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レーシーにまとめられた専用の内外装に、強化されたエンジンと足回り。ホンダスポーツモデルの最高峰グレードであるTYPE-Rは、そのままサーキットを走れるほどのスペックを備えていました。特にインテグラとシビックは、TYPE-Rの代表車種として多くのファンを獲得しています。今回はインテグラとして最終型となるDC5型、ほぼ同世代にリリースされたFD2型シビック、2つのTYPE-Rの魅力に迫っていきましょう。
ホンダスピリッツを体現したTYPE-R
TYPE-Rは、取り扱いやすさを求める一般向けで実現できなかったクルマ本来のポテンシャルを極限まで高めたモデルです。もともと高性能なスポーツモデルの車両をさらにチューニングすることで、最高峰のスポーツグレードに仕上げられています。
初代NSXに設定されたTYPE-R
初めてTYPE-Rが登場したのは1992年で、初代NSXの最上位スポーツグレードとして設定されました。もともと国産スーパーカーという位置付けで高性能だったNSXを、各パーツの徹底的な見直しによって120kgも軽量化されています。さらに、サスペンションのセッティングに加え、クランクシャフトやピストンといったエンジン内部にまで手を入れ、徹底的なハイパフォーマンス化が図られました。
TYPE-Rの両雄となったインテグラとシビック
初代TYPE-RとなったNSXの成功によって、TYPE-Rシリーズはインテグラとシビックにも展開されます。NSX TYPE-Rは高価な車両価格と希少な生産台数から、手にする人は限られていました。しかし、インテグラやシビックという大衆モデルで採用されたことで、TYPE-Rの名は一気に広まります。
クーペ、ハッチバックとそれぞれボディ形状は異なりますが、ホンダを代表するスポーツモデルをさらにスポーティに仕上げ、TYPE-Rはホンダファンのみならず多くのスポーツカーファンの人気を獲得しました。
世界最速FFと呼ばれたDC5型インテグラTYPE-R
世界最速FFの称号を得た先代DC2型からモデルチェンジしたDC5型TYPE-Rは、安全性能の見直しなどでやや大型化したものの、インテグラTYPE-R特有の軽快なハンドリング性能は継承されています。
エンジンや足回り性能のみならず、内装も走ることに特化したDC5型インテグラTYPE-Rも、やはり世界最速FFでした。
TYPE-Rのために開発されたDC5型
2代目インテグラとなるDC5型インテグラは、TYPE-Rの設定を前提に開発されています。また、プレリュードが廃止されたことにともない、ボディサイズは3ナンバーサイズに拡幅されました。
ボディタイプは3ドアハッチバックのクーペスタイルを採用。スポーツカーらしいクーペスタイルながら、ハッチバックで高い利便性も確保されています。
装備面の強化によって車重増をカバー
広い車内空間の確保と安全性能の強化により、車両重量は100kgほど重くなってしまいます。しかし、専用チューニングされたKA20型は220psを発生し、ホンダ初となるブレンボ製ブレーキを備えるなどエンジン性能や装備面では先代DC2型を上回っていました。
しかも、これだけのハイスペックエンジンを搭載しながら、12.4km/Lという低燃費も実現しています。
魂をくすぐられるレーシーな内装
「TYPE-R」のロゴがあしらわれたチタン製シフトノブや、チタン色のメーターパネルとペダル類から受ける印象は、まるでレーシングカーのコックピットを思わせるものです。専用に開発されたレカロシートに身を沈めれば、一気に気分が高まります。
スイッチ類やエアコンの吹き出し口もメーター同様の丸型に統一され、余計なスイッチ類は極力排除したシンプルなデザインです。
高級感ある4ドアセダンとなったFD2型シビックTYPE-R
DC5型インテグラの販売終了後に登場したのが、FD2型シビックTYPE-Rです。高い性能もさることながら、4ドアセダンとしたことで居住性や使い勝手が向上しています。そして、TYPE-Rの称号にふさわしく、トルク感応式LSDやブレンボ製ブレーキキャリパーといった走行性能に直結するパーツを採用しているのが大きな特徴です。
重厚感のある4ドアモデル
歴代シビックのTYPE-Rは3ドアハッチバックで展開されてきましたが、FD2型シビックでは初めて4ドアセダンタイプを採用。また、全幅も3ナンバーサイズの1,770mmとなり、従来の軽量なイメージから重厚感のあるデザインに変わりました。
さらに、見た目だけではなくボディ剛性もDC5型インテグラTYPE-Rから50%も向上し、さらなる応答性と安定感が加えられました。
さらに高出力化されたKA20型VTECエンジン
FD2型シビックTYPE-Rに搭載されたのは、DC5型と同型のKA20型です。最高出力は220psから225psにまで高められ、もともと専用チューニングされていたエンジンをさらにファインチューニングしたことで、回転域によっては10ps以上の出力向上を果たしました。
また、ピークトルクの発生も7,000回転から6,100回転に引き下げられていることに加え、0.9kgf・m向上していて、大柄な4ドアボディをストレスなく引っ張ります。
先進のコックピットが演出する高揚感
FD2型シビックTYPE-Rのコックピットデザインは、DC5型インテグラと大きく異なります。すべてのメーターをアナログメーターでまとめていたインテグラに対して、デジタルメーターとアナログメーターを融合させた先進のデザインでした。
スポーツドライビング時にもっとも気になるタコメーターは、視認性の高いアナログメーターを中央に配し、上部にデジタル表示のスピードメーターが配置されています。さらに、最適なシフトタイミングやVTECの作動状況が視認できる各種インジケーターもデジタルパネル部分にまとめられており、先進性を感じるコックピットになりました。
また、シートはTYPE-R用に専用開発されたオリジナルシートで、内装と統一された赤と黒のカラーリングはドライバーに高揚感を与えます。
高く甲乙つけがたい2台のTYPE-R
インテグラとして最終型となったDC5型TYPE-Rと、4ドアモデルのFD2型シビックTYPE-R。発売年式が近いこともあり、この2車種はよく比較されますが、結論としてはどちらも優れたスポーツカーであることは間違いありません。
走行性能を追求して作り込まれたインテグラTYPE-Rは車重も軽く、FF車最速といわれる速さとハンドリングが楽しめます。一方で、4ドアによる高い居住性と安定性、先進のコックピットを誇るシビックTYPE-Rは、ファミリー層のユーザーにも受け入れられました。エンジンはどちらもKA20型を採用しているため、多くのアフターパーツも出ていてチューニングベースとしても最適です。
ホンダスピリッツが詰め込まれた、高い走行性能を誇る2台のTYPE-R。どちらを選んでも決して期待を裏切りません。
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