高齢者は事故を起こすリスクが比較的高いため、任意の自動車保険(以下、自動車保険)の保険料が高い傾向にあります。一方で、契約内容や保険会社などを見直すことで、保険料負担を抑えることが可能です。
この記事では、高齢者の自動車保険料が高い理由や保険料を抑える方法、おすすめの補償・特約などについて詳しく解説します。
高齢者の自動車保険料が高い理由
なぜ高齢者の自動車保険料は高い傾向にあるのでしょうか。主にクルマを運転する人の年齢と保険料の関係とあわせて解説します。
高齢者は事故のリスクが高いため
自動車保険の保険料は、原則として年齢を重ねるほど安くなります。年齢を重ねたドライバーは、若年のドライバーよりも運転経験を積み運転技術も向上しており、事故を起こすリスクが低いと考えられているためです。
しかし、高齢者になると身体機能の衰えや判断力の低下などにより事故のリスクが高まるため、自動車保険料は高くなることがあります。
警察庁の発表によると、2023年における65歳以上の高齢運転者(第1当事者)が起こした交通事故の件数は4,819件でした。また、全交通事故に占める高齢運転者の事故割合は15.4%にのぼります。
出典:警察庁「防ごう!高齢者の交通事故!」
記名被保険者の年齢によって保険料は変わる
自動車保険では、運転する人の年齢ごとの事故リスクに応じた保険料を算出するために、記名被保険者の年齢区分によって異なる料率が設定されます。記名被保険者とは、自動車保険の契約対象となるクルマを主に利用する人のことです。
記名被保険者の年齢区分は保険会社によって異なりますが、一般的には以下のように設定されます。
-
・29歳以下
・30~39歳
・40〜49歳
・50〜59歳
・60〜69歳
・70歳以上 -
高齢者は事故率が高いため、保険料率も高めに設定されます。そのため、記名被保険者が高齢者である場合、年齢が上がるほど保険料も高くなるのが一般的です。
高齢者の自動車保険を抑える方法
自動車保険の保険料は工夫次第で抑えることができます。ここでは、高齢ドライバーが自動車保険料を抑える方法を解説します。
通販型(ダイレクト型)の保険を選ぶ
通販型(ダイレクト型)の自動車保険とは、インターネットや電話で直接契約する保険のことです。
自動車のディーラーや保険代理店などが介在しないため、代理店手数料がかからない分、保険料は割安です。代理店型自動車保険に加入している方は、ダイレクト型自動車保険に乗り換えることで保険料を抑えられる可能性があります。
ただし、ダイレクト型自動車保険は基本的に対面でのサポートが受けられません。契約をするときは、自身でインターネットや書籍で自動車保険について調べて補償内容を決め、パソコンやスマートフォンなどから申し込み手続きをする必要があります。
また、事故が発生した際は保険会社と直接やり取りをする必要があります。ダイレクト型自動車保険への乗り換えを検討するときは、契約内容を決めるときや事故が発生したときなどに自身で対応できるのかをよく考えることが大切です。
運転者の範囲や年齢を限定する
自動車保険は「運転者限定特約」で補償の対象となる運転者の範囲を限定すると保険料を抑えられます。特約の種類は保険会社によって異なりますが、一般的には下記のとおりです。
種類 |
補償される運転者 |
本人限定特約 |
1.主に運転をする方(記名被保険者) |
本人・配偶者限定特約 |
1.主に運転をする方(記名被保険者) |
家族限定特約 |
1.主に運転をする方(記名被保険者) |
たとえば、自身のほかに誰もクルマを運転しない場合は「本人限定特約」を付けることで保険料を抑えられるでしょう。
自動車保険の補償対象となる人の年齢に関する条件(運転者年齢条件)を適切に設定することも重要です。
自動車保険に加入するときは、補償対象となる運転者の年齢の区分を選択します。区分の選択肢は保険会社によって異なりますが、「全年齢」「21歳以上補償」や「26歳以上補償」などが一般的です。年齢の下限が高いほど保険料は安くなる仕組みです。
10〜30代の親族がクルマを運転しない場合は、運転者年齢条件を26歳以上補償や30歳以上補償などにすると保険料を抑えることができます。
走行距離を見直す
ダイレクト型自動車保険は、年間走行距離に応じて保険料が変わるのが主流です。保険会社によって異なりますが、3,000km以下、3,000km超5,000km以下、5,000km超10,000km以下、10,000km超といった区分ごとに保険料が設定されます。
年間の走行距離が長いほど事故に遭うリスクが高いと判断され、保険料は高くなります。
年間走行距離の決まり方は「過去1年間の走行距離」と「今後1年間の予定走行距離」のいずれかです。このうち、保険料を抑えやすいのは今後1年間の予定走行距離で決まるタイプです。
