今、ドイツで人気上昇中!5台の日本車ヤングタイマーとは?

目次
1.■豪快な乗り味が人気! 日産・フェアレディZ(Z33型) 2.■純粋主義者を虜にする! ホンダ・S2000 3.■心臓のルーツはドイツにある! マツダ・RX-7(FD3S) 4.■今こそ乗りたいセダンの筆頭! レクサス・LS400 5.■ラリー好きにはたまらない! 三菱・ランサーエボリューションIII 6.■国産ヤングタイマーの価格は今後も上昇傾向か?

日本では「ヤングタイマー」への注目度が日に日に増している。

それは筆者が暮らすドイツにおいても同じ現象が起こっている。

ヤングタイマーの線引きは難しいが、1970年代以前のいわゆる「クラシックカー」ほど古くはない、「1980年代から2000年代にかけてのクルマ」を指すことが多い。

ヤングタイマーへの注目度の高さはドイツにおいても例外ではなく、クラシックカー専門誌の兄弟誌として新たに「ヤングタイマー専門誌」が創刊されるほどだ。

今回は「今、ドイツで人気上昇中!5台の日本車ヤングタイマーとは」と題して、ドイツでじりじりと価格が上昇している国産ヤングタイマーを紹介する。

読者の方がかつて乗っていたクルマや、これから購入しようとしているクルマもあるかもしれない。

reasons_to_choose_qshaoh

contact_button

reasons_to_choose_qshaoh

contact_button

■豪快な乗り味が人気! 日産・フェアレディZ(Z33型)

まず紹介するのが、Z33型の日産・フェアレディZだ。ドイツではシンプルに「Nissan 350Z」の名前で販売されていた。

製造期間は2002年から2008年と、ヤングタイマーとして扱う中でもかなり新しい部類だが、ドイツでの注目度はとても高い。

ドイツではアウトバーンの速度無制限区間を日常的に走行するため、単純にエンジン出力の大きいクルマが好まれる。

走行時の余裕につながるからだ。

その点、350Zはもっとも初期のモデルで280馬力、後期にいたっては300馬力を超える出力を発揮するため「高速走行時にも余裕を感じられる」と評価されている。

350Zが人気の理由は、ロードスターモデルが存在することと、豪快なエンジンフィーリング、そしてメンテナンスに手がかからないこと、などが挙げられる。

ドイツ人は老若男女問わず、とにかくオープンカーが大好き。

自然吸気の3.5リッターV6エンジンによる低回転からトルクフルな出力特性は「近年の小排気量ターボからは得られないフィーリングだ」と評価されている。

ドイツでの取引相場は、状態の良い個体で1万6千ユーロ(約219万円)からとなっている。

旧車王バナー旧車王バナー

■純粋主義者を虜にする! ホンダ・S2000

ドイツではオープンカーの人気が高い、と書いたが、どちらかといえば「のんびりと楽しむ」あるいは「余裕を持って楽しむ」という感覚が主流だ。

つまり、武闘派のスポーツカー・ドライバーにとって、オープンカーはあまり選択肢の内には入らない。

さらに「屋根がないクルマに乗るくらいなら、俺はバイクに乗る。その方が爽快でスポーティだ」という考えの人も少なくない。

そんなドイツにおいて、硬派なバイク乗りや武闘派スポーツカー・ドライバーを納得させる唯一のクルマ、と呼ばれているのが、ホンダ・S2000である。

レブリミットが9000回転に設定されたエンジンは、自然吸気ながら2リッターの排気量から240馬力を発生(ドイツ国内仕様。ドイツでは2リッターモデルのみが販売された)。

オープンボディでありながら高いボディ剛性を誇り、コアなスポーツカー・ファンをも納得させる俊敏な走りは「バイク乗りにとって、四輪車における唯一の代替手段」と高く評価されている。

中古車の人気は非常に高く、状態の良い個体で2万5千ユーロ(約345万円)以上の相場となっているが、今後さらに値上がりすると言われている。

■心臓のルーツはドイツにある! マツダ・RX-7(FD3S)

