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日本にいたころは、まったくといっていいほどクルマに関心がありませんでした。
公共交通機関が充実している、都会での暮らしに必要性を感じなかったからです。
しかし、ベルリンへ移住してから、道沿いにさり気なく駐めてあるクラシックカーのデザインに一目惚れしました。
もともと、ファッションやインテリアのアンティークやヴィンテージが大好きだった筆者にとっては新たな発見であり、クラシックカーどころかクルマのことなどほとんど知らない素人ですが、ベルリンの街でクラシックカーを見かけるたびに、スマホで写真を撮るようになったのです。
そんなある日、友人から「ヒストリックカー」の存在を教えてもらいました。
■"H"マーク付きのヒストリックカーとは?
ドイツのクラシックカーが好きな人であれば誰でも知っているかと思いますが、ヒストリックカーとは、ナンバープレートに”H”マークが入っているクラシックカーのことを指し、正式に認定されている年代もののクルマを意味します。
生産されてから30年以上経過している、オリジナルの状態が保たれている、走行に支障をきたす欠陥がないと判定された状態であるなど、条件を満たしたクルマのみが認定資格を持てるのです。
この”H”マーク付きのヒストリックカーを見つけると、自然に憧れと尊敬の眼差しを向けるようになりました。
ちなみに、連邦自動車交通局(KBA)調べによると、2022年におけるドイツ国内でのHナンバー登録数は648,365台とのことで、前年より10%も増えているそうです。
ベルリンの街を歩いているだけでも頻繁に見かける理由がよくわかりますね。
では、実際にはどんなクラシックカーがベルリンでは人気なのでしょうか?
街中で見かけたクルマを写真とともに紹介していきたいと思います。
■メルセデス・ベンツ ミディアムクラス 300D
やはり一番人気は、ドイツ車三大メーカーのトップ、メルセデス・ベンツです。
筆者の住むプレンツラウアーベルク地区だけでも、続けてすぐに発見できました!
1985年~1989年に生産されていた、メルセデス・ベンツ ミディアムクラス 300Dは、四角くて、コロンとしたフォルムが