クルマに乗るのに、カーエアコンが必須な時期になりました。
1990年、東京都の猛暑日は2日間でしたが、昨年(2022年)は16日と、実に8倍!
一昔前はカーエアコンレス車に乗って「カーエアコンなんて軟弱なやつが使うもの」と、うそぶく方もいらっしゃいましたが、今や自殺行為以外の何物でもない時代となってしまいました。
と、こんなことを書いていた矢先の出来事。
この酷暑の中、すべての窓を全開にした8代目グロリア(Y31)とすれ違いましてね。
おそらくカーエアコンが効かないか、まったく動かないのでしょう。
運転席と助手席には、大学生とおぼしきお兄さんたち。
いや、若さってなんでもアリだなぁ。
いわゆるVIP系のドレスアップをされていない、ノーマル状態で綺麗なグロリア。
中古車の価格には疎いのですが、カーエアコンが不動であっても、決して安くはないと思います。
もっと快適で乗りやすい中古車もあった中での選択。
その素敵な笑顔からも、お兄さんが旧車ライフに踏み出し、グロリアを楽しんでらっしゃることがうかがえます。
納車、おめでとうございます。
くれぐれも熱中症にはご注意ください。
■夏本番、コンプレッサーまわりの総取っ換え待ったなし!
ここ数年、冷房の効きが悪くなった、愛車のS15。
外気が35度を超えると、吹き出し口から“ちょっとだけ涼しい”程度の冷風しか出ず、車内温度が下がらないという症状が出ていまして。
高速道路で渋滞にはまった際、助手席に座る妻を熱中症に陥らせたりもしました。
「さすがに、これはまずい」と、行きつけの自動車整備工場に持ち込んだところ、フロンガスは入っており、カーエアコン自体に異常はなし。
「コンプレッサーが弱くなっているほか、周辺の装備も劣化している。またエンジンルーム内が想定以上の暑さになり、効きが悪くなっているのではないか」との結論に。
そして「修理するなら、コンプレッサーまわりの総取っ換えがお勧め。多分、コンプレッサーだけ交換しても、すぐ周辺に異常が出る」とのこと。
まぁ、そうですよね。
コンプレッサーだけ交換して、勢いが復活!
けれど弱いからこそ、バランスが取れていた周辺の装備(コンデンサーやエパボレーターなど)もあって、大きな負荷がかかれば一気に問題が吹き出るでしょう。
コンプレッサーまわりをまとめて交換となると、10万円を超える出費。
けれど猛暑日に達しなければ、まだそこそこ冷房が効いているのが悩ましいところ……。
いやいや、今年の暑さはこれからが本番。
熱中症や事故を防ぐためにも、交換しないわけにはいかないでしょう。
来年になったら、車検でお金がかかるわけですし。
昨今の暑さを想定したパーツに替わるのですから、きっと格段に冷房の効きが良くなる……のでは、ないでしょうか。
一般的にカーエアコンの寿命は10年ほどといわれており、頻繁に使用することで長く調子が維持できるそうです。
S15のカーエアコンは無交換で24年目ですから、かなりの“当たり”を引いたことになります。
こちらをご覧のみなさんは、これから年式が10年以上の古いクルマを購入されるのだと思います。
現車確認の際、カーエアコンまわりが交換してあるかを確認し、無交換だったら乗り出し前に交換してしまうのも手ではないでしょうか。
乗り出した後の不安や苦労の種は、ひとつでも潰しておきたいですからね。
■夏は旧車の程度や素性を知る良い季節
日本車で最初にカークーラーを装備したのは、初代トヨペットクラウンで1957年。
カーエアコンを装備したのは、2代目トヨペットクラウン(マイナーチェンジ後)で1965年。
オートエアコンを装備したのは、トヨタセンチュリーで1971年だそう。
私が免許証を取得した頃(1990年頃)は、ほとんどの新車にカーエアコンが標準装備されるようになった時代。
子供の頃にはありふれていた三角窓、手動式の車内への空気導入口、後部座席の窓がわずかに外に開く機構は、すっかりと姿を消していました。
けれど当時のカーエアコンは効率が悪く、まだまだエンジンのパワーを食う代物でした。
今やカーエアコンやエンジンの進化、制御の高度化により、カーエアコンがエンジンパワーに与える影響はほとんどありませんが、当時やそれ以前は影響がとても大きいものでした。
特にAT車は排気量が1500~1600ccあっても、フル乗車すると勾配のきつい上り坂で、徐々に速度が落ちてしまいました。
あわててカーエアコンを切ってアクセルベタ踏みし、エンジンを唸らせて登ったのも、懐かしい思い出です。
当時はまだMT車の需要が大きかったのですが(MT27.5%:AT72.5%)、選ぶ理由に「カーエアコンの影響を受けにくい(低いギアで走ることにより、速度低下といった影響を最低限に抑えられる)」というのも、あったかもしれません。
程度の良い個体が多いことや球数の多さもあり、旧車を購入するにあたってAT車を検討されている方も多いと思います。
カーエアコンの影響は思いのほか大きく、特に夏場は大排気量車ではないかぎり、オーバードライブボタンやセカンドレンジを駆使してパワーの低下をフォローする必要が出てきます。
現代のクルマのようにDレンジオンリーで走行というわけにはいかず、必然的にトルクコンバーターやトランスミッションの程度も、重要になってきます。
日本の夏は、クルマにとって過酷な環境。
旧車は試乗が難しいと思いますが、可能ならばカーエアコンを入れて急勾配な上り坂に挑むことで、そのクルマの程度や素性、クセがある程度わかりますよ。
[画像・糸井 賢一,AdobeStock / ライター・糸井 賢一]