アメリカの広大な道を走る姿が「サマ」になるピックアップトラック。でも、意外なことに、ピックアップトラックとして高い支持を受けているのは日本車です。一方、日本国内では、現在はほとんど販売されていません。
海外で人気があるのに日本国内で販売されていない不思議な車種、ピックアップトラックについて紹介します。
ピックアップトラックの魅力
広く開放的な荷台と、パワフルな走りのピックアップトラックは、海外で人気の車種です。日本でほとんど目にすることがなくなってしまったため、国産メーカーのピックアップトラックは国内でほとんど認知されていません。しかし、性能の高い日本製ピックアップトラックは海外で大きく支持されています。
ピックアップトラックとは
ピックアップトラックとは、別名ボンネットトラックともいい、車室前方にボンネットがあり、車室後部に荷台のある車のことを指します。
ピックアップトラックの特徴は、荷台がオープンなこと。オープンな荷台には、汚れたり濡れたりした荷物でも気にせず積み込めますし、屋根がないため大きな荷物や背の高い荷物積み込むことができ、さまざまなシーンで活躍します。
また、堅牢なラダーフレームや4WD を採用している車種が数多くあるのも特徴の1つ。クロスカントリーSUV車として、オフロードシーンや悪路などで、幅広く活用できます。
国内販売はトヨタ ハイラックスを残すのみ
海外で現在も人気の高いピックアップトラックですが、現在日本国内向けとして販売されているのは、トヨタ ハイラックスのみです。
かつては、国内でもさまざまなメーカーから販売されていました。現在日本で荷台がオープンな形状の自家用車として残っているのは、ほとんどが軽トラックです。
ピックアップトラックの人気が日本で衰退した明確な理由はありませんが、日本の道路事情から、「小型で取り回しのしやすい軽トラックのほうが好まれた」という側面もあるのかもしれません。
国内販売はハイラックスのみですが、実は現在でも複数の国内メーカーが海外向けに新車のピックアップトラックを販売しています。
今でも人気の歴代日本製ピックアップトラック4選
日本製ピックアップトラックが現在も海外で人気の理由は、過去に販売された多くの国産車種が築いてきた信頼によるものです。そこでここからは、過去に販売されたピックアップトラックを紹介します。
初代ハイラックス(1968-1972)
ピックアップトラック市場が低迷している日本にあって、現在も唯一販売されているピックアップトラックの代表ともいえるのがトヨタ ハイラックスです。
初代モデルは小型ピックトラックとして販売され、「トヨタ・トラック」の名称で、人気を不動のものにします。当時からすでに、車は1人1台という文化だったアメリカでは、家族で複数台所有は当たり前でした。
広い荷台に気軽に荷物が載せられて、どこでも走れるピックアップトラックは、日本でいう軽自動車、西部開拓時代の「馬」といった感覚だったのかもしれません。
ちなみに、映画「バックトゥザフューチャー」で1985年に主人公のマーティ・マクフライが憧れていた4×4(フォー・バイ・フォー)ピックアップトラックは、4代目のハイラックスです。
Datsun(ダットサン) 620(1972-1979)
ハイラックスと並び、アメリカで定番ピックアップトラックとして認知されているのが、日産の小型車向けブランド「ダットサン」です。ダットサントラックの初代の登場は、戦前の1935年。初代登場以来モデルチェンジを繰り返し、1972年の7代目620が北米でヒットします。S30型フェアレディZと並んで、北米でのダットサンブランド定着に一翼を担いました。
ハイラックスほど走破性に優れた設計ではありませんでしたが、それが一般層の需要を掘り起こします。購入者の半数が、「仕事以外の目的で購入した」としている情報もあるほど、一般層に手軽なピックアップトラックとして浸透しました。
初代パスファインダー(1985-1995)
日産 パスファインダーは、本格SUVとして発売されました。走破性に優れたサスペンションと、フェアレディZと同系統のパワフルなVG30系エンジンを搭載。高い性能とスタイリッシュな外観で、一気に人気が高まります。
パスファインダー自体は、ピックアップトラックではありませんが、パスファインダーの元となったのは、「ピックアップ」として発売されたD21型ピックアップトラックです。エンジンこそ、後発のパスファインダーとは異なりますが、デザインは共通で、スタイリッシュなピックアップトラックとして多くの支持を集めました。
初代スズキ サイドキック(1989-1999)
スズキ サイドキックは、日本国内でエスクードの名称で販売されていたSUVの北米モデルです。本格クロスカントリー車の機能を備えつつ、省燃費性と高速走行性能という乗用車の機能も持ち、都市型S UVの先駆けともいえる車種。先進的な外観に加えて、堅牢な設計と走行性能の高さから人気を集めました。
サイドキックの堅牢さに対する評価の高さを示すおもしろいデータがあります。2015年のイエメン内戦がはじまる2年前の2013年に、イエメン、オマーンに向けたアメリカからのサイドキックの輸出台数が爆発的に増加したのです。
まとめ
過酷な状況での走行や乱暴に取り扱われることが多く、アメリカを象徴する車の1つであるピックアップトラック。高い耐久性と信頼性が要求される車種で、日本の自動車メーカーが多くの支持を集めています。
一方、日本国内では、需要の低下からほとんどが輸入扱いとしてしか販売されておらず、新車はトヨタ ハイラックス以外の車種は販売されていません。
しかし、ホンダや三菱など、実は多くの国内自動車メーカーが、今もピックアップトラックの新車を発表しています。日本国内で販売されていない日本車として、国内では希少なピックアップトラックを選ぶのもおもしろいかもしれません。
[ライター/増田真吾]
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