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「自分のクルマを売ったら、いくらになる?」と考えたことはありませんか。金額は、おそらく購入したときより低くなることを想定したでしょう。しかし、クラシックカーは、買ったときよりも高く売れることがあります。
クラシックカー投資には、愛好家やコレクターだけではなく投資ファンドも参入しています。つまり、それだけ儲かる可能性があるということなのです。
日本の状況も交えながら、海外で盛んに行われているクラシックカー投資について紹介します。
■クラシックカー投資とは?
クルマの価値は、一般的には経年劣化とともに下がっていきます。しかし、コレクターに人気がある一部の車種については市場価値が上昇することがあります。
クルマは、所有することに喜びがあり、便利な移動手段なだけではなく、資産でもあるのです。
クラシックカー投資は、ヴィンテージカーや希少な車両を購入し、長期的に価値が上昇したら売却する投資手法です。これらのクルマは、デザインや製造数、逸話などが要因となり、市場価値が高まることがあります。
たとえば、フェラーリ250GTOやポルシェ911の初期モデルなどは、コレクターの間で高値で取引されています。2018年には、1962年製フェラーリ250GTOが、オークションで4800万ドル(約52億円)で落札され、大きなニュースとなりました。
■海外のクラシックカー市場について
歌手やハリウッドのセレブにも、クルマコレクターが多くいます。たとえば、レディー・ガガ、ニコラス・ケイジ、アーノルド・シュワルツェネッガー、リチャード・ギア、ローワン・アトキンソンといった面々です。有名人が所有すると、オークションの際により一層、価値が高まります。
海外ではクラシックカーの取引がとても盛んです。特にヨーロッパやアメリカでは、大規模なオークションや展示会が定期的に開催され、多くの投資家やコレクターが集まります。
主要なクラシックカーイベント
●ペブルビーチ・コンクール・デレガンス(アメリカ):
カリフォルニア州の有名なゴルフ場で開催されるクラシックカーイベントで、よりすぐりのクルマが展示され、オークションも行われます。
●グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード(英国):
リッチモンド公爵家が主催する由緒正しき催しです。希少なクラシックカーが公道やサーキットで走る姿を見ることができます。
このようなクラシックカーのイベントでは、プロの鑑定士が車両の価値を査定し信頼性が高い取引が行われます。そしてクラシックカーの希少性や保存状態の評価によって、価格が大きく変動することがあります。
■クラシックカー投資の魅力とは?
●希少価値:
生産台数が少ないモデルは、人気に応じて市場価値が上昇する傾向があります。
●デザインと芸術性:
クラシックカーの多くは、現代のクルマにはない独特のデザインや味わいがあります。
●資産の分散:
株式などとは異なり、クラシックカーは実物資産として投資ポートフォリオに多様性をもたらします。仮に株価が暴落してもクルマの価値への影響は限定的です。また、金融市場のボラティリティ(変動)に比べたらクラシックカーの価値の推移は、なだらかです。
昨今は、日本でもインフレに転じていますが、そうすると現金の価値は目減りしていきます。クラシックカーは、インフレにも強いのが利点です。これは金や不動産、腕時計の投資にも同じことが言えます。
●クルマ愛好家にとって最高の体験:
クルマ好きの人にとって、クルマを購入し所有して、手入れをするだけで大きな喜びです。そんなコレクションに将来、高値がつくかもしれないと思うとワクワクします。
■クラシックカー投資において注意すべき点とは
投資にはリスクがつきもので、クラシックカー投資も例外ではありません。
●維持費:
まずクルマを管理する駐車場や車庫が必要です。運転しないとしても、大事な資産ですので保険をかけるのが無難です。クルマは機械ですので経年劣化していきます。クラシックカーのメンテナンスは高額な傾向があります。パーツの入手が難しく、修理は専門の技術者への依頼が必要な場合があり、維持費がかさみます。
●市場の流動性:
株式や債権と比べると、クラシックカーの市場は流動性が低いです。適切な買い手を見つけるまでに時間がかかることがあります。急きょ、現金が必要なときには不向きです。
●価値の変動:
市場のトレンドや需要により、クラシックカーの価値は変動します。必ず価値が上がるわけではないことを理解しましょう。クルマとしての性能は何もしなければ次第に劣化していきます。新車より中古車が低価格なのはそのためです。それ以上に価値が上がる何かを持っているクルマ、あるいは価値が上がる可能性があるクルマを選ぶことが重要です。
●偽物の流通:
高価なクラシックカーに似せて偽造された車両が出回ることがあります。不安がある場合は、専門家によるチェックを推奨します。
■日本のクラシックカー事情について
日本でも、旧車への関心は高まっています。例えば、トヨタ2000GTや日産スカイラインGT-R(ハコスカ)など、日本のクラシックカーは国内外で人気があります。
日本でもクラシックカーのイベントが各地で開催され、愛好家の交流の場となっています。
海外に比べると日本のクラシックカー市場は、まだ成長途上です。今後、さらに発展していくことを期待しましょう。
■敷居が高いと感じる人のための奥の手とは
「価値が上がるまで気長に待ちたくない。短期間で成果を出したい」という人は、壊れているものの潜在的な価値が高いクルマを入手して修理したりカスタムパーツをつけたりするのはいかがでしょうか。手間暇はかかりますが、短期間でクルマの価値を高めることが可能です。
クラシックカー投資には、ある程度まとまった資金が必要になります。「予算があまりないけどクルマ投資をしてみたい」という人は、中古車市場であまり買い手がつかない手頃なクルマを購入して、レストア(復元)や修理をして、再び中古車市場で販売するという手もあります。低価格帯のクルマは長期的な価格の上昇幅が小さくなりがちですので短期決戦で売り手を見つけるのが懸命でしょう。
■まとめ
ラシックカー投資は、腕時計投資やアート投資、ワイン投資に近いものがあります。
脱炭素の流れで煙たがられがちなエンジン車ですが、EV化が進んでいることから将来的に骨董品として価値が上がることが期待できます。現在の機関車の価値を想像してみてください。
ハイリターンを狙うなら、価値が上がりそうなクルマを入手して長期的な価値の上昇をゆっくりじっくり狙うのが良いでしょう。
「真剣に売却益を追い求めるのか」もしくは「趣味の延長として行うのか」。自分はどちらが向いているかを考えてみましょう。
[画像/Porsche, Lamborghini, Mercedes-Benz, Toyota, Rolls-Royce・ライター/Takuya Nagata]