日産 R32型GT-Rが速かった理由とは? レースで勝つという目的をストレートに体現したモデル

目次
1.レースで勝つために作られたR32型GT-R 2.圧倒的な速さを実現した2つの要素 3.販売台数からわかる圧倒的な人気ぶり

「スパルタン」とも評される日産 R32型GT-R。無駄が削ぎ落とされたボディデザインや大型のリアウィングなど見た目の印象が強いクルマですが、世間での評価通り機能性を追求した末に生まれた高性能スポーツカーです。

レース仕様を意識して開発されたエンジンなど、勝つための工夫が随所に凝らされたR32型GT-Rの誕生背景と実力を振り返ってみましょう。

reasons_to_choose_qshaoh

contact_button

reasons_to_choose_qshaoh

contact_button

レースで勝つために作られたR32型GT-R

1985年に始まった日本国内のグループA規定のレース、JTC(Japan Touringcar Championship)で思うような結果が残せていなかった日産は、「サーキットレースで勝てなければスカイラインの存在価値はない」とGT-R復活への決意を固めます。

スカイライン 2000GT-R以来16年ぶりに登場した、R32型GT-Rの誕生背景を振り返ってみましょう。

16年ぶりに復活したGT-Rの称号

スカイラインは、1989年にR32型へのフルモデルチェンジを果たします。同時に、1973年以来16年ぶりにGT-Rのグレードが復活しました。このタイミングでのGT-Rの復活には、単なる最上位グレードの設定ではなく、「レースで勝つ」という明確な目的がありました。

「GT-R」とは、「GrandTouring」と「Race」を意味しているといわれています。しかし、直接的にレースを意識して開発されたGT-Rは、初代PGC/KPGC10型とR32型の2モデルのみです。

あらゆる造形がグループAを意識していた

グループA規定は市販車からの改造範囲が狭く、性能向上のために基本構造を変更することができません。そこで、R32型GT-Rは、あらゆる部分がレースへの参戦を前提に設計されました。特に外装部分の造形は、スポーツカーとしての見た目ではなく機能性に重点が置かれています。

例えば、フロントの大きな開口部とバンパーの特徴的なエアインレットは、冷却性能を最大限に高めることが目的です。加えて、ワイドホイールを使用する目的で採用されたブリスターフェンダーの存在もR32型GT-Rの魅力を語るうえで欠かせません。大径ホイールの装着が実現したためにグリップ力が向上し、走行性能にさらなる磨きがかかりました。。

R32スカイライン GT-Rの買取専門ページはこちら

旧車王バナー旧車王バナー

圧倒的な速さを実現した2つの要素

R32型GT-Rは、当初の開発目的どおりレースで無類の速さを見せつけます。高い戦闘力に直接的に影響したのは、エンジンと先進的な駆動システムです。

レースでの結果も交えて、R32型GT-Rの実力を再確認してみましょう。

速すぎたRB26DETT

R32型GT-Rに搭載されたのは、新開発のRB26DETTエンジンです。市販車の最高出力は、自主規制いっぱいの280ps。さらにレース仕様では、600ps+αのパワーを発揮したといわれています。

R32型がいかにレースを意識して設計されていたのかがわかるポイントが、エンジンの燃焼室の形状です。実は、RB26DETTの燃焼室は、市販車に適した形状ではありません。レースで高過給圧仕様にして圧縮比を下げた際に、最適になるように設計されています。

さらに、このエンジンの実力の高さをうかがわせるエピソードが残っています。当初、レース仕様の過給圧は1.6kgf/cm2を想定していました。しかし、他車が相手にならないほどの圧倒的な速さになることが判明し、何らかのハンディを課せられることをおそれた日産は過給圧の引き下げを決断したそうです。最終的な過給圧は、1.4kgf/cm2まで下げられました。

