車を登録する際に「車庫飛ばし」と呼ばれる行為が行われることがあります。車庫飛ばしは目的があって行われるケースと、過失によって行われているケースがありますが、いずれも犯罪行為になります。この記事では、車庫飛ばしとは何か解説するとともに、罰則や手口などについて詳しく解説します。
車庫飛ばしとは
車庫飛ばしとは、車を購入する際に警察署に届け出る「車庫証明」の申請内容とは異なった場所で、車を保管する行為のことを指します。
車の保管は、その車の所有者の自宅など「使用の本拠地」から、直線距離で2km以内の場所に車庫を設けなければなりません。さらに、その場所は「車庫証明」という申請で、地域の警察署に届け出る必要があります。しかし、自宅などから遠く離れた場所に、車庫を届け出をすることがあり、この状態を車庫飛ばしと呼びます。
なぜこの行為がいけないかというと、車庫証明の申請は、法律に基づいて行われるものだからです。法律に基づく申請が事実と異なれば、違法行為となります。
車庫飛ばしの罰則
車庫証明の正式名称は「自動車保管場所証明書」といい、「自動車の保管場所等の確保に関する法律」によって定められています。故意に虚偽の申請をしたとみなされた場合には、最大20万円以下の罰金が課せられます。故意ではないと認められた場合でも、最大10万円以下の罰金を支払わなければなりません。
ただし、実際には車庫飛ばしは実害がなければ、厳しい取り締まりは行われていません。厳しい取り締まりがないので、故意に車庫飛ばしが行われているケースがあります。
車庫飛ばしの手口
故意に行われる車庫飛ばしのやり方は、以下の通りです。
手順1. 車庫証明を取得したい地域に住民票を移す、またはその地域の人に名義を借りる。
解説:名義を借りるというのは、車の使用者を、車庫証明を取得したい地域の人の名前にすることです。その際に、所有者まで変更する必要はありません。
手順2. 希望する地域の警察署で、車庫証明を取得する。
手順3. 取得した車庫証明の地域を管轄する陸運支局で、ナンバープレートを取得する。
手順4. その後住民票や名義を戻すことで、車庫飛ばしが成立します。
車庫飛ばしが行われている理由
車庫飛ばしが行われている理由は、主に以下の3つが挙げられます。
駐車場代を抑えるため
自宅などが都心部にあれば、駐車場代は郊外よりも高額なのが一般的でしょう。駐車場代を安くするために、自宅から2km以上離れた場所に駐車場を借りて、車庫証明を取得するケースがあります。
一部自治体のディーゼル規制を逃れるため
東京都や神奈川県など、一部地域では「ディーゼル車規制条例」が制定されています。この条例は、環境規制に適合しないディーゼル車の使用を、対象地域内において禁止するものです。この規制を回避するために、車庫飛ばしが行われるケースがあります。
他地域のナンバープレートを使用したいため
車の所有者の住所とは違う地域のナンバープレートを使用したい場合に、車庫飛ばしが行われることがあります。2006年から導入された「ご当地ナンバープレート」は、地域おこしや観光客集めを目的としており、他の地域からの取得を希望する人もいます。
過失で車庫飛ばしをしてしまうケース
続いて、過失によって車庫飛ばしになってしまう例をご紹介します。
引っ越し時に手続きをしていない
引っ越しによって住所が変わり、住民票も移したものの陸運支局にてナンバープレートの変更を行わなかった場合は車庫飛ばしに該当します。
親族に車を譲渡した
親族の間で車を譲渡した場合、住所が離れていて管轄の陸運支局が異なるのであれば、ナンバープレートの変更を申請しなければなりません。
車庫飛ばしが発覚するケース
先述の通り、車庫飛ばしについては厳しい取り締まりは行われていませんが、発覚するケースもあります。
ケース1. 同じアパートなど、近くで生活する人から通報される。
解説:明らかに遠い地域の車が長期間駐車していれば、車庫飛ばしを疑う地域住民の方がいるかもしれません。
ケース2. ディーゼル車規制条例の対象地域で、周辺住民から通報される。
解説:ディーゼル車に関する規制条例がある地域で、古いディーゼルエンジンを搭載した車が日常的に使われていれば、車庫飛ばしが疑われることがあります。
ケース3. 他の交通違反で発覚する。
解説:例えばスピード違反、一時停止違反などの交通違反によって警察に呼び止められた場合、免許証と車検証を確認されてるので、車庫飛ばしが発覚します。
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