たとえば、高齢になり運転をする機会が減ったときは、走行距離を少なく申告すると保険料を抑えられる可能性があります。
使用目的を見直す
自動車保険の保険料は、クルマの使用目的によっても変わります。使用目的は「日常・レジャー」「通勤・通学」「業務」の3種類から選ぶのが一般的です。保険料は日常・レジャー用がもっとも安く、業務がもっとも高くなります。
保険料を抑えたいときは、クルマの使用目的が適切か確認するとよいでしょう。
たとえば、定年退職を迎えて通勤のためにクルマを使わなくなった場合は、使用目的を通勤・通学から日常・レジャーに変更すると、保険料を抑えられる可能性があります。
型式別料率クラスの低いクルマに乗り換える
型式別料率クラスは、クルマの型式ごとの事故実績を保険料に反映させるための制度です。
車種ごとの保険金支払の実績にもとづいて、普通自動車は1〜17、軽自動車は1〜3(※)までの料率クラスに分けて保険料が設定されます。保険金の支払実績が多いと料率クラスの数字は大きくなり、保険料は高くなっていきます。
※保険始期日が2025年1月1日以降の場合は1~7の7段階
クルマの乗り換えを予定している場合は、自動車保険料を抑えるために型式別料率クラスが低い車種を選ぶのも1つの方法です。型式別料率クラスは損害保険料算出機構の型式別料率クラス検索で調べられます。
複数の保険商品を比較する
同じ補償内容でも保険会社によって保険料は異なります。複数の自動車保険を比較して選ぶことで、保険料を抑えられる可能性があります。
自動車保険を比較する際は、インターネットの一括見積もりを活用するとよいでしょう。補償対象となるクルマや補償内容などを入力すると、短い時間で複数の保険会社の自動車保険を無料で比較できます。
高齢者が付帯を検討したい補償・特約
高齢者の方が自動車保険に加入する際に検討したい補償と特約には「人身傷害保険」と「弁護士費用特約」が挙げられます。それぞれの補償内容と必要性を解説します。
人身傷害保険
人身傷害保険とは、事故で自身や同乗者がケガをしたときの治療費や働けなくなった間の収入などを補償する保険のことです。契約時に決めた保険金額を上限として、過失割合(事故における自分と相手の責任の割合)にかかわらず実際の損害額が支払われます。
人身傷害保険の特徴は、相手がいる事故だけでなく高齢者に多い単独事故も補償されることです。警察庁によると、75歳以上の高齢ドライバーが起こした死亡事故の43.8%が単独事故であり、そのうちの半分以上が分離帯や信号機、標識などの工作物への衝突です。
出典:警察庁「令和4年における交通事故の発生状況について」
人身傷害保険に加入すると、単独事故でケガをしたときの治療費や後遺障害が生じたときの将来の介護料が補償されます。
相手がいる事故を起こしたときは、相手方との示談交渉を待たずに保険金が支払われるため、治療費や当面の生活費などをすぐに準備できます。
一般的に高齢者は、身体機能の衰えによりケガのリスクが高まるため、人身傷害保険に加入して事故に備えるのも1つの方法です。
弁護士費用特約
弁護士費用特約は、自動車事故で被害者になり相手方への損害賠償請求を弁護士に委任する際の費用を補償する特約です。一定の金額を上限に、弁護士に委任した際の着手金や報酬金、法律相談費用など実際にかかった金額が補償されます。
交通事故の被害者になったとき、弁護士に相手方との交渉を依頼することがあります。たとえば、自身に責任が一切ない「もらい事故」が発生するケースです。もらい事故の例は、下記のとおりです。
・信号待ちをしているときに追突された
・横断歩道を歩行中に信号無視をしたクルマにひかれた
・対向車がセンターラインを越えて走行し自車と正面衝突をした
もらい事故では、被害者側が加入する保険会社の示談交渉サービスを利用できません。自身で交渉をする場合、保険会社を相手にすることになるため不利な立場になりやすいです。
弁護士費用特約を付けていれば、もらい事故の被害者になった際、弁護士に依頼する費用を保険金で賄うことができます。交渉をプロに任せられるだけでなく、セカンドライフに向けて準備した資金を大幅に減らさずに済むでしょう。
高齢者になってから自動車保険に新規加入はできる?
自動車保険は加入する人の年齢に上限がないため、高齢者になってからも自動車保険に新規加入できます。契約を更新できる年齢にも上限はありません。
まとめ
自動車保険は、記名被保険者の年齢区分ごとに保険料率が設定されています。高齢者は事故リスクが高いために保険料率が高く設定される傾向にあります。
保険料を抑えたいときは「ダイレクト型自動車保険に乗り換える」「運転者の範囲や年齢を限定する」などで対処するとよいでしょう。
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