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ミッドシップらしい優れたハンドリング性能と、スーパーチャージャーによる力強い加速感。国産車初の本格ミッドシップスポーツ、トヨタ AW11型 MR2は、後期モデルへの進化によって実力と人気を一気に開花させました。
今回は、後期型でのアップデートポイントを中心に、AW11型 MR2の魅力を振り返ります。
国産ミッドシップスポーツの道を切り拓いたAW11型MR2
品質は高いものの、大衆向けで無難なクルマを作るイメージがあるトヨタですが、1984年に市販国産車初のミッドシップスポーツを生み出していました。また、登場後もさらに開発を進め、大幅なアップデートを実施しています。
AW11型 MR2の誕生と、後期型への変遷を紹介します。
日本車初の市販ミッドシップ車として誕生
AW11型 MR2は、日本の量産車で初めてミッドシップレイアウトを採用した、国産ミッドシップスポーツの草分け的存在です。。
車名の由来は、「Midship Runabout 2seater」の頭文字です。ランナバウトには「その辺を軽快に走り回る」という意味があり、現在のトヨタのグレード名「RS(Runabout Sports)」としても使われています。
発売後わずか2年で実施したビッグマイナーチェンジ
開発当時、AW11型のエンジンや足回りには、大衆車であるE80系カローラから流用した部品が使われていました。ミッドシップレイアウトであるがゆえにハンドリング性能には優れていたものの、スポーツモデルとしての物足りなさがあったことは否めません。
そこで、1986年のビッグマイナーチェンジでミッドシップの特性をより活かすべく多くの変更が行われました。象徴的なのは、圧倒的な加速力を生み出すスーパーチャージャーモデルの追加です。また、足回りの設計やチューニングによって、さらなる操縦安定性の向上を図っています。
ビッグマイナーチェンジによる飛躍的なに進化〜レースでの功績
AW11型は、後期型へのビッグマイナーチェンジで大幅な性能アップを果たしました。「ミッドシップ」が単なるスタイリングではなく、スポーツカーとしての性能を追求した結果だということを示した形です。
後期型で変更された点を、モータースポーツシーンでの活躍とともにさらに詳しくみていきましょう。
過給器付エンジンとハンドリング性能の強化
ビックマイナーチェンジした後の後期型では、名機4A-GELUエンジンに過給器を搭載した4A-GZEモデルがラインナップに加えられました。4A-GZEといえば後発のAE92、AE101型レビン/トレノのエンジンとして有名ですが、実はAW11型に搭載するために開発されたエンジンです。
また、足回りの大幅な改良が加えられました。フロントエンジン車よりも後輪に大きな力がかかるため、サスペンションアームの取り付け位置を変更するとともにショックアブソーバーを大径化。さらに、ハンドリング性能向上のため、フロント部にはパフォーマンスロッドを追加して高剛性化を図っています。(一部はスーパーチャージャーモデルのみ)
デザインも大幅に刷新
性能だけでなく、デザインも大きく変化しました。最大の変更点は、Tバールーフの採用です。後に多くの人が「AW11型 MR2といえばTバールーフ」という印象をもつほどに、そのイメージを決定づける要素の1つとなりました。
また、フロントスポイラーの大型化とフロントバンパーとサイドエアインテークの形状変更、アルミホイールのデザイン刷新によって見た目の印象も変わっています。さらに、ボディカラーに追加されたスーパーチャージャー専用色のブルーマイカを選択すると、専用の内装色も選択できるようになっていました。
ジムカーナでの活躍により高い運動性能を証明
AW11型のハンドリング性能の高さの証明として、軽快な挙動が求められるジムカーナでの活躍が挙げられます。
全日本ジムカーナにて、AW11型をベースにした「ADVAN MR2」が数々の功績を残しました。1987年、「ミスターアドバン」の異名を持つジムカーナ界の帝王「山本真宏」選手の乗るADVAN MR2は、鈴鹿サーキットの全日本ジムカーナ選手権でデビューウィンを飾り、翌年も勝利を納めて見事に連覇を達成しました。
さらに1990年には、遠藤毅志選手(1989年、1990年全日本ジムカーナ・Dクラスチャンピオン)の駆るミッドシップ・スーパーD車輌、「トムス オクヤマ S1D」と激闘を繰り広げます。6月に開催されたジムカーナフェスティバル第2戦(備北ハイランド)では、準レーシングカーともいえるチューニングを施した「トムス オクヤマ S1D」を抑えて優勝するという、歴史的快挙を成し遂げました。
初のミッドシップ車を成熟させた後期型
AW11型の後期型は、国内初のミッドシップ車を真の完成の域にまで到達させたモデルです。国内自動車メーカーとして初めてミッドシップレイアウトに取り組んだ前期型を、わずか2年で成熟させたところに、社長の肝いりで開発したともいわれるトヨタの強い意志を感じます。
乗り手を選ぶクルマともいわれるミッドシップは、現在の国内ラインナップからは消えてしまいました。もともと支持層が限られるスポーツカーのなかでも、さらにマニアックな存在だけに仕方のないことなのかもしれません。しかし、AW11型を開発、成熟させたことで、後継のMR-Sや他メーカーのNSXやS2000といった名車が生まれました。歴史を作った名車として、現存する個体は今後も大切にしていきたいものです。
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