目次
■1.なぜ「多頭飼い」になってしまったのか?
多くの方が、「多頭飼い」という言葉をニュースなどで1度は目にしたことがあるはずです。
この言葉から連想するのはどちらかというとネガティブなイメージがあるかもしれませんが、今回は「ポジティブ(?)」な話題なのでご安心ください。
なぜなら、私が多頭飼いに「陥ってしまった」エピソードのご紹介だからです。
そもそも、クルマが勝手に増えることはないモノというはいうまでもありません。
では、なぜ増えたかというと、筆者自身、情が湧いてしまうと手放すことができない性格であるため、自ら招いてしまった結果だからです。
今回、勝手に増えるはずがないクルマが、いつの間にか(?)多頭飼いになっていた経緯をご挨拶も兼ねて紹介いたします。
■2.これは運命!?巡り合わせの初愛車が嫁いできた!
筆者の初めての愛車は1992年式日産 パルサー GTI-R(RNN14型)。
運転免許取得のため教習所に通っていた17歳のとき、手元にやってきました。
馴れ初めは、高校時代の先輩が手に入れてから3か月足らずで廃車にするということで、菓子折りで譲っていただきました。
廃車にするのにもお金がかかる時代だったので、先輩としては引き取ってくれるだけ助かるわけです。
そして筆者も、格安で憧れのクルマが手に入ったわけですから、お互いにメリットがあったのです。
しかし、前オーナーである先輩が廃車にしようと考えていたくらいですから、それなりの不具合を抱えていたことも事実でした。
そもそも、廃車に至ったきっかけは「アイドリングしないでエンストする」というものでした。
これは、取り付けられていた社外品パーツが壊れていたのが原因だったようです。
引き取りに行った際にすぐ原因が判明。
応急処置を施し、筆者の父に運転してもらい、自宅に持ち帰ったのです。
実は、先輩から譲っていただく時点で他にも不具合を伺っており、「想像以上にお金がかかるから、駄目だと思ったらすぐに手放すように」と忠告されていました。
案の定、免許を取得し、パルサーGTI-R乗るにつれ、さまざまな不具合が表面化していったのです。
ただ、タダ同然で手に入れたこともあり「パルサーGTI-Rを買ったと思えば・・・」と考えて修理をしていたら、それなりの金額を費やす羽目に。
これこそが、「安くて素性の良くないクルマ」を手に入れた際に陥ってしまう錯覚なのです。
いわゆる「ダメ男と付き合う感覚」とは、こういうことなのではないかと考えてしまいます。
さまざまな不具合を抱えたパルサーGTI-R。もっとも深刻だったのはエンジンでした。
いわゆる「オイル上がり」の状態になっていたのです。
「オイル上がり」とは、エンジンの燃焼室にオイルが入って一緒に燃焼してしまう症状のことを指します。
この症状を直すためには、エンジンをオーバーホールするか、載せ替えるしかありません。
当時学生だった筆者に、エンジンの不具合を直すほどのまとまったお金はありません。
どうするべきか悩んでいる最中に、新たな「縁談」が舞い込んできたのです。
■3.決断を迫られたすえ、増車する道を選んだ2台目
私が中学生だったころ(2000年代初頭)からインターネットが身近なものになりつつあり、ホームページを作っている方とも「掲示板」を通じてやり取りをすることがありました。
免許を取得する前からやり取りをしていただいた方々と、「オフ会」にパルサーに乗っていってお邪魔することもありました(やり取り時は別の車種でしたが)。
そこで知り合った方から、2台目の愛車となる1998年式 日産 HU14ブルーバード SSS-Zを譲っていただけることになったのです。
知り合った方の新しい愛車のお披露目会の帰りに、筆者のパルサーが不調になってしまったのです。
そんな折り、まだ嫁ぎ先が決まっていないブルーバードの話をいただいたのでした。
しかし、筆者は当時二十歳・・・。
実は幼いころからブルーバードは好きなクルマでした。
筆者の祖父は、ブルーバードを910型、U12型を2台、そして私と同じU14型と、幼少期からの記憶でも4台も乗り継いでいたことが影響しているようです。
事実、幼心にブルーバードは背が低くてカッコイイクルマだと思っていましたから。
・・・というのも、我が家は筆者が物心ついたころから日産バネット(後のセレナ)というミニバンを乗り継いで育ってきた経緯があります。
時々乗せてもらうブルーバードは、バネットとは異なり、目線が低く、まるでスポーツカーのようでした。
