法人のクルマ売却にかかる税金は?計算方法や仕訳方法も紹介

目次
1.法人のクルマ売却でかかる税金 2.法人のクルマ売却でかかる税金の計算方法 3.法人のクルマ売却の仕訳 4.まとめ

法人として所有しているクルマの売却を検討しているものの、課税される税金や会計処理の方法に不安を覚えている方もいるでしょう。売却益にかかる税金や会計処理に関する知識を深めたうえで、法人で所有しているクルマを売却しましょう。

この記事では、法人のクルマ売却でかかる税金や税額の計算方法、仕訳について紹介します。

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法人のクルマ売却でかかる税金

法人のクルマ売却でかかる税金

法人として所有しているクルマを売却する際は、法人税と消費税がかかる場合があります。まずは、法人で所有しているクルマを売却した際にかかる税金を紹介します。

法人税

売却益があると法人の収益として会計処理するため、法人税がかかります。売却益とは、クルマを帳簿価格より高く売却した際に得た収益のことです。

法人で購入した資産は「減価償却法」を用いて会計処理されるケースが多く、クルマの帳簿価格は年々下がります。減価償却法とは、一度で経費計上せず数年に渡って少しずつ資産価値を減少させて処理する会計方法のことです。

売却額が帳簿価格の金額を上回ると、法人の収益として計上されるため、法人税が課税されます。たとえば、200万円で購入したものの帳簿価格が30万円のクルマを50万円で売却した場合、20万円の利益があるため売却益がある状況です。

なお、売却額が帳簿価格を下回ると売却損になり、事業支出としてみなされます。

消費税

法人で所有しているクルマを売却すると、売却額に対して10%の消費税がかかります。法人のクルマ売却は、国税庁が定めた要件に該当しているため、消費税の課税対象です。たとえば、事業用として使用していたクルマを、他の法人や個人に売却した場合に消費税がかかります。

参考:国税庁「どんな取引が課税対象?」

ただし、個人の用途の範囲内で使用されている場合は課税対象ではないため、「通勤用」もしくは「レジャー用」として使用している法人のクルマは課税対象外です。また、課税売上が1,000万円以下である「免税事業者」の場合も、消費税の納税が不要です。

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法人のクルマ売却でかかる税金の計算方法

法人のクルマ売却でかかる税金の計算方法

クルマ売却で納税額がどの程度なのか把握するためにも、税金の計算方法を理解しておきましょう。続いて、法人のクルマ売却でかかる税金の計算方法を紹介します。

法人税

クルマ売却の法人税を計算するには、まず下記の方法で売却益を算出します。

・売却額 − 帳簿価格 = 売却益

次に、売却益に会社の規模や利益に応じた規定の「法人税率(15%〜23%程度)」をかけると、法人税を算出できます。

参考:国税庁「法人税の税率」

なお、全体の法人税額を確認したい場合は、クルマの売却益を法人の利益に加算し、まとめて算出しましょう。

消費税

消費税は、クルマの売却額に消費税率をかけて計算します(※2024年12月時点)。具体的な計算式は、下記のとおりです。

・売却額×消費税率(10%)= 消費税額 

消費税は、売却益ではなく「売却額」に対して発生することを把握しておきましょう。

法人のクルマ売却の仕訳

減価償却したクルマは「直接法」または「間接法」で、貸借対照表に記載する必要があります。また「税抜処理」と「税込処理」のどちらを採用しているかによって、仕訳方法が異なります。

今までに採用していた方法があれば、それに従うことが一般的です。一方、初めて法人で所有しているクルマを売却した場合は、会社にとって理解しやすい方法で仕訳するとよいでしょう。