直線でもコーナリングでもライバルを引き離すアテーサET-S

高出力エンジンのパワーを余すことなく地面に伝えるアテーサET-Sも、GT-Rの圧倒的な速さを支えました。GT-Rの駆動方式は一般的に4WDだと認識されていますが、正確には後輪駆動がベースのパートタイム4WDです。

アテーサET-Sは、後輪のトルクが過大になるシチュエーションで湿式クラッチを介して前輪にもトルクを配分します。湿式クラッチを電子制御することで、0:100〜50:50の広範囲でシチュエーションに応じた最適なトルク配分を実現しました。

4年間負けなしの29連勝という大記録を樹立

R32型GT-Rは、開発の目的通りレース参戦直後から無類の強さを発揮します。市販の翌年にJTCに投入されると、1990年から1993年の4シーズンにわたって負け知らずの29連勝という大記録を打ち立てました。

最終年の1993年には7〜8台のGT-Rが出場していましたが他車を寄せ付けない速さだったため、GT-R同士の熾烈な順位争いが常に繰り広げられました。同型車同士の争いだっただけに、クルマとしての速さはあってもなかなか表彰台を獲得できないチームもありました。

特に1992年のRd.3 SUGOでのレースは、GT-Rを擁するチーム間での争いがいかに過酷だったのかがわかります。師と仰ぐ高橋国光氏とSTPタイサンGT-Rでチームを組む土屋圭市氏は、念願の3位表彰台を獲得しました。高橋氏の他界後に「オレが国さんをグループAの表彰台に上げる!」という固い決意をもってレースに臨んだことを土屋氏は語っています。

R32スカイライン GT-Rの買取専門ページはこちら

販売台数からわかる圧倒的な人気ぶり

レースでの速さだけではなく、R32型GT-Rは商業的にも成功したモデルです。最上位グレードという位置づけにも関わらず、販売台数は4万3,934台にものぼりました。後継のR33型が1万6,422台、R34型が1万1,345台に留まったことからも、いかに驚異的な販売台数だったのかがわかります。

GT-Rには数々のモデルがありますが、初代と同等かそれ以上に特別視されているのがR32型です。エンジンのスペックやニュルブルクリンクでのタイムなど絶対的な性能は後発モデルのほうが向上していますが、R32型GT-Rにこだわるユーザーは少なくありません。販売終了からでもすでに30年以上が経過し年々残存台数は減ってきていますが、不滅の記録を打ち立てた歴史的なクルマとして後世に永く語り継がれていくでしょう。

旧車の買取なら「旧車王」におまかせ!

長い時間を共にした愛車だからこそ、売却先にもこだわりたいという方は多いのではないでしょうか。
旧車王は、旧車に特化して20年以上買取を続けております。旧車に関する実績と知識なら、どこに負けない自信があります。また、ご契約後の買取額の減額や不当なキャンセル料を請求する「二重査定」も一切ございません。誠実にお客さまのクルマと向き合い、適正に査定いたします。
全国どこでも無料で出張査定にうかがいますので、大事な愛車の売却先にお悩みの方はぜひ「旧車王」にご相談ください。

画像1 画像2
画像ギャラリー(全2枚)を見る

この記事をシェアする

旧車王ヒストリアは
旧車買取20年以上の旧車王
が運営しています

旧車売るなら旧車王

旧車王は、「自動車文化遺産を次世代へ」という信念のもと、旧車・クラシックカーに特化して24年、年間11,000台以上の査定申込をいただいております。改造車から希少車まで、適正価格を見極めて買取させていただきます。弊社所属の鑑定士が最短当日で全国無料出張査定いたします。ご契約後の買取額の減額や不当なキャンセル料を請求する二重査定は一切ありません。特別なそして価値ある希少車の買取こそ、確かなノウハウと実績を持つ旧車王にお任せください!

すぐ査定依頼が可能!

