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アメリカの自動車登録に関する規定は、50州ごとで異なります。
排気ガスに関する規定はそのうちのひとつで、もっとも厳しいのはカリフォルニアではないでしょうか。
■20数年前のLA近郊はスモッグで街全体が煙に包まれたかのよう
私がアメリカに来たころ(二十数年前)のLA近郊は、スモッグにより街全体が煙に包まれたような日がありましたが、排気ガスの規制が年々厳しくなったり、古いクルマが徐々に少なくなっていったことで改善されていった気がします。
▲キレイな夕焼けも見せてくれます
その頃はまだまだ70年代、80年代のクルマがバリバリ走っていましたし、スモッグチェック(排気ガスの検査)が通らないクルマでも見逃してくれる業者がいたほどです(当時、私は75年式のモンテカルロに乗っていました)。
今はシステムがテスト業者とDMV(日本の陸運局にあたるところ)で直結になったので、そんな裏技をする(してくれる)業者はかなり少なくなったと思います。
しかし、今でもたまに程度良く維持されている初代シビックや、初代プレリュード(ホンダが多い)が元気に走っている姿を見かけます。
新車登録の際、カリフォルニアにおける排気ガス規定(Emission Standard)はとても重要で、州内のメーカーディーラーから購入する場合であれば、当然販売ディーラーは州内における登録を前提としているので問題はありません。
ただし州外のディーラーから購入する際は、カリフォルニア適応、もしくは50州適応のクルマかどうかしっかりと確認する必要があります。
今まで州内・州外ディーラーどちらとも取引をしましたが、メーカーディーラーで働いている販売営業の人間は知識が乏しいため、念には念を入れないとあとで大変面倒なことになります。
カリフォルニアの排気ガス規定に適合するかは、エンジンルーム内にあるEPAステッカーで確認できます。
▲こちらがEPA ステッカー。今はほとんどのメーカーが、初めからCalifornia Emission Standardになっているようです
■厳しい排ガス規制が、LAの人々の環境に対する意識を高めた
この排気ガス規制の厳しい環境だからこそ、LAの人々の環境に対する意識は他州よりは高く、『環境に配慮していることを他者へアピール』⇒『スマートなイメージ』の図式があるように感じます。
このような土壌のなかで、EV、特にテスラは着実にLAでのシェアを獲得しています。
数年前は、日本同様とにかくプリウス(先々代)の数が多く、信号待ちで「四方八方プリウスに囲まれている!」ってことがよくありました。
それが最近はテスラになっています。
前は、Model 3、左右がModel Y、後ろはModel Xといった風に。
アメリカ企業であり、強烈なカリスマ性のあるイーロン・マスクに惹かれる【愛国心の強さ】+【トレンドに敏感】な人々が、それまで乗っていたクルマ(日本、ヨーロッパメーカーが多い)から乗り換えるパターンが多いように思います。
実際、最近私のご近所さんも、1件はレクサス ES300からModel 3へ、もう1件はそれまでトヨタばかり4台所有していたのに、5台目としてModel 3を増車しました。
州のEV購入支援(最大$7,500の税金控除)や、Car Pool(相乗りレーン)の一人乗車での使用可能(テスラは2023年度モデルまで)も、人々の購入を後押ししていると思います。
また私が感じるに、アメリカの人、特にLAの人々はとてもフェアで、合理的な考えを持っています。
なのでとてもフレキシブル。
自分たちの生活に合っていて、それがトレンドや時流に合っていれば、それを選択するのです(なかには、「うちは絶対フォード (シェビー)しか買わない!」という人もいますが…)。
テスラを追随するように、Lucid、Rivian、Polester、FiskerなどEVに特化したメーカーの参入、また大手メーカーも次々とEVのラインナップを投入してしのぎを削っている状況ですが、最近そのなかでも韓国メーカーの台頭が目立ちます。
▲Rivian R1T
▲Rivian R1S。かわいい外見ですが、実用性も高いです
▲RivianはAmazonデリバリーバンも製造しています
■韓国の自動車メーカーはとにかくマーケットへの対応が早い!
以前から感じていましたが、韓国メーカーはとにかくマーケットへの対応が早いのです!
マイナーチェンジも頻繁に行い、消費者に対して常に目新しさを提供してきますし、EVに関しても次々と新しいモデルを投入し、キャッチーなデザイン、標準装備の多さ、どのメーカーよりも長いWarrantyでLAの人々に受け入れられている感があります。
ですが従来からのアメリカンメーカーも負けていません。
以前はシェルビーのVoltとBoltくらいしか見かけませんでしたが、フォード F-150 Lighting、Mach-Eも、よく見かけるようになりました。
【ブランド】+【デザイン】でポジションを確立しているヨーロッパメーカーには、やはり安定の強さがあります。
特にメルセデス・ベンツのEQシリーズ、ポルシェ タイカンも増加中。
(このあたりはテスラのModel S/Xと価格帯がかぶるのでしょうか)
私は日本人として、やはり日本メーカーに頑張ってもらいたいと心より思っているのですが、100% EVの選択肢がまだ少ないのが現状です。
・トヨタ bz4x (252miles)
・日産 Ariya (304miles)
・日産 Leaf (149miles)
・マツダ MX-30 (100miles!?)
・スバル Solterra (228miles)
※カッコ内は市街/ハイウェイを合わせた平均走行可能距離
(ちなみにTesraはほぼ300マイル/約483キロ超え)
Youtube ShortのレビューでもAriya以外は結構酷評…。
コロナの影響をもろに受けた人も多いなか、印象としては好景気が続き、人々のインカムは上昇。
利上げの影響すら、一部の人にはあまり大きな影響を与えていないようで、10万ドルを超えるEVの需要も確実に伸びています。
■ファミリー層でEV1台のみという家庭はかなり少数派
シングルの方は除いて、EV1台のみを所有するファミリーはかなり少なく、ほとんどが複数台所有(公共交通機関があまり便利でない+その他の理由によりetc...)という環境下、今所有しているガソリン車・ハイブリッド車からEVへの買い替えは、今後も増加いしていくと思われます。
各メーカーが在来モデルをEV化させマーケットに送り込んでくるなか、現状ハイブリッドを中心に展開しているトヨタが2026年、新しいバッテリー方式(Solid-State:全個体電池)を搭載したモデルを投入するとのこと。
今のメインストリームとなっているリチウムバッテリー搭載車勢に勝負を挑むときが非常に楽しみです。
[ライター・撮影 / Kenny.M]