RX-7といえばマツダが世界に誇るスポーツカーです。最も有名なFD3S型は1991年から2003年にかけて販売されていました。中古市場でも人気が高く新車価格を上回る個体も多いです。
しかし、購入を検討していても「古いスポーツカーは維持費やメンテナンスの負担が大きいのでは?」と心配の方も多いでしょう。そこでこの記事ではRX-7にかかる維持費やメンテナンスについて解説いたします。
RX-7の特徴
RX-7は「サバンナRX-7」の名称で1978年に登場し2003年まで製造・販売されたスポーツカーです。最も有名なモデルは3代目のFD3S型で、曲線を多用した流線型のラインが美しく、現在でも絶大な人気を誇ります。世界でも希少なロータリーエンジンを搭載しており、デビュー当初の最高出力は255psでしたが、1996年のマイナーチェンジで265ps、1999年のマイナーチェンジでは当時の国内メーカー自主規制値の280psまでアップしました。
RX-7はレース活動でも多くの功績を残し、FD3S型では全日本GT選手権で5勝をあげています。その乗り味に憧れるファンは後を絶たず、現在もなおサーキットで目にする機会が多いモデルです。
▼RX-7 FD3S型の魅力はこちらで詳しく解説しています。
マツダ FD3S型RX-7が個性的なスタイリングを手に入れた理由とは? 1型~6型の違いも解説
RX-7の維持費の内訳
FD3S型のRX-7の維持費について、燃料代、自動車税(種別割)、任意保険料、車検代、メンテナンス費用の5項目に分けて解説します。古いスポーツカーのためメンテナンスや修理にかかる負担が大きいため、メンテナンス費用については特に重点的に解説します。
燃料代
280psを捻出する、FD3S型最終モデルを例に燃料代を算出します。
1,308ccのロータリーエンジンの燃費は、10.15モードのカタログ燃費で7.2km〜8.1km/Lです。実燃費は4〜6km/Lほどだといわれています。「燃料計が動いているのがわかる」と揶揄されるほどの大食いです。
ここからは金額をシミュレーションします。
RX-7で月間1,000km走行した場合、ガソリンを約200L使用(*1)するため、燃料代は3万6,000円(*2)かかります。この条件で1年間走行した場合の総額は43万2,000円(*2)です。
*1 燃費は5km/Lで算出(実燃費)
*2 ハイオクガソリン1L当たり180円として算出
自動車税(種別割)
ロータリーエンジンが搭載されている車種の場合、排気量を1.5倍に計算したうえで自動車税(種別割)の区分と税額が決まります。
RX-7の排気量は1,308ccで、1.5倍の1,962ccとみなされるため、1.5L超~2.0L以下の区分に該当します。同区分の2024年10月現在の自動車税(種別割)は3万9,500円/年ですが、RX-7の最終モデルは2002年に発売されており、車齢が13年を超えるため、重課税されて4万5,400円かかります。
任意保険料
FD3S型のRX-7の任意保険について大手のネット型保険で見積もりをしました。
<条件>
年齢:24歳
等級:6B
使用目的:日常・レジャー
運転者:本人限定
<補償内容>
対人賠償(1名につき):無制限
対物賠償(1事故につき):無制限
人身傷害:あり(車内のみ補償)
人身傷害(保険金額/1名につき):3,000万円
入院諸費用特約:なし
車両保険:あり
車両保険(保険金額):30万円
車両保険免責金額(1回目-2回目以降):5万-10万円
上記内容でシミュレーションしたところ、総額は約10万円/年でした。
中古市場ではプレミア価格で取引されるRX-7ですが、車両保険は30万円しかつかないようです。事故には十分注意しましょう。
車検代
RX-7の車検代についてみていきましょう。
<ディーラー車検の場合>
自賠責保険:1万7,650円(24ヶ月)※2024年10月時点
自動車重量税:3万7,800円(24ヶ月)※初年度登録から18年経過で算出
印紙代:1,800円 ※指定工場の場合
車検基本料:6万円 ※内容、整備工場などにより増減
合計:11万7,250円
FD3S型のRX-7は、重量税が1t超〜1.5t以下の区分に該当します。同区分の現行モデルの重量税は2万4,600円ですが、初年度登録から18年以上経過しているクルマは、2段階の重課税により3万7,800円かかります。また、古いクルマは故障が多く交換部品や整備が必要なことが予想されるため高額になる可能性があります。
メンテナンス費用
RX-7のメンテナンスには、おおよそ6万円/年かかります。ロータリーエンジンを搭載している車種特有のトラブルが発生しやすいため、購入前にメンテナンス項目をあらかじめ知っておくと安心です。RX-7の主なメンテナンス項目とその費用について、1つ1つ詳しく確認しておきましょう。
エンジンオイル交換
RX-7のエンジンオイルは、3,000〜5,000kmごとに交換するのがよいとされており、1回あたり8,000〜1万円程度かかります。年間1万km程度走行する場合、1年で2回交換するとして費用の合計は2万円程度です。