現代のミニバンやSUVで育った子どもたちも、筆者のように「目線の低さ」にカルチャーショックを受けることで、セダンやスポーツカーに憧れを持つ日が訪れて欲しい・・・と、実体験を通じて心のなかで密かに願っています。
U14型ブルーバードが新車だったころ、親からもらったカタログをボロボロになるまで読み込むほど好きだった筆者。
結局、知人のブルーバードを迎え入れることにしました。
しかし、迎え入れるにあたって問題なのは「パルサーをどうするのか」ということ。
不具合の多いクルマなので「メカにもそれなりに詳しく、大事にしてくれそうな人に乗ってもらいたい」というのが親心というもの。
その結果、このクルマの素性を知っている高校時代の後輩に譲る方向で話を進めていました。
しかしある日の夜、父が「パルサーいろいろ直したのに手放すのはもったいなくないか?」といってきたのです。
筆者のなかでは手放す以外の選択肢を考えていなかったこともあり、事態は急転直下。
父が置き場所を確保したということで、急遽パルサーをそのまま所有することになったのでした。
ただ、勝手に父と私が決めたことであり、家族の他の者には知らせていなかったのです。
「学生の身分でクルマ2台持ち」という大それたことはすぐ母にもバレました。
しかも、筆者がブルーバードを引き取りに行くタイミングで・・・。
激怒した母から逃げるように家を飛び出したことを、今でも鮮明に覚えています。
乗ってきたブルーバードをまったく見ようともせず、1週間ろくに口も聞いてくれませんでした。
その後、謝って許してもらえましたが、クルマを複数台持つということはこんな家庭トラブルもあるので、しっかりと事前に話をするようにしましょう(苦笑)。
メインカーとなったブルーバードはまったく故障知らずで快適。当たり前のことにもの凄く感動をしました。
あまりにも絶好調すぎて、物足りなさすら感じるほど。
「最初の愛車がその後のクルマ人生を決める」といいますが、確実に普通の人の感覚から外れてしまっていることを実感したのでした。
ブルーバードに乗るきっかけとなったオーナーズクラブの方々との交友を続けていくなかで、「カスタム」することも覚えていきました。
元々カスタムパーツが豊富ではないクルマなので、諸先輩方の流用情報、不要となったパーツを譲っていただいたことも。
その結果、自分のクルマを作る楽しさも覚えていったのです。
ブルーバードに乗るようになってからはますます移動距離も延びていき、5万kmで譲っていただいたブルーバードはあっという間に10万、15万kmと距離を伸ばしていくのでした。
その間ブルーバードもそれなりの故障などを経験しましたが、ラッキーなことに復活して今に至っています。
■4.士気を上げる!?勢いで手に入れた3台目
月日は流れ社会人になりました。
数年が経ち、それなりに仕事を覚えてきたころ・・・。いろいろと不条理なことにぶつかったりするのは多くの方々が経験してきたことと思います(筆者もその一人です)。
仕事でストレスフルだったあるとき、昔からお世話になっている先輩からクルマの買い手を探している話が舞い込んできました。
クルマは2002年式ダイハツ コペン(L880K型)。
クルマに詳しくない方も知っている人気車です。
嫁ぎ先は探せばすぐに見つかると思いました。
売値を聞くと個人売買なので相場よりも安め。
しかも車検を取ったばかり。
これは・・・かなり魅力的に映りました。
コペンがデビューしたとき、まだ中学生だった筆者は気になるクルマだったので自転車でディーラーに観に行くほど気になる存在だったのです。
そのとき、オプションカタログに載っていたトミカを思わず注文してしまったほどです(笑)。
以来、一度は所有したいと思っていたクルマですが、筆者の懐事情はまったく余裕はありません。
しかし、この条件と金額は今後出てくる気がしない。
貯金をかき集めればどうにかなる。
何か生活に弾みをつけたいのも相まって、意を決して購入することにしました。
ブルーバードのときの反省を踏まえ、今回は事前に家族にも相談をしました。
当初は「何を考えているんだ!」といわれましたが、車種がコペンであることを告げると「コペンならいいか」と。コペンの魅力、おそるべし。
売主に「購入者が見つかりましたよ。私です」と伝えると、「待て待て3台持つのか!?」と心配されましたが、筆者の熱意で納得していただきました。
