法人名義のクルマを売る際、必要な書類の種類や準備方法に不安を感じている企業の実務担当者は多いのではないでしょうか。書類の不備があると手続きがストップし、車輌の売却が遅れる原因となります。
法人名義の車輌では、印鑑証明書や委任状など、個人とは異なる書類や手順が必要となり、それらの取得方法や期限にも注意が必要です。本記事では、必要な12種類の書類について、ケース別に解説します。
法人名義のクルマを売却する際の必要書類
法人名義のクルマを売却する際には、運輸支局への登録手続きにおいてさまざまな書類を準備する必要があります。書類に不備があると手続きがストップするため、計画的に準備を進めましょう。
移転登録申請書(自動車検査証変更記録申請書)
移転登録申請書は、クルマの所有者を変更する際に必要な書類です。車輌の登録番号、車台番号、使用者・所有者の情報などを記入します。本手続きは、運輸支局に直接出向くか、委任状を作成して買取業者に代行を依頼する方法から選択できます。
所定の手数料印紙を貼付した手数料納付書
手数料納付書には、登録手数料として必要な収入印紙を貼付します。自動車検査登録印紙を貼付するか、キャッシュレス決済の場合はその旨を記載します。なお、登録権利者が国等である場合は、手数料は無料です。
譲渡証明書
譲渡証明書は、クルマの売却・譲渡の事実を証明する書類です。記入事項は下記のとおりです。
・車名
・型式
・車台番号
・譲渡年月日
・旧所有者と新所有者それぞれの氏名と住所、押印(法人の場合は法人実印)
なお、買取業者への売却時は業者が用意しますが、個人への売却時は自身で準備する必要があります。
▼関連記事はこちら
自動車譲渡証明書とは?記入の仕方や作成時の注意点についても解説
新旧所有者の印鑑(登録)証明書
印鑑証明書は、法人の実在性と取引の正当性を証明する書類です。新旧両方の所有者の印鑑証明書が必要で、発行から3ヶ月以内のものを用意する必要があります。申請人が支配人による申請の場合は、商業登記簿謄本または登記事項証明書の添付も必要です。
新所有者が外国法人で国内拠点がない場合の対応
新所有者が外国法人の場合、大使館か領事館、または官公庁が発行した法人の存在を証明する書類と、その日本語訳を提出します。これらには公証人による認証が必要です。
旧所有者が外国法人で国内拠点がない場合の対応
旧所有者が外国法人の場合も、本国で発行された法人証明書類と日本語訳文書を提出します。印鑑証明書の代わりに、公証人による認証を受けた書類が必要となります。
新旧所有者の委任状
委任状は、運輸支局での名義変更手続きを買取業者に依頼する際に必要です。法人の代表者印を押印し、委任する内容と委任を受ける者の情報を明確に記載します。
使用者の委任状
使用者の委任状は、実際の車輌使用者が所有者と異なる場合に必要です。ただし、移転登録申請書に使用者の記名がある場合や、登録識別情報の通知を受けている所有者が変更になり、使用者に変更がない場合は不要です。
自動車保管場所証明書
自動車保管場所証明書は、車輌の保管場所が適切に確保されていることを証明します。使用の本拠の位置が変更になり、証明書適用地域の場合に限り必要です。証明日から概ね1ヶ月以内のものを用意します。
使用の本拠の位置を証するに足りる書面
本書類は、使用の本拠の位置が変更となり、使用者の住所と異なる場合で、自動車保管場所証明書適用地域外の場合に必要です。法人の場合は、登記簿謄本と契約書の写しを用意します。
自動車検査証
自動車検査証(車検証)は、車輌の基本情報が記載された書類です。売却時に必要で、記載内容に変更がある場合は事前の変更登録、紛失時は運輸局で再発行します。なお、再発行には下記3点が必要です。
・法人印
・本人確認書類
・理由書
旧所有者の氏名または名称の変更の事実、若しくは住所のつながりが証明できる書面
旧所有者の情報に変更がある場合は、その事実を証明する書類が必要です。法人の場合、商業登記簿謄本または登記事項証明書を提出します。住所変更が住居表示の変更による場合は、その証明書も必要です。
法人名義のクルマ売却の必要書類の特殊なケース
法人名義のクルマを売却するためには、事業形態や登録内容の変更によって、追加の書類が必要となる場合があります。手続きが複雑な場合が多いため、該当するケースについて確認しておきましょう。
自家用自動車有償貸渡事業の場合
レンタカー事業で使用していた車輌を売却する場合、事業用自動車等連絡書とレンタカー事業者証明書の写しが必要です。また、運輸支局への取消申請手続きも必要となります。
旧所有者の氏名・名称・住所に変更がある場合
法人の名称や住所に変更があった場合は、履歴事項全部証明書(登記簿謄本)で変更履歴を証明します。手続きには発行から3ヶ月以内のものが必要です。また、住居表示の変更の場合は、市区町村発行の証明書も必要となります。
法人名義のクルマ売却の仕訳
法人名義のクルマを売却する時は、適切な会計処理が必要です。売却時の仕訳は、車輌の売却額を「現金」または「普通預金」の借方に計上し、「車両運搬具」と「固定資産売却益」または「固定資産売却損」を貸方に計上します。
消費税の課税事業者か免税事業者か、また直接法か間接法かによって具体的な仕訳方法が異なります。なお、消費税区分は「非課税売上」として扱い、リサイクル預託金は別途処理が必要です。
売却益は法人税の課税対象となり、下記の計算式で算出します。
売却益 = 売却価格 - (帳簿価格 + 諸費用)
帳簿価格は減価償却を考慮した金額で、車輌の耐用年数に応じて毎年または毎月、減価償却費を計上します。売却益が出た場合は、法人税の確定申告時に申告が必要です。
なお、仕訳については複雑な面があり、法改正の影響も受けることから、適切に会計処理するためにも税理士のアドバイスを受けることをおすすめします。
法人名義のクルマの売却益には法人税がかかる
売却益に対する法人税は、一般の事業所得と同様に課税されます。税額は法人の規模や地域によって異なりますが、通常の実効税率(約30%)が適用されます。
売却時期によっては確定申告や中間申告での税額に影響が出る可能性があるため、必要に応じて税理士への相談も検討しましょう。
まとめ
法人名義のクルマを売却するには、移転登録申請書や譲渡証明書など、12種類の基本書類が必要となります。特に印鑑証明書や自動車保管場所証明書には有効期限があるため、計画的に準備を進めましょう。
スムーズな売却手続きのためには、必要書類の一覧を作成し、期限のある書類から順に準備を進めることが大切です。まずは車検証の内容を確認し、変更が必要な項目がないかチェックすることから始めてみてはいかがでしょうか。
旧車の買取なら「旧車王」におまかせ!
長い時間を共にした愛車だからこそ、売却先にもこだわりたいという方は多いのではないでしょうか。
旧車王は、旧車に特化して20年以上買取を続けております。旧車に関する実績と知識なら、どこに負けない自信があります。また、ご契約後の買取額の減額や不当なキャンセル料を請求する「二重査定」も一切ございません。誠実にお客さまのクルマと向き合い、適正に査定いたします。
全国どこでも無料で出張査定にうかがいますので、大事な愛車の売却先にお悩みの方はぜひ「旧車王」にご相談ください。