ロータリーエンジンには、通常のエンジンよりもオイルが劣化しやすいという特徴があります。オイルの劣化により発生するのがカーボンデポジットという燃料の燃えカスです。カーボンデポジットエンジン内部に蓄積すると故障につながりやすいため、適切なタイミングでのオイル交換が推奨されています。
オイルエレメント交換
オイルエレメントとは、エンジンオイルをろ過するフィルターです。基本的にオイル交換2回につき1回交換します。交換費用は2,000円程度です。年間で1万km走行して2回エンジンオイルを交換するのであれば、実施するのは1年に一度でよいでしょう。
スパークプラグ交換
スパークプラグとは、エンジンのシリンダー内に発生した混合気に火をつける装置です。6,000〜8,000kmで交換するとよいとされており、費用は1万円程度かかります。
スパークプラグが故障すると火花を飛ばすことができなくなります。ロータリーエンジンのスパークプラグにトラブルが起こると燃費悪化やパワーダウンにつながり、症状がさらに悪化するとエンジンそのものが壊れてしまいます。エンジンを丸ごと載せ替える場合には100万円近くもの費用がかかるため、適切なタイミングでスパークプラグを交換しておきましょう。
その他パーツ交換費用
ここまでで紹介した項目以外にも、消耗品に該当するパーツは都度交換する必要があります。たとえば、ワイパーゴムやエアコンフィルター、ブレーキパッドなどです。クルマの状態によって交換箇所は異なりますが、費用としては3万円/年程度見積もっておくとよいでしょう。
【知っておきたい】購入後一度はメンテナンスする箇所
ここまで、1年間にかかるメンテナンス費用について解説しました。この他にも、RX-7を購入するにあたって最初にメンテナンスが必要な箇所、長いスパンで交換が必要な箇所がいくつかあります。数年単位での対応になりますが、購入前に確認しておきましょう。主な項目は下記のとおりです。
・エンジンオーバーホール
オーバーホールとは、エンジン本来の性能を取り戻すためにパーツを分解と洗浄、パーツ交換をして再度組み立てる作業です。10万km以上走っているRX-7だとエンジンにダメージが蓄積しているケースが多く、その走行性能を十分に発揮させたいのであれば、購入後に一度はオーバーホールする必要があるでしょう。
個体によって費用は異なりますが、安くても30万円程度、細かなパーツの研磨や交換が必要な場合は100万円以上かかることもあります。
・ブレーキオーバーホール
エンジンオーバーホールと同様に、ブレーキの分解と洗浄、パーツの交換を実施して再度組み立てる作業です。RX-7は最終モデルの発売からすでに20年以上が経過している古いクルマのため、こちらも購入後一度は実施する必要があるでしょう。実施頻度の目安は、走行距離10万km、もしくは4〜5年に1回といわれています。費用は1回あたり2万円程度です。
・クラッチ交換
クラッチとは、エンジンとトランスミッション(変速機)の間にある動力伝達装置です。故障してしまうと、クラッチが滑ったり重くなったりして走行に支障をきたします。交換費用は社外品を使った場合で5万〜10万円程度です。交換目安は5万〜10万km、もしくは7〜8年に一度といわれているため、RX-7をはじめとする旧車の場合は購入後に1回は交換する必要があるでしょう。
・デフマウントブッシュ交換
デフマウントブッシュとは、デファレンシャルギア(動力伝動装置の1つ)を収納するデフケースをクルマに固定するためのゴム製のパーツです。一般的なクルマであればあまり劣化しませんが、RX-7のようにサーキット走行を繰り返すクルマの場合は激しく消耗します。
ブッシュが劣化すると走行中に乗り心地が悪くなるだけではなく、走行中にふらつくこともあるため放置すると危険です。交換時期の目安は走行距離10kmで、費用は1回あたり2万円程度かかります。
RX-7の年間維持費はいくら?
ここまででRX-7の維持費の内訳について解説しました。年間でどの程度の費用がかかるのか、合計額をみていきましょう。
<RX-7の年間維持費>
燃料代:43万2,000円
自動車税(種別割):4万5,400円
任意保険:10万円
車検:5万8,625円(2年ごとにかかる費用の半額分)
メンテナンス費:6万円
合計:69万6,025円
月額では5万8,000円程度かかります。東京都郊外のワンルームマンションの家賃相場とあまり変わらない金額です。また、ローンで購入するとさらに月々の返済が発生するほか、月極駐車場を契約する場合は別途駐車場代が毎月加算されます。
まとめ
RX-7の年間維持費の内訳について解説しました。
毎月5万8,000円程度かかると考えると、維持できない旧車とは断言できないものの、気軽に所有できるスポーツカーともいえません。また、購入して間もなくエンジンやブレーキのオーバーホールを行うのであれば、かなり高額の初期費用がかかります。ランニングコストとだけではなく初期費用の工面についても検討したうえで購入するかどうか決めるとよいでしょう。
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