夢のコペン!そしてクルマ好きが一度は夢見るオープンカー生活がスタートしたのでした。
コペンは当初1年程度か、車検のタイミングまで乗り、価値のあるうちに手放そうと思っていました。
しかし、乗ると魅力にどんどんハマってしまい、7年経った現在も所有しています。
■5.感覚がマヒ!?夢を叶えるための4台目
我が家のラインナップでコペンを除く3台に共通点があります。
それは「すべてSR20型というエンジンを積んでいる」ということが挙げられます。
具体的には
・セレナ(父所有):SR20DE
・パルサー:SR20DET
・ブルーバード:SR20VE
といった具合に、SR20シリーズのなかでも種類が異なります。
SR20を大きく分けると4種類に分類されるのですが、気づけばその3/4種類そろっているのです。
そう、残りのSR20シリーズはあと1種類なのです。
残すはSR20VETというエンジンのみ。
このエンジンを積んでいるのは、初代エクストレイルのGTというグレードのみになります。
初代エクストレイルが出たとき、GTだけがエンジンとバンパー&グリルが他のグレードと異なり、そこに惹かれていました。
筆者は前期型のGTのデザインが好きだったため、チャンスがあれば欲しいなと常々思っていました。
実はこれまで、購入を検討する機会が何度かありました。
そのタイミングとは、ブルーバードが不調になったときであり、何度か中古車を見に行ったものの、結局踏み切れずにいました。
そしてあるとき、エクストレイルGTを購入するきっかけ(大義名分?)が訪れます。
それは、父所有のセレナを親がぶつけた際、オールペンしてきれいにしたことでした。
それまでは趣味のスノーボードをする際に借りていましたが、きれいになったことで雪道を走らせたくないというのです。
そこで、スノーボードに行くためのクルマが必要になったのでした。
なぜかそのタイミングで、これまで見たことがないボディーカラーと装備を持つエクストレイルGTの中古車を近所の中古車販売店で発見してしまったのです。
さっそく見に行ったところ、多少汚れていたものの目立つ傷もなく、自身の経験則から、距離や装備、コンディションを総合して妥当な金額に思えました。
しかし、またしても懐事情が厳しいため、コペンを手放そうと決意。何件か査定してもらいました。
しかしここで予想外のことが!
「もし可能なら、手放さずに持ち続けた方が良いですよ」と査定をしていただいたそれぞれの買取り店でいわれることに。
たしかに、ここで手放したらもう買い直せないことは想像できました。
そこで、無茶を承知で4台目を増車することにしたのです。
「どうにもならなくなったら手放せばよい。乗り続けたければ頑張ればよい」というのが、筆者がたどりついた結論です。
ちなみに、家族はもう驚きませんでした(もうクルマが増えることにマヒしていた!?)。
筆者がSR20シリーズエンジン搭載車をコンプリートするという夢を知っていたので「悩んでいるうちに売れて後悔するのは目に見えているから早く買ってきなさい」と後押しまでしてくれました。
そして日産 PNT30型のエクストレイル GTを購入し、所有車が4台となったのでした。
■6.まとめ:やれる範囲でやろうと思えばどうにかなる!そして自分も周りも感覚がマヒしてくる・・・
思い出を振り返りながら書いていたら長文となってしまいました。
ここまで読んでいただき「どうしょうもないなぁ」と笑っていただけたら幸いです。
よくクルマを複数台持っている人のことを「浮気癖がある人」という人もいます。
筆者にとって、クルマは「恋人」というより「子ども」の感覚です。
手をかけ「直す」ことが「育てる」感覚になっていました。
筆者としては、可能な限り、このバランスの取れたラインナップを維持していきたいと思っています。
クルマは乗っても乗らなくても所有をしていれば維持費はかかるモノです。
日々の生活からクルマを楽しむために節約をしていますが、それもまた楽しみになっていきました。
よく今後のカーライフについて質問されることがあります。
筆者が手放せない理由に愛着が湧いていることはもちろんですが、知らぬ間に玉数も減っている世代となり、手放すともう二度と手に入れられない気がしているからです。
満足して一気にラインアップが変わることがあるかもしれませんし、現状を維持するために、さらに増車してしまう可能性もゼロではありません(笑)。
さらなる多頭飼いにご期待(?)ください。
[ライター・撮影/お杉]