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私ごとで恐縮だが、我が家は夫婦で別々のミニバンを所有している。筆者がフォルクスワーゲン ゴルフ トゥーラン、妻は先代の日産セレナだ。
郊外に住んでいるので、最低でも一家に1台はクルマがないと正直厳しい。事実、近隣の職場までクルマ通勤をしている人も多いエリアだ。我が家の周辺ではミニバンと軽自動車という組み合わせが定番なのだが、他のエリアはどうなのだろうか。
筆者の肌感覚では、トヨタ アルファードとホンダ N-BOXあたりが王道の組み合わせといえる。大事に乗ればリセールバリューも期待できるだろうし、両車ともに両側電動スライドドア。実用性とコスパ重視でファミリーカーを選んだとして、現時点では最強の組み合わせかもしれない。
■なぜ我が家はミニバン2台体勢に「なってしまった」のか?
そもそも、なぜ我が家はミニバン2台体勢に「なってしまった」のか?そして、なぜミニバン2台体勢という矛盾(?)が生じたのか。
もともと、我が家もミニバンと軽自動車という組み合わせだった。最大の要因はゴルフ トゥーランが電動スライドドアでなかった点が大きい。子どもを乗り降りさせるとき、一般的なヒンジドアでは不都合が生じる場面が増えてきたのだ。
子どもが生まれたのを機にゴルフ トゥーランを選んだのだが、郊外のスーパーやショッピングモールの駐車場のなかには1台分の駐車スペースが狭いところも少なくない。
で、これが予想以上に大変だった。となりのクルマにドアパンチしないかヒヤヒヤしながら子どもをチャイルドシートに乗せる。雨の日、屋根がない駐車場だと、これだけで親はずぶ濡れになる。それはつまり、夫婦喧嘩の要因が増えることを意味する。
子育て世代でSUVに乗っているご家庭は、このあたりの大変さを承知のうえで所有しているとしか思えない。たしかに子育て世代であっても(だからこそ、なのかも)ミニバンだと生活感があってイヤだという話をしばしば耳にする。この気持ちも分からなくはない。
話を戻すと、それまで妻はホンダN-ONE(初代)を所有していた。冒頭に記した「定番のミニバンと軽自動車の組み合わせ」だ。しかし、ある日突然「ワタシ、ミニバンを買う」といい出した。それが今から2年前。2021年の秋だった。
コロナ禍と半導体不足で新車の供給が遅れはじめていた時期だったが、そもそも新車はいらない(そして、そもそも高い)。それに、どうせ子どもたちが汚すに決まっているから、新古車か中古車にしよう、ということで話がまとまった。
とはいえ、なかなかいい売り物が見つからない。すったもんだの挙げ句、近隣の日産中古車センターで売られていた試乗車落ちのセレナをカーセンサーで見つけ、夫婦で実車確認に行った。すると妻はその場で即決してしまった。
「ええっ!? ひと晩考えないの?」と思ったが、クルマを買うのもお金を払うのも(ついでに名義も)妻だ。余計なことをいうと機嫌を損ねそうなので黙っていた。この決断力を見習いたいと心底思う。
こうして我が家はミニバン2台体勢となった、というか、なってしまった。以来、家族の移動時にゴルフ トゥーランの出番はほぼなくなり、妻のセレナが大活躍している。
この業界で仕事をしていると「ミニバン2台もいらないんだし、買い替えればいいじゃない?」といわれることも少なくない。ま、たしかにミニバン2台は無駄だ。
しかし、妻からは「トゥーランは壊れるまで乗りなさい」と厳命されているため、買い替えるという選択肢はありえない。それに、つい先日車検に通したばかりだ。ここで乗り換えたら、少なくとも向こう3ヶ月は口をきいてくれないだろう。
これといって故障もないし、不満もなければローンの残債もない。わざわざ買い替える理由が見つからないこともまた事実だ。
ただ……趣味車は一生モノだけど、普段用のクルマとなるとなかなかそうはいかない。いつかは買い替えの時期が訪れる(はずだ)。
■いつかは訪れるであろう「Xデー」のために妄想する日々?