日本のスポーツカー・ファンにとって、マツダのRX-7シリーズは特別な存在だが、それはドイツにおいても同様だ。

その理由はやはり、マツダが長年熟成を重ねてきたロータリーエンジンにある。

ロータリーエンジンは、ドイツにおいては一般的に「ヴァンケル・モーター」と呼ばれている。

そのネーミングは、ロータリーエンジンの発明者でドイツ人のフェリックス・ヴァンケルに由来する。

彼は世界初のロータリーエンジン搭載市販車、NSU・ヴァンケルスパイダーを世に送り出したことで知られている。

ところが、マツダが初代コスモスポーツを経て初代RX-7を登場させると、ドイツ製のロータリーエンジンは文字通り終焉を迎えた。

マツダのロータリーエンジンは、NSU製のそれより機構が進化していたにもかかわらず、信頼性が高く、走行時の振動も抑制されていたからである。

ドイツにおいて、3代目RX-7(FD3S型)は排気ガス規制のため1992年から1996年のわずかな期間しか販売されなかった。

スタイリングやクルマの完成度は高く評価されていたにもかかわらず、である。

したがって、ドイツの中古車市場での希少性は非常に高く、どんなに状態が悪くても4万ユーロ(約552万円)を下回ることはない。

ある程度良い状態の個体を探すとなると、5万5千ユーロ(約759万円)は必要となる。

ここでは3代目のFD3Sを取り上げたが、初代モデル、2代目モデルの人気も非常に高い。

こちらはまだ庶民でも手が届く範囲の値札(およそ1万2千ユーロ、約165万円から)が付けられているが、いずれ上昇するのは時間の問題と見られている。

旧車王バナー旧車王バナー

■今こそ乗りたいセダンの筆頭! レクサス・LS400

ここまでスポーツカーばかりを取り上げてしまったが、一般的なセダンとなると、人気のある日本産ヤングタイマーの名前はドイツにおいてはなかなか挙がってこない。

しかし、その中でも別格の存在として今も扱われているのが、トヨタ・初代セルシオ、ドイツでは「レクサス・LS400」として知られるクルマである。

打倒・世界の高級車を目標に生まれたLS400は、ドイツの高級車メーカーにはっきりと打撃を与えた。

静粛性、乗り心地、信頼性、それらすべてが抜群に優れた日本産のクルマが、メルセデス・ベンツ、アウディ、BMWよりもずっと安価で手に入ったからである。

メルセデス・ベンツは1991年に新型Sクラスを販売する予定だったが、LS400の登場により発売直前になって改良を余儀なくされた。

結局それはコストの超過を招き、主任開発者のウォルフガング・ペーターが解雇される事態となっている。

今ドイツで乗ろうと思うと、1万ユーロ(約138万円)の出費で比較的良い状態の個体が手に入る。

走行距離が25万キロを超えても信頼性に問題はない、というのが現地での評価だ。

■ラリー好きにはたまらない! 三菱・ランサーエボリューションIII

ドイツ人はラリー好きだ。

そして彼らは口を揃えて、ラリーのベース車両に乗れた時代が懐かしい、と振り返る。

いや、それを言うのはまだ早い。

むしろ今が最後のチャンスかもしれない。

三菱・ランサーエボリューションは、スバル・インプレッサWRCと並んでドイツで人気のあるモデルだ。

特に「ランエボIII」は、三菱に初めて世界ラリー選手権制覇のトロフィーをもたらしたモデルとして、ドイツでも高く評価されている。

もちろん「現役のレース車両」のベースとして利用しようとする人は少ないが、軽量でコンパクトな4ドアセダン、それでいてパワフルな4輪駆動ターボのマニュアル車、ということで「このクルマでなきゃ!」という人は一定数存在する。

ドイツでの現在の相場は2万ユーロ(約276万円)から。

ただし、1995年から1996年の間にしか生産されていないため、ほとんどの人は「III」にこだわらず、状態の良い個体であれば購入を検討する、というスタンスのようだ。

旧車王バナー旧車王バナー

■国産ヤングタイマーの価格は今後も上昇傾向か?

ここまで、ドイツで人気上昇中のヤングタイマーを5台厳選してお伝えしてきた。

いかがだっただろうか。

意外だと思う方も、順当だと思う方もいたかもしれない。

ドイツの自動車ファンは、日本の技術やクルマの歴史について詳しく、とても敬意を持っている。

それゆえ、みな一様に「古い日本のクルマの部品が、もっと簡単に手に入ればいいのに」と嘆く。

ドイツでは特に、ドイツ産クラシックカーの部品が簡単に手に入るため、その差はより大きく感じられるようだ。

日本の国産旧車人気の盛り上がりを機に、国産旧車のパーツがドイツなどの海外でもより簡単に手に入るようになれば、ドイツの日本産ヤングタイマー人気も一過性ではなく定着するようになると思うのだが……。

今後の国内メーカーの奮起に期待したいところだ。

[画像/トヨタ、日産、マツダ、ホンダ、三菱・ライター/守屋健]

 

画像1 画像2 画像3 画像4 画像5
画像ギャラリー(全5枚)を見る

この記事をシェアする

旧車王ヒストリアは
旧車買取20年以上の旧車王
が運営しています

旧車王は、「自動車文化遺産を次世代へ」という信念のもと、旧車・クラシックカーに特化して24年、年間11,000台以上の査定申込をいただいております。改造車から希少車まで、適正価格を見極めて買取させていただきます。弊社所属の鑑定士が最短当日で全国無料出張査定いたします。ご契約後の買取額の減額や不当なキャンセル料を請求する二重査定は一切ありません。特別なそして価値ある希少車の買取こそ、確かなノウハウと実績を持つ旧車王にお任せください!

