去る2023年5月6、7日の2日間に渡り、旧西ベルリンのクアフュルステンダム通りを会場に「Classic Days Berlin(クラシック・デイズ・ベルリン)」が開催されました。
同イベントは、毎年2000台以上の希少価値の高いクラシックカーが通り沿いに展示され、70万人を超える来場者が訪れる大人気イベントです。
高級ブランドショップが立ち並ぶショッピングスポットとしても有名なクアフュルステンダム通りの約2キロメートルを歩行者天国として開放し、クルマの展示だけでなく、飲食のできるフードエリアやトークショーが開催されるステージなども設置され、まるでフェスティバルのようです。
初日の土曜日は曇り空でしたが、日曜日は天候にも恵まれ、多数の人で賑わう大盛況イベントとなりました。
その様子を現地レポートとしてお届けします。
「Calssic Days Berlin」は「人々にインスピレーションを与え、都市と自動車の生きた歴史を伝える」という理念を掲げています。
開催地となったクアフュルステンダム通りは「選帝候の道」という意味を持ち、ベルリン最古の通りのひとつとして16世紀にベルリンの中心地にある王宮から郊外の狩りの館へ出向くために造られたといわれています。
そんな歴史的背景を持つ有名な通りを埋め尽くすクラシックカーたちは、より一層高級感を漂わせ、貴族のようなエレガントで堂々とした佇まいを見せていました。
ズラリと並んだ個性豊かなクラシックカーの多くは個人が所有しており、オーナー自ら運転しながら自慢の愛車とともに通りに登場するといった名物パフォーマンスが披露されました。
好みのクルマが通るたびに歓声が上がったり、多くの人がスマホやカメラを向けて我先にと撮影を開始します。
それだけ珍しく、希少価値の高いクルマが多く、筆者もずっと興奮が止まりませんでした。
メルセデス・ベンツ、アルファ ロメオ、アウディ、BMW、ベントレー、シボレー、シトロエン、DS、ジャガー、ジープ、ランドローバー、マセラティ、フェラーリ、フォード、シュコダ、ボルボ、VW、ポルシェといった、まさにクルマメーカーのドリームチームが集結し、メーカーごと数台ずつ並んで展示されていたのも特徴的です。
また、通りの両側には各メーカーや部品メーカーなどのテントブースやショールームが設置され、クラシックカーや最新モデルの展示販売が行われていました。
ベルリンの街中でも頻繁に見かけるクラシックカーですが、メルセデス・ベンツやフォルクスワーゲンといったドイツメーカーのクルマが多く、白、黒、グレー、赤など定番のカラーが多数です。
しかし、「Classic Days Berlin」では街では見たことのないメーカー、年代、デザイン、カラーが多く、まるでクラシックカーのファッションショーを見ているようで、華やかな気分に浸ることもできました。
そんな魅力的なクラシックカーが2000台以上集結していたなかから、筆者が特に印象に残ったクルマを紹介していきたいと思います。
まず、最寄りの地下鉄の駅から通りにでるとすぐにワーゲンの通学バス「Wagen 1126」が出迎えてくれました。
ベルリンの公共交通機構のBVGが実際に使用していた1957年に生産された2階建てバスに試乗できるサービスを行っており、子どもたちに大人気でした。
ビビッドだけど深みもあるグリーンカラーが美しく、品も漂う「アルファ ロメオ 1300 ti」。1962年から1977年まで生産されていたモデルです。
多数展示されていたメルセデス・ベンツのなかではこちらの「メルセデス・ベンツ 190 SL」は圧倒的な存在感と迫力がありました。
ブラックカラーも渋くて、こんなオープンカーに乗ってみたい憧れのメルセデス・ベンツです。
販売元はテューリンゲン州シュライツに拠点を構える2014年に設立されたクラシックカーとバイクの専門店「エーデルワイス・カスタム」です。
コロンとしたかわいいフォルムながら、車内は高貴溢れるデザインで、これからの季節にもぴったりな淡いブルーが美しい「FMR TG 500」は人集りができるほどの人気を誇っていました。
ドイツの「Fahrzeug- und Maschinenbau Regensburg GmbH(*略称FMR)」が生み出した史上最速のキャビンスクーターとして活躍した「Tiger」は、現在ではオークションにかけられているとのことで、お目にかかれたのはラッキーでした。
展示や販売されていたクルマ以外にも中世ヨーロッパの貴族のファッションに扮した来場者やオーナーを発見して、歴史へのリスペクトを感じさせました。
ほかにも、メルセデス・ベンツやフォルクスワーゲンの年代物のトラックを改造したフードトラックも多数出店しており、同イベントの徹底した主旨にも感心しました。
「Classic Days Berlin」が開催されていたことは以前から知っていましたが、今年のようにきちんと参加したのは初めて。
わずか1日でこれほど多くのクラシックカーを見られるイベントは他になく、来年もまた絶対に参加したいと思えるほど充実した内容でした。
[ライター・撮影/Kana Miyazawa]