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クルマと付き合う際、避けては通れないメンテナンス。
旧車となると、一筋縄でいかないことも多い。
どのように愛車の健康管理を行っていくか、筆者の経験から感じたことを今回は紹介したいと思う。
■メンテナンス、どうすればよいの?
クルマのメンテナンスは、機関系とボディ系のジャンルがあると考える。
今回は、機関系のメンテナンスをテーマにしたいと思う。
愛車家の皆様においては、手厚いメンテナンスを行っている方も多いことだろう。
不調が出る前に予防整備を行い、ベストな状態を維持する。
不調を感じ取り、対処整備を行い、調子を戻す。
どちらも走り続けるためには、必要なメンテナンスである。
旧車オーナーの多くは、中古車として愛車を手にしていることだろう。
メンテナンスを行うにあたって、自身で行うか?プロにお願いするか?
これらには、それぞれのメリットや判断ポイントがあるので、紹介していこう。
■DIY派は正しい知識と資料の確保が大切
メリット:
・構造が理解できる
・急な不具合にも対処するスキルがつく
冒頭に、伝えておかなくてはならないことがある。
DIYでのメンテナンスは、やり方を間違えると、重大な事故につながる恐れがある。
そのため、不安のある場合や分解整備を伴わない範囲で行っていただきたい。
現在、各種SNSを通じ、メンテナンスに関する情報が溢れている。
動画を使った説明は、分かりやすく参考になることもある。
それらの情報に触れ、同じようにメンテナンスが行えると思うことは、多いはずだ。
ただ、残念ながらすべてが、正しい内容とは限らない。
悪意を持って、間違えた方法を発信しているパターンもある。
そんなことは、もちろん言語道断である。
しかし、発信者が正しい方法や便利なやり方と思い紹介した内容が、実は危険な方法のケースもある。
そのような情報に対して、正しい方法なのかを見極めるために、受け取り側も正しい知識を備えることが必要だと考える。
筆者の場合、愛車のメンテナンスをDIYで行う機会が多い。
幸いなことに、家族が整備士の資格を持っており、メンテナンスが比較的やりやすい住環境と、恵まれていることも後押ししている。
メンテナンスをする中で、心強いアイテムとなるのは「整備要領書(サービスマニュアル)」である。
自動車メーカーが車種ごとに発行しており、整備手順や故障診断方法が記載されている。
整備士向けの内容となっているため、専門知識を備えていないと難解な内容だったりする。
ただ、構造の図解もあるため、知識を蓄えるには参考となるはずだ。
自身でメンテナンスを行わなくても「読みもの」として楽しむことができるだろう。
いざ、DIYでメンテナンスを行うに際して、注意しなくてはならないことが他にもある。
作業がうまくいかず、動けなくなった場合の対処法だ。
最悪なケースとして、レッカーで運ぶことも考え、作業場所を選ぶと良いと思う。
■経験豊富なプロにお任せ
メリット:
・経験に基づく確実な整備
・自身の時間を他に使える
最初は、メンテナンスをお願いしたくても、どこへお願いすれば良いかわからないものだ。
さらに旧車となった場合、なおさらである。大まかに3つの選択肢がある。
・自動車メーカーのディーラー
・整備工場
・同一車種の専門店
各々の特徴を紹介していこう。
旧車のなかでも、比較的年式の新しい車種は、自動車メーカーのディーラーでも診てもらえるだろう。
もちろん年式が古い場合でも、その車種のことを理解して、整備が行える環境にある店舗の場合、引き受けてくれるだろう。
しかし、条件が合致せず、引き受けられない旨の説明をされることもある。
旧車の場合、分からずに整備を進め、他の個所を壊してしまう危険性もある。
そのリスクを考えた場合、整備ができない旨を正直に打ち明け、断ってもらうことも双方にとって、良いことと考える。
ディーラーでは、保障の観点から、純正部品を用いた整備が基本となる。
そのため、純正部品が手に入らない車種の場合、比較的新しくても整備を断らざるを得ないケースも実際にはある。
整備工場では、純正部品に限らず、適合する社外部品や流用術のノウハウを用いて整備を行うことも多い。
また、旧車を得意とする整備工場も意外と多い。
街中で整備工場を目にする際、入庫している車種や年式が(良い意味で)偏っているお店は、意外と駆け込み寺となっていることもある。
愛車で気になることがある際は、そんな整備工場で相談をしてみるのも良いと思う。
旧車となると、特定の車種に関する情報を多く持つ、専門店の存在も大きい。
専門店では、同一車種を扱っている台数が多いことから、ノウハウを活かして診断してくれるだろう。
発生している不具合が、その車種や同メーカー同年代固有のウィークポイントということもある。
そんなウィークポイントの部品や長期で乗るにあたって必要な部品を、部品メーカーと共同で新たに製造しているパターンもある。
これは同一車種を多く診ている専門店ならではの動きである。
SNSやイベントを通じて、同じ車種・年代・メーカーのクルマに乗っている仲間からおすすめのお店を教えてもらうことも、大事な手段だと思う。
■プロならではの経験値でチェック
先日、お世話になっているディーラーで、愛車パルサーを診ていただく機会があった。
担当の方は、R32型スカイラインやN15型パルサーに乗っており、旧車への理解がある。
預ける際、気になる点を伝え、関連した不具合がないか診ていただいた。
筆者が感じていた気になる点は「高速道路を走行時、振動が発生する」という内容だ。
以前、高速道路を走行時に100km/h付近で振動を感じていた。
筆者の予想としては、タイヤのバランスが取れていないことで発生している振動と思っていた。
その後、新品のタイヤを履かせ、バランスを取り、不具合が解消されることを期待していた。
しかし、同様の速度域で再び振動が発生した。
原因はタイヤでは無いことがハッキリした。
次に、振動が出そうな部品を考えた。
4WDなので、前後の駆動を伝えるプロペラシャフト関連の部品を疑った。
診ていただく際、今までの経緯と素人なりの予想を伝えた。
預けてすぐに、原因は分かった。
フロントハブのベアリングの劣化によるものであった。
リフトに乗せられた、愛車のホイールを揺すると、ガタツキが目視できた。
経験豊富なプロの診断は、症状から的確にアタリを見つけられた。
仮に、筆者の予想を自身の判断だけで突き進んだ場合、プロペラシャフトのマウントやジョイントを疑い、おおごとになっていたことだろう。
今回、幸いなことにまだ純正部品の供給があり、交換をお願いすることにした。
DIYが多い筆者にしては「お店に頼むとは珍しい」と友人たちにいわれた。
今回、診断にて原因を特定していただき、作業内容を考え自身で行うのは困難と判断した。
ハブベアリング交換は、プレス機による圧入などが必要である。
プレス機等の必要になる設備を持っていないこと、近日中に乗って出かける予定があり、時間的余裕が無いため、作業をお願いした。
作業に1日以上かかるのではないかと思っていたが、プロの手にかかれば半日以内で無事完了した。
やはり固着等の問題はあったようだが、充実した設備、豊富な経験から乗り越えられるのはプロのなせる業であると感じた。
■まとめ:自身で行える範囲はDIYで楽しみ、重整備はプロに任せる
メンテナンスを楽しむのも旧車の醍醐味である。
自身で行える範囲はDIYで楽しみ、重整備はプロに任せる。
バランスよくメンテナンスを行うことで、快調な愛車での旧車ライフを楽しむことができるはずだ。
[ライター・撮影/お杉]