いつかは訪れるであろうXデー(トゥーランとの別れ)は、考えるだけでも辛い。そんな後ろ髪を引かれつつ、原稿が煮詰まったときなど、普段用の愛車の次期候補をカーセンサーで探してみたりする習慣が身についてしまった。
現時点で気になっている5台のクルマをピックアップしてみた。なお、新車はありえない(すぐに過走行になってしまう)ので、中古車一択だ。
1.トヨタIQ
デビュー以来、ずっと気になっているトヨタIQ。浅田真央ちゃんも赤いIQに乗ってたっけ。
今年の春に取材させていただいたときにじっくり拝見してさらに好きになってしまった(浅田真央ちゃんじゃなくてIQの方。念のため)。走行距離が5万キロ前後であれば車輌本体価格は50万円台もゴロゴロある。
ほぼ2シーターみたいなものだけれど、撮影機材と三脚が載せられるのであれば問題なし!それに、このデザインでこの価格は正直いってかなり魅力的だ。
6MTもあるけれど、妻はオートマ免許なのでAT一択。カーセンサーを観ていたらますます欲しくなってしまった。どうしよう。
2.スズキ キザシ
密かに気になっているスズキ キザシも検索してみた。当局が覆面パトカーとして運用していることでもお馴染み(?)のモデルだ。
どちらかというとマイナー車だし、きっと安く買えるだろう……と思ってタカをくくっていたら5万キロオーバーでも100万円近い。さらには100万円オーバーの個体も少なくない。これなら他にも選択肢がありそうだなぁ。高速道路を淡々と走るだけでも「覆面パトカーオーラ」を発することができていいかなと思ったのだが・・・。
3.スズキ ジムニー(シエラを含む)
次に、これは旧車王ヒストリアの枠からは外れてしまうけれど、現行ジムニー(シエラを含めた)の中古車だ。
某案件で一緒に仕事をしているカメラマンさんが現行ジムニー(軽の方)に乗っていて、撮影時に何度か運転させてもらっているうちに気に入ってしまった。以来、仕事机には常時「新型ジムニーのすべて」が置いてあるありさま。
しかし、新車をオーダーするといまだに納車まで1年待ちらしい。不意にXデーが訪れ、いざ次のクルマが必要になったらそんなに待っていられない。カーセンサーで調べてみると、安いモデルだとすでに10万キロオーバーの個体もあったりする。それでも車輌本体価格が135万円なのだからすごい。つまり、中古車としては全体的に「割高」なのだ。
4.メルセデス・ベンツ Eクラスワゴン(S212型)
いかにもなチョイスだけれど、10数年前に日帰りで東京〜名古屋〜京都を往復してもまったく疲れなかったことに感激して以来、いまだに忘れられないのがS212型のメルセデス・ベンツEクラスワゴンだ。
かつて、メルセデス・ベンツのステーションワゴンの中古車といえば高値安定の代名詞だったけれど、近年は驚くほど寝落ちが早い。購入後の維持費はさておき、車輌本体価格100万円台がゴロゴロあり、ジムニーの中古車よりもハッキリいって割安感があるのは魅力的だ。
買えば何とかなるのかなあ、とか、メルセデスだとご近所さんに驚かれるかなあとか(まさか100万円台で買ったとは信じてもらえないだろう)、いろいろと妄想は尽きない。
5.マツダ ロードスター(ND型)
かつてNAロードスターを所有したきっかけを作ってくれた恩師のイチオシがマツダ ロードスター(ND型)の中古車だ。恩師曰く「セレナがあるんだし、この際、2シーターオープンでもいいんじゃないの?」と、痛いところを突いてくる。
幕張で行われたデビューイベントも観に行っているし(仕事ではなくプライベートで!)、このデザインは本当に好み。先日のマイナーチェンジでも、外観の変更はほとんどなかった点からも「メーカーとしても完成されたデザイン」なんだと思う。
検索してみると、走行距離や年式にこだわらなければ100万円台の中古車もゴロゴロある。取材先にロードスターで乗りつけても困る場面はない。タマ数が豊富なうちに乗っておきたいのは偽らざる本心だ。
■まとめ:ああでもないこうでもないとこねくり回しているときが一番楽しい?
こんな風に、ああでもないこうでもないとこねくり回しているときが一番楽しいのかもしれない。ただ「今は買わないけど、タイミングがあえば絶対に契約しているよなあ」と、密かに思いを寄せていた個体が売れてしまうと正直かなり悔しい。
告白するほどの勇気はまだないけれど、何かの機会があればもっと仲良くなりたいと思っていた女の子に彼氏ができたことを知ったときのあのやりきれなさ。自分には手が届かない存在だと確定してしまったときに味わうあの悔しさ。このときの感情に少し近いかもしれない。
ふとそんなことを思いながら、妄想の秋の夜はふけていく。一向に進まない原稿書きという現実とともに。
[画像/TOYOTA,Nissan,Mercedes-Benz,Mazda,SUZUKI ライター・撮影/松村透]