三菱 パジェロ エボリューションは最強のクロカンマシンだった! MIVECエンジン搭載のモンスターSUV

目次
1.1レースに勝つためだけに誕生したパジェロ エボリューション 2.市販モデルも抜群の個性と存在感を発揮 3.初代限りの生産だった希少性の高いモデル

特徴的な大型リアウィングと左右に大きく張り出したフェンダーが特徴的な三菱 パジェロ エボリューション。外観だけでなく、チューニングされたV6エンジンによる高いパフォーマンスも高く評価されているモデルです。

今回は、三菱の開発陣がダカール・ラリーで勝つためにこだわって作り込んだ、パジェロ エボリューションの誕生背景と魅力を紹介します。

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1レースに勝つためだけに誕生したパジェロ エボリューション

三菱の「エボリューション」といえば、WRCを戦ったランサー エボリューション(通称:ランエボ)があります。同じくレースを制するために開発されたモデルが、パジェロ エボリューションです。しかし、ランエボがシリーズ戦での勝利を目的としていたのに対して、パジェロ エボリューションはダカールラリーただ1戦に勝つために開発されました。

たった1つのレースにかけた三菱の情熱がつまった、パジェロ エボリューションの誕生背景を振り返ってみましょう。

新レギュレーション対応のために開発

パジェロ エボリューションが登場した1997年から主催者が規定を変更し、メーカーは市販車ベースで改造範囲の狭いT2車輌でのみ参戦可能となりました。また、ガソリンエンジンの過給機使用が全面的に禁止されます。三菱は規定内の改造を施したパジェロを1997年のレースに投入すると同時に、翌年以降のホモロゲーション取得のためにパジェロ エボリューションを開発しました。

改造範囲が限られるため、パジェロは市販車の段階で強くレースを意識した仕様になっていました。例えば、当時のクロスカントリー車のリアサスペンションとして一般的だったリジット式ではなく、4輪独立懸架のダブルウィッシュボーン式を採用しています。また、エンジンには可変バルブタイミング機構を備え、全域でのトルクフルな加速を実現しました。

投入初年度から圧倒的な速さをみせた

パジェロ エボリューションは、投入初年度の1998年に期待通りの成績を残します。優勝を飾ったJ-P. フォントネを筆頭に、3位まで表彰台を独占。前年にパジェロで日本人で初めてダカール・ラリーを制した篠塚氏も2位を獲得しています。

翌1999年は優勝こそ逃したものの、2位から4位までの上位を独占して存在感を示しました。また、優勝したのはプロトタイプのシュレッサーバギーだったことを考えると、パジェロ エボリューションが市販車ベースとしては無類の速さを誇っていたことがわかります。

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市販モデルも抜群の個性と存在感を発揮

レースで輝かしい実績を残したパジェロ エボリューションですが、単に市販車としてみても個性的で魅力あふれるSUVです。

続いて、パジェロ エボリューションの魅力を紹介します。

NAながら280psを発揮したMIVECエンジン

パジェロ エボリューションの圧倒的なパフォーマンスを支えたのは、三菱の可変バルブ技術MIVECを搭載した6G74型3.5LのV型6気筒エンジンです。過給機禁止のレギュレーションへの対応で、自然吸気エンジンながら最高出力は自主規制いっぱいの280ps、最大トルクは35.5kgmを発揮します。

また、過酷なラリーでの信頼性を高めるため、チタン製バルブリテーナー、中空吸気バルブ、ナトリウム封入排気バルブといった細かい点まで突き詰められました。さらに、エンジンの高出力化に対応するため、トランスミッションも剛性強化とセッティング変更が施されています。

空力性能を追求した迫力のエアロボディ

レースでの空力性能を強く意識したエアロボディもパジェロ エボリューションの特徴です。WRCに参戦していたランサー エボリューションのように、個性的なエアロパーツを備えています。

大幅に広げられた前後のフェンダー、エアロバンパー、大型の個性的なリアスポイラーが「エボリューション」を主張するポイントです。さらに、フロント部の開口部と大型のボンネットエアインテークは、エンジンの冷却効率を追求した結果の機能美だといえます。

フラッグシップモデルにふさわしいインテリア

ダカール・ラリーで勝つために開発されたものの、パジェロシリーズのフラッグシップモデルという肩書きにふさわしい内装もパジェロ エボリューションの特徴です。本革巻きのステアリングやメーターベゼルやエアコンの吹出口などに配されたカーボン調のパネルといった装備は、所有するドライバーの満足度を高めます。

また、フルオートエアコンやキーレスエントリーに加え、フロントにはホールド性の高いレカロ社製のシートが装備されるなど、日常使いからロングドライブまで快適にこなせる1台に仕上がっています。

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初代限りの生産だった希少性の高いモデル

パジェロ エボリューションは、1997年に発売された初代のみで生産を終了しました。もともとホモロゲーション取得のために販売されたということもあり、生産台数もわずか2,693台といわれています。パジェロシリーズのなかでも、特に希少性の高いモデルです。

新車価格は374万円(5MT車)という、優れた性能と現在のSUVの価格水準から考えると大変コストパフォーマンスに優れたモデルでした。しかし、その希少性の高さから、現在の中古車市場ではプレミア化しつつあり、高値で取引されるケースが増えているようです。ダカール・ラリーで残した輝かしい実績も影響して、今後価値がさらに高まっていくかもしれません。

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