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日産S15シルビアとトヨタ86(ZN6)/スバルBRZ(ZC6)は、扱いやすいコンパクトなボディと素直な旋回特性を持つFRという共通した特性をもっています。どちらも既に新車として販売されておらず、購入するなら中古車となりますが、購入後に後悔しないためにはそれぞれの特徴を理解し予算をしっかりと見定めなければなりません。今回はそんなS15シルビアと86/BRZの魅力と、中古車市場について紹介します。
日産S15シルビア【1999年~2002年】
日産シルビアは、誰でも手軽にスポーツドライビングが楽しめるスポーツクーペとして誕生しました。5代目であるS13シルビアでは、軟派なデートカーから硬派な走り屋ご用達車両としての地位を確立し、日本の走りや文化を象徴するモデルとなっていきます。
まずは、シリーズの最終モデルであるS15シルビアについて、その概要と中古車相場について紹介します。
ターボ仕様S15シルビアスペックR
S15シルビアのグレードは、NAのスペックSとターボ仕様であるスペックRの2グレードです。2Lターボエンジンを搭載する仕様のスペックRは、6速MTで最高出力250psを発揮し、シリーズ最高の性能を誇ります。また、4速ATでも225psとなっており、スポーツカーとしては十分な性能を持っています。
2022年11月の中古車相場は、6速MT仕様で160万円から800万円前後。走行距離が少なく、修復歴の無い程度が良い車両は価格が高くなっていますが、20万kmを超える個体は200万円前後でも十分に入手可能で、ATターボ仕様は230万円から300万円で推移しています。
S15シルビアスペックS
S15シルビアのスペックSは、2LのNAエンジンを搭載するグレードです。最高出力は165psですが、1230kgの軽量なボディと相まって十分な動力性能をもっています。エンジン出力は控え目ながら、トルクフルなエンジン特性で誰でも扱いやすいグレードです。
中古車相場は5速マニュアルで140万円から430万円、ATで80万円から300万円程度です。ターボ仕様のスペックRと比べるとやはり手を出しやすい価格で、ATなら修復歴なし、10万km以下の個体が200万円以下で購入できます。
トヨタ86(ZN6)/スバルBRZ(ZC6)【2012年~2021年】
トヨタ86とスバルBRZは、トヨタとスバルが共同開発したことで大きな話題となりました。比較的新しい車ではあるものの、中古車としては入手しやすい価格です。入手しやすい理由と、旧型となっても魅力的な初代トヨタ86とスバルBRZを紹介します。
新型の発売により初代86の中古車が増加
トヨタ86/スバルBRZの中古車が比較的安い理由は、2021年10月に2代目が発売されたことです。エンジンが2.4Lとなったことで、パフォーマンスが大幅に向上。新型に乗り換えたユーザーも多く、2022年11月現在、初代トヨタ86/スバルBRZは多くの台数が中古車市場に流通しています。
2011年11月現在で大手中古車情報サイトに掲載されている台数は、86が約1,500台、BRZは約450台。中古車価格は6速MTが100万円から500万円で、ATは80万円から300万円です。「スポーツカー=MT車」というある種の固定概念が崩れつつある世相を反映し、AT比率が高めないことも特徴といえます。
新しい車両が多く維持がしやすい
トヨタ86/スバルBRZは2021年まで新車が発売されており、トラブルが少ない車種といわれています。
エンジン出力は200psとターボのS15シルビアに比べると控え目で、手荒に扱われた車両も少なく、程度の良い車両が多くなっています。また、補修部品は生産終了から約10年は提供されており、末永く付き合えるクルマです。
唯一無二の2L水平対向エンジンとFRの組み合わせ
トヨタ86/8スバルBRZは、いずれも2Lの水平対向エンジン FA20型を搭載しています。
全高の低い水平対向エンジンならではの「超低重心パッケージ」で、軽快で優れたハンドリング性能を持っており、誰でも運転の楽しさを味わうことができる1台です。