Web査定申込はこちら

まずは車について気軽に相談したい

LINEで売却相談する

関連する記事

一生モノはありえない!? 長年所有した「愛車の卒業」について考えてみた

一生モノはありえない!? 長年所有した「愛車の卒業」について考えてみた

ライフスタイル 2024-08-31
そもそも「職場の上司や先輩よりイイクルマに乗るのは罪なのか?」という話

そもそも「職場の上司や先輩よりイイクルマに乗るのは罪なのか?」という話

ライフスタイル 2024-06-25
R32&R33 GT-Rの違いって何?人気の理由をそれぞれ解説

R32&R33 GT-Rの違いって何?人気の理由をそれぞれ解説

旧車の魅力 2024-02-01
アメリカ「25年ルール」とは?名車の中古相場が急騰するしくみ

アメリカ「25年ルール」とは?名車の中古相場が急騰するしくみ

旧車市場動向 2023-12-28
初の愛車は、高校時代に手にした“R32 スカイラインGT-R”

初の愛車は、高校時代に手にした“R32 スカイラインGT-R”

オーナーインタビュー 2023-09-15
何年経っても色褪せない!R32 GT-Rの純正16インチホイールが人気の理由

何年経っても色褪せない!R32 GT-Rの純正16インチホイールが人気の理由

旧車売買の豆知識 2023-06-19
成人式・・・といえば自慢の愛車で出撃ですよね?

成人式・・・といえば自慢の愛車で出撃ですよね?

エディターズノート 2023-01-12
V12搭載のFDや40年ぶり発掘のジムニー!SEMA2022に登場した驚きの旧車5選

V12搭載のFDや40年ぶり発掘のジムニー!SEMA2022に登場した驚きの旧車5選

加藤久美子&博人の見識 2022-12-27

記事ランキング

1
固着したネジでも諦めないで!回らないネジの緩め方アラカルト

固着したネジでも諦めないで!回らないネジの緩め方アラカルト

ライフスタイル 2023-09-14
2
MT車(マニュアル車)の運転方法とは?発進・停止・ギアチェンジ・坂道発進のコツを解説

MT車(マニュアル車)の運転方法とは?発進・停止・ギアチェンジ・坂道発進のコツを解説

旧車売買の豆知識 2024-04-19
3
車検ステッカーの貼り付け位置はどこ?間違えた場合の罰則も紹介

車検ステッカーの貼り付け位置はどこ?間違えた場合の罰則も紹介

旧車売買の豆知識 2024-02-02
4
車のアンダーカバーが壊れた!修理費用はどのくらい?

車のアンダーカバーが壊れた!修理費用はどのくらい?

旧車メンテナンス 2023-10-18
5
ナンバープレートから個人情報は特定できる?特定できる情報を解説

ナンバープレートから個人情報は特定できる?特定できる情報を解説

旧車売買の豆知識 2023-10-27
6
日産 R34型GT-RとER34の違いとは?同じR34型なのに中古車価格はひと桁違う!

日産 R34型GT-RとER34の違いとは?同じR34型なのに中古車価格はひと桁違う!

旧車売買の豆知識 2024-05-21
7
MT車(マニュアル車)のギアチェンジのコツとは?変速方法について解説

MT車(マニュアル車)のギアチェンジのコツとは?変速方法について解説

旧車売買の豆知識 2024-04-19
8
車庫証明は本人じゃなくても取得できる!代理人による手続き方法を紹介

車庫証明は本人じゃなくても取得できる!代理人による手続き方法を紹介

旧車売買の豆知識 2024-08-06

カテゴリ一覧

# 旧車コラム # 旧車の魅力 # 旧車売買の豆知識 # 旧車市場動向 # 旧車メンテナンス # エディターズノート # ライタープロフィール # イベントレポート # ライフスタイル # 加藤久美子&博人の見識 # ドイツ現地レポ # ライター愛車レポート # タイレルP34を追え! # オーナーインタビュー # 名車&迷車烈伝 # マツド・デラックスの世界 # 海外現地レポ