なお、クルマのリサイクル料金は廃車にしなければ還付されます。売却額とは別で「預託金」として貸方に仕訳する必要があるため、売却時の見積書を確認しましょう。

ここでは、法人のクルマ売却の仕訳について紹介します。

直接法

直接法は、クルマの購入価格から減価償却費を直接減額する方法です。一目で帳簿価格を把握でき、会計処理の手間を省けます。

ただし、帳簿価格と減価償却費の累計額を足さないとクルマの購入価格を把握できないことに留意してください。

続いて、法人で所有しているクルマを直接法で仕訳する方法を紹介します。

売却益(税抜処理)

下記の条件で売却益が出た場合の仕訳方法を紹介します。

・帳簿価格......250万円(税抜)
・売却額......300万円(税抜)
・リサイクル預託金......1万8,000円(非課税)

借方勘定項目

金額

貸方勘定項目

金額

摘要

普通預金

300万円

車輌運搬具

250万円

売却額 / 帳簿価格

普通預金

18,000

預託金

18,000

リサイクル預託金

 

 

仮受消費税等

30万円

普通預金×10

仮受消費税の金額

 

 

固定資産売却益

20万円

売却益

合計

3018,000

 

3018,000

 

売却益があるケースでは「固定資産売却益」として貸方に計上します。また、消費税抜きの処理方法を採用している場合、消費税を「仮受消費税」として仕分しましょう。

売却損(税込処理)

下記の条件で売却損になった場合の仕訳方法を紹介します。

・帳簿価格......250万円(税抜)
・売却額......200万円(税抜)
・リサイクル預託金......1万8,000円(非課税)

借方勘定項目

金額

貸方勘定項目

金額

摘要

普通預金

220万円

車輌運搬具

275万円

売却額 / 帳簿価格

普通預金

18,000

預託金

18,000

リサイクル預託金

固定資産売却損

55万円

 

 

 

合計

2768,000

合計

2768,000

 

売却損が発生した場合は、借方に「固定資産売却損」として計上します。

間接法

間接法は、減価償却費を引かずにそのまま購入価格を記入し、帳簿上で減価償却を行う方法です。購入価格を把握しやすいため、クルマを買い換える際に金額を比較しやすいメリットがあります。ただし、そのときの帳簿価格を把握しにくいことに留意してください。

売却益(税抜処理)

下記の条件で売却益が出た場合の仕訳方法を紹介します。

・購入価格......300万円(税抜)
・売却額......300万円(税抜)
・減価償却累計額......50万円(税抜)
・リサイクル預託金......1万8,000円(非課税)

借方勘定項目

金額

貸方勘定項目

金額

摘要

普通預金

300万円

車輌運搬具

300万円

売却額 / 購入価格

普通預金

18,000

預託金

18,000

リサイクル預託金

減価償却累計額

50万円

仮受消費税

30万円

減価償却費/仮受消費税の金額

 

 

固定資産売却益

20万円

売却益

合計

3518,000

合計

3518,000

 

減価償却累計額は、今までの減価償却費の累計額です。

売却損(税込処理)

下記の条件で売却損が発生した場合の仕訳方法は、次のとおりです。

・購入価格......300万円(税抜)
・売却額......200万円(税抜)
・減価償却累計額......50万円(税抜)
・リサイクル預託金......1万8,000円(非課税)

借方勘定項目

金額

貸方勘定項目

金額

摘要

普通預金

220万円

車輌運搬具

330万円

売却額 / 購入価格

普通預金

18,000

預託金

18,000

リサイクル委託金

減価償却累計額

55万円

 

 

減価償却費

固定資産売却損

55万円

 

 

売却損

合計

3318,000

合計

3318,000

 

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まとめ

法人が所有するクルマを売却する際は、法人税と消費税が発生する場合があります。法人で所有するクルマを売却した場合、どの程度税金がかかるのか事前にチェックしておくとよいでしょう。

また、売却した後は適切な会計処理が必要です。「直接法や間接法」「税抜処理や税込処理」などと、自社で採用している方法を把握して、適切に会計処理しましょう。

法人のクルマ売却は、税金や会計処理など複雑な部分が多いため、税理士や会計士といった専門家に相談しながら進めることをおすすめします。

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