すぐ査定依頼が可能!

Web査定申込はこちら

まずは車について気軽に相談したい

LINEで売却相談する

関連する記事

セルシオの価格高騰&値上がりしている?旧車買取専門店が相場推移を解説

セルシオの価格高騰&値上がりしている?旧車買取専門店が相場推移を解説

旧車市場動向 2024-09-13
フェアレディZ Z33のリセールバリューは?リセールバリューが決まる要因や高く売る方法についても解説

フェアレディZ Z33のリセールバリューは?リセールバリューが決まる要因や高く売る方法についても解説

旧車市場動向 2024-08-19
S2000が高いリセールバリューを維持できている理由とは?高額査定のポイントも解説

S2000が高いリセールバリューを維持できている理由とは?高額査定のポイントも解説

旧車市場動向 2024-07-11
S2000が25年ルール解禁!今後値上がりする?最新相場情報も!

S2000が25年ルール解禁!今後値上がりする?最新相場情報も!

旧車市場動向 2024-06-21
S2000の価格高騰&値上がりはまだ続く?旧車買取専門店が相場推移を解説

S2000の価格高騰&値上がりはまだ続く?旧車買取専門店が相場推移を解説

旧車市場動向 2024-05-31
3人の主催者に聞いた!横浜赤レンガ倉庫『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~とは?』を初開催してみて

3人の主催者に聞いた!横浜赤レンガ倉庫『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~とは?』を初開催してみて

イベントレポート 2024-04-16
参加できるのは30代前半まで!愛車約100台が赤レンガ倉庫に集結『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~とは?(輸入車編)』

参加できるのは30代前半まで!愛車約100台が赤レンガ倉庫に集結『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~とは?(輸入車編)』

イベントレポート 2024-03-31
若きオーナーたちの愛車約100台が赤レンガ倉庫に集結!『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~とは?(国産車編)』

若きオーナーたちの愛車約100台が赤レンガ倉庫に集結!『YOKOHAMA CAR SESSION ~若者たちのカーライフ~とは?(国産車編)』

イベントレポート 2024-03-30

記事ランキング

1
固着したネジでも諦めないで!回らないネジの緩め方アラカルト

固着したネジでも諦めないで!回らないネジの緩め方アラカルト

ライフスタイル 2023-09-14
2
MT車(マニュアル車)の運転方法とは?発進・停止・ギアチェンジ・坂道発進のコツを解説

MT車(マニュアル車)の運転方法とは?発進・停止・ギアチェンジ・坂道発進のコツを解説

旧車売買の豆知識 2024-10-08
3
車検ステッカーの貼り付け位置はどこ?間違えた場合の罰則も紹介

車検ステッカーの貼り付け位置はどこ?間違えた場合の罰則も紹介

旧車売買の豆知識 2024-02-02
4
車のアンダーカバーが壊れた!修理費用はどのくらい?

車のアンダーカバーが壊れた!修理費用はどのくらい?

旧車メンテナンス 2023-10-18
5
ナンバープレートから個人情報は特定できる?特定できる情報を解説

ナンバープレートから個人情報は特定できる?特定できる情報を解説

旧車売買の豆知識 2024-10-08
6
MT車(マニュアル車)のギアチェンジのコツとは?変速方法について解説

MT車(マニュアル車)のギアチェンジのコツとは?変速方法について解説

旧車売買の豆知識 2024-04-19
7
車庫証明は本人じゃなくても取得できる!代理人による手続き方法を紹介

車庫証明は本人じゃなくても取得できる!代理人による手続き方法を紹介

旧車売買の豆知識 2024-08-06
8
アメリカ「25年ルール」とは?名車の中古相場が急騰するしくみ

アメリカ「25年ルール」とは?名車の中古相場が急騰するしくみ

旧車市場動向 2024-11-21

カテゴリ一覧

# 旧車コラム # 旧車の魅力 # 旧車売買の豆知識 # 旧車市場動向 # 旧車メンテナンス # エディターズノート # ライタープロフィール # イベントレポート # ライフスタイル # 加藤久美子&博人の見識 # ドイツ現地レポ # ライター愛車レポート # タイレルP34を追え! # オーナーインタビュー # 名車&迷車烈伝 # マツド・デラックスの世界 # 海外現地レポ