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こちら旧車ヒストリアで何枚もの画像を掲げているので、ご存じかも知れませんが、愛車のS15は、いわゆるライトチューン仕様。
独身の頃は月イチくらいでサーキットに足を運び、「キャッキャ!」と楽しんでいました。
根っからの恐がり、かつ臆病者なので、タイムは絶望的に遅かったんですけどね。
そんな経緯から、「愛車を手に入れたらチューニングしたい!」、「自分好みにモデファイしたいっ!」って気持ち、よーく分かります。
余談ですけどNAのSR20なら、マフラー交換よりもEXマニホールドの交換をお勧めします。
正直、マフラー交換による違いは、ほとんど体感できませんが、EXマニホールドを交換すると、アクセルレスポンスの向上がよく分かります。
もう楽しくてしかたがありません。
自分で言うのもなんですが、私のような「愛車をネコ可愛がる」派ですら、多少の改造を施しています。
旧車であっても大半のスポーツモデルは、多かれ少なかれ手が加えられているのではないでしょうか。
完全リフレッシュをウリにしているショップでない限り、旧車(中古車)は基本、現状渡し。
購入を果たしたら、チューニングやモデファイを後回しにし、まずはリフレッシュを施す必要があります。
■「リフレッシュ終了」時点から旧車ライフのスタート地点に
リフレッシュとは、劣化したパーツを交換し、可能な限り新車にコンディションを近づける作業です。
オイル交換やベルト交換から始まり、ブレーキパッドやブレーキローターなどの消耗品の交換。
ブッシュやマウントなどのゴム製品の交換。
排気音が大きいようならマフラーの交換。
ショックアブソーバーからオイル漏れがあったり車高が落ちてタイヤに偏摩耗が出ているようならサスキットの交換。
大規模なものになるとエンジンやトランスミッションのオーバーホール等々、施す項目は山ほどあります。
どの程度の作業が必要になるかは購入した旧車のコンディションと、かけられる予算次第。
理想的なのは、旧車やヒストリックカーに強い自動車整備工場と相談して進めること。
リフレッシュが終わり、アライメント調整といった最適化が終了したら、そこが旧車ライフのスタート地点になります。
なんて偉そうなこといってますが、私のS15も、そろそろエンジンのオーバーホールを考えなければならない頃合い。
頑張ってお金を貯めないとねー。
■念願のヒストリックカーを購入。楽しいカーライフを送るハズだったのに
私の親しい友人が、ちょうど今回のテーマにピッタリの体験をしていました。
友人が購入したのは、旧車よりもヒストリックカーに近い年式のクルマ。
有名な専門店で購入し、ボディはピカピカ、エンジンもブロックにパフがけが施され、新車のように綺麗なクルマでした。
レストアも終了しているとのことで、友人はさっそくモデファイに着手。
ボディにオールペンを施し、シートもボディカラーにあわせて張り替えるなど、自身が思い描いたクルマを作り上げます。
ただ、オーバーホール済みというエンジンはとても不調で、度々、出先で不動になってはレッカーを呼び、専門店に担ぎ込まれて入院。
所有していた期間のほとんどは修理で入庫中、しかも修理費用はしっかり請求されて自腹という有様でした。
当初、全面的に専門店を信用していた友人でしたが、次第に不信感が募り、その車種を専門に扱う自動車整備工場に持ち込みます。
ザッと診てもらったところ、エンジンはオーバーホールこそ行われているものの組み立てに異常があり、それは「何度、入庫しても原因が分からない」といったものではないこと。
他にも専用のブッシュが使用されるべき箇所に汎用のプラスチックパーツが使用されるなど、高かった価格に見合わないレストアが施されていたのが分かりました。
自動車整備工場から修理と、最低限の正常化にかかる費用の見積もりをだされますが、精神的に疲れていた友人はクルマを売却。
クルマ趣味から降りてしまいました……。
もちろん一番、疑問に思うのは専門店の態度ですが、もし最初のモデファイにかけた費用をリフレッシュやコンディションの確認にまわしていたら、別のカーライフが送れたと思います。
■古いクルマを手に入れたら、信頼できる自動車整備工場で診てもらうべき
この顛末を横から見ていて学んだのは「旧車やヒストリックカーを購入したら、ショップが専門店であっても、念のために信頼できる自動車整備工場に診てもらった方がいい」ということ。
ショールームには何台もの綺麗なクルマが並んでおり、同行した私も「経験豊富な専門店なら問題ない」と思ってしまったことを反省しなくてはなりません。
繰り返しになりますが、念願だった旧車の購入を果たしたら、思い描いた理想に向かってチューニングやモデファイを進めたくなるものだと思います。
けど、そこはまだスタート地点の前。
まずは本来の性能に戻すことを最優先に、リフレッシュを進めましょう。
それが結局、将来の大きな出費を防ぐ保険になりますから。
[画像・AdobeStock、ライター・撮影/糸井賢一]