
自動車の名義変更に必要な書類
自動車の名義変更に必要な書類は下記の通りです。
書類名 |
備考 |
被相続人の戸籍謄本 |
被相続人の死亡が確認でき、相続人が全員記載されているもの |
相続人の印鑑証明 |
共同名義にする場合は、相続人全員の印鑑証明が必要 |
相続人の実印 | 相続人以外が名義変更する場合は、実印を押印した委任状も必要 |
遺産分割協議書 | ・相続人全員の実印の押印が必要 ・自動車の時価額が100万円以下の場合は、遺産分割協議成立申込書で手続きが可能 ・軽自動車の場合は不要 |
車検証(原本) | 車検証を紛失している場合は、再発行の手続きが必要 |
車庫証明 | 被相続人と相続人が同居の場合は不要 |
以上の6点を揃えて、管轄の運輸支局で名義変更の手続きをしましょう。
その他のパターンでの名義変更における注意点
相続した自動車の名義変更後に、注意点がいくつかあります。これから紹介する注意点も把握しておけば、スムーズに自動車を手放せるでしょう。
自動車を売却する場合
単独相続した場合、自動車の所有権は1人のものなので、売却に関して特に問題はありません。しかし、共同相続で売却した際に出た利益を、複数の相続人でもめてしまう可能性があります。相続した自動車を売却する予定があれば、単独相続で名義変更の手続きをした方が、相続人同士のトラブルを回避できるでしょう。
廃車をする予定の場合
自動車は所有しているだけで税金が発生するので、廃車する予定があれば速やかに名義変更して廃車手続き(永久抹消登録)を済ませておきましょう。さらに、相続した自動車が不動車の場合は解体業者までレッカー搬送してもらわなければなりません。
手間も費用も発生するため、無料で引取や手続きをしてくれる買取店に廃車の依頼をすると良いでしょう。加入している自動車保険の解約も、忘れないようにしてください。
未成年者が相続する場合
未成年者は遺産分割協議ができないため、父母以外の第三者を特別代理人として立てる必要があります。父母も自動車の相続権がある場合が多く、利益反則行為になるため父母を特別代理人として立てられないのです。家庭裁判所の審判で第三者の特別代理人が決められたあと、特別代理人は遺産分割協議に参加できるようになります。署名捺印などの手続きを特別代理人が未成年の代わりに行い、名義変更の手続きをします。
また、通常の必要書類に加えて、下記の書類が必要になる陸運局もあるので、事前に問い合わせて確認しておきましょう。
・特別代理人選任の審判書の謄本
・特別代理人の印鑑証明書
名義変更の方法を理解して適切に手続きを進めよう
相続した自動車の名義変更の方法で、押さえておくポイントは誰が相続するかです。単独相続なのか、それとも共同相続するのかを初めに明確にしておくと必要書類を揃えやすいのでスムーズに手続きができます。さらに、所有者が被相続人ではなく、ローン会社や自動車販売店になっている可能性もあるので事前に確認をしておきましょう。上記の場合は、残債を全て精算して所有者を相続人にする(所有権解除)手続きも行う必要があります。
また、平日に時間がなく、ご自身で名義変更の手続きができない場合は、行政書士や買取店に依頼するなどして、手間をかけずに手続きを行うのもおすすめです。相続した自動車の名義変更を先延ばしにするメリットはないので、速やかに名義変更の手続きするようにしましょう。
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