マニュアル車に乗っていると「フライホイールを軽量化した方が走りがよくなる」と言われることがあるのではないでしょうか。
今回はフライホイールが必要な理由や原理と役割、軽量化で得られる効果について紹介します。フライホイールについて調べている方は参考にしてみてください。
フライホイールとは?
フライホイールは、クランクシャフトの端につけられている円盤状のパーツです。日本語で「弾み車」といわれます。マニュアル車には必ずある部品です。オートマチック車の場合にはトルクコンバーターがその代わりを果たすため使われていません。また、エンジンの回転を均一に保ったりエンジンを始動させたりする役割も担っています。
まずは、フライホイールが必要な理由とその原理を詳しく解説します。
フライホイールが必要な理由
エンジンは、吸気・圧縮・燃焼・排気という4つのサイクルで動いています。この4つサイクルの中でエネルギーを発生させられるのは燃焼行程だけです。それ以外の行程では動力が生み出されないため、フライホイールがない場合、アイドリングが安定しなくなります。
フライホイールの原理
フライホイールは円盤状の部品で、外側部分が歯車になっているのが特徴です。トランスミッション側のクランクシャフトの端に取り付けられています。
フライホイールは、慣性の法則を利用して回転するパーツとなっています。慣性の法則とは、運動している物体は運動を続け、静止している物体はいつまでも静止し続けるという法則です。エンジンが動き出すことによって回り始めたフライホイールは、慣性の法則によって回転し続けるため、エンジンの回転ムラを抑えることができるのです。
たとえば、手に空のペットボトルを持って腕を回した場合、腕を回すのに大きな力は必要なく、止めたいときに止めることができます。しかし、2Lの水が入ったペットボトルを持っている場合、動かし始めるのに大きな力が必要となり、自分が止めたいと思った瞬間に止めることが難しいでしょう。
これと同じ原理でフライホイールは作動しています。
フライホイールの役割
フライホイールの役割は以下の3つです。
- ・エンジンの回転ムラをなくす
- ・エンジンの動力を伝える
- ・エンジンの始動
それぞれ詳しく解説します。
エンジンの回転ムラをなくす
エンジンは、吸気・圧縮・燃焼・排気という4つのサイクルを繰り返して動力を発生させています。このプロセスを通じて発生したエネルギーは、クランクシャフトで、回転運動に変えられ、車輪に伝わります。
また、エンジンで発生した回転エネルギーは、クランクシャフトを通じてフライホイールにも伝わります。回転エネルギーを受けたフライホイールは、慣性の法則に従って運動を続けようとするため、燃焼以外のプロセスでもエンジンが止まることなく安定して回り続けるのです。
エンジンの動力を伝える
フライホイールには動力をクラッチディスクに伝達する役割もあります。
エンジンで発生した動力は、フライホイールに伝わり、フライホイールとクラッチディスクがつながることで、トランスミッションにエンジンの動力が伝達されます。つまり、エンジン側のフライホイールとトランスミッション側のクラッチディスクがくっついたり離れたりすることで動力の伝達・遮断が行われるのです。
エンジンの始動
フライホイールはエンジンをスタートさせるときにも必要です。エンジンをスタートさせるためには、はじめに動き出すきっかけ、つまり、外側から力をかけなければなりません。
フライホイールの外周にあるリングギアにセルモーターが噛み合ってフライホイールが回転すると、エンジンが動き始めます。つまり、エンジンの始動にもフライホイールは欠かせないのです。
軽量フライホイールとは?
軽量フライホイールとは、クランクシャフトの端に取り付けられているフライホイールの重さを軽くしたタイプです。ここからは、軽量フライホイールのメリットとデメリットを解説します。
フライホイールを軽量化するメリット
フライホイールを軽量化するメリットは以下のとおりです。
- ・レスポンスアップ
- ・加減速性能アップ
- ・早くシフトアップできる
軽量化したフライホイールを使用すると、アクセルを踏んだときにエンジンの吹きあがり(レスポンス)がよくなり、アクセルを緩めたときの回転変化が素早くなります。
また、軽量フライホイールはエンジンの回転数を変化させるのに必要なエネルギーが少なくて済むため、加速と減速の性能アップも期待できます。さらに、エンジン回転数の上げ下げが素早いため、シフトアップのするときの回転数を合わせやすくなることも軽量フライホイールのメリットです。
軽量フライホイールのデメリット
軽量フライホイールの主なデメリットはは以下のとおりです。
- ・アクセル操作がシビアになる
- ・燃費の悪化
エンジンのレスポンスがアップするということは、わずかな操作でもエンジンが敏感に反応することを意味しています。つまり、軽量フライホイールにすると扱いがシビアになるということです。
また、フライホイールを軽量化したことで慣性モーメントが減ってしまい、同じ速度を維持するためにエネルギーが増加します。その結果、より多くのエネルギーを作り出さなければならず、ガソリンの消費量が増える場合があります。
まとめ
今回は、フライホイールとは何なのか、その役割や軽量化のメリット・デメリットなどを解説しました。
フライホイールは、エンジン回転を均一に保つために必要なパーツです。フライホイールについて正しい理解と知識を得ることで、軽量化するべきかという判断も変わるでしょう。
フライホイールは、自分の車の使い方に合わせて、ベストなものをチョイスすることをおすすめします。
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