FRレイアウトと水平対向エンジンの組み合わせは、世界中どこを見渡しても86とBRZしかありません。この唯一無二の組み合わせが、初代トヨタ86/スバルBRZの魅力が色褪せない理由です。
中古車で買うならS15シルビアとトヨタ86/スバルBRZどちらを選ぶべきか
FRのスポーツクーペとして、魅力的なS15シルビアとトヨタ86/スバルBRZですが、発売された年式やキャラクターによって、大きな違いがあります。
ここからは、中古車として購入を検討した場合、どんな違いがあるのかについて紹介していきましょう。
アメリカの25年ルールのあおりを受けてS15シルビアの中古車相場も上昇
R32スカイラインGT-Rや80スープラ、RX-7など、80年代後半から90年代に発売された国産スポーツクーペは、異常ともいえる高騰を見せています。その主な要因として挙げられるのが、アメリカの25年ルールです。アメリカでは右ハンドル車の販売が認められていませんが、発売から25年経ったクルマは、クラシックカーとして例外的な販売、使用が可能です。
2022年現在、1999年に発売されたS15シルビアは、まだ直接25年ルールの影響を受けてはいません。しかし、S13やS14の高騰を受ける形で、S15シルビアの中古車相場も上昇傾向にあります。
トヨタ86とスバルBRZに比べ、ターボエンジンを搭載するS15シルビアの方が動力性能という点では格上です。しかし、仮に300万円で程度の良いS15シルビアを手に入れても、経年劣化に起因する整備費用を覚悟しなければなりません。
もちろん、最新の車種にはないスタイリングやユーザーの好みでカスタムする余地が残っているなど、S15シルビアにしかない魅力があります。時間を掛けて程度の良い個体を探し、購入後もしっかりとメンテナンスするのであれば、購入後に後悔することはないでしょう。
トヨタ86/スバルBRZなら車両代+100万円で十分にカスタム可能
初代トヨタ86とスバルBRZは年式が新しく、経年劣化による故障の心配は低く安心して維持、保有できます。もちろん、絶対的な動力性能ではS15シルビアに敵いませんが、逆にいえばチューニングによって求める性能にカスタムすることが可能です。
例を挙げると、マフラーやエアクリーナー、ECUを交換すると、実際の最高出力以上の気持ち良さが比較的安価で手に入ります。そして、S15シルビアのターボモデル並みの馬力を手に入れたい場合は、チューニングメーカー各車から市販されているボルトオンターボキットやスーパーチャージャーがおすすめです。
選ぶキットや求める出力により費用は異なりますが、もっとも手軽な物であれば、50~60万円程度で230~250psを狙えます。さらに、サスペンションや駆動系に手を加えれば、クルマ全体をリフレッシュできるでしょう。トータル100万円程度のカスタム費用を見ておけば、S15シルビアにも引けを取らない1台を仕上げることも不可能ではありません。
まとめ
電動化や自動運転など、世間の潮流は環境性能と安全性を重視しており、運転の楽しさを求めたスポーツカーはやや影の薄い存在となっています。中にはスポーツ性能を重視した車種も販売されていますが、超高額高性能なスーパーカーばかりです。S15シルビアやトヨタ86/スバルBRZのように、手軽な新車として購入できる国産FRスポーツカーは多くありません。
S15シルビアは、程度の良い個体が少なく修理やメンテナンスの費用が掛かるものの、走り屋文化を象徴する雰囲気とカスタムが楽しめます。対して、トヨタ86とスバルBRZは、動力性能で劣るものの、購入と整備費用を抑え、その費用をカスタムに回せば同等の性能を手に入れることも可能です。
往年の雰囲気と動力性能を重視してS15シルビアを選ぶか、維持保有のしやすさを重視してトヨタ86やスバルBRZを選ぶか。どちらもスポーツカーの楽しさと雰囲気を十分味わえる魅力的なモデルなため、予算とメンテナンス環境を勘案し選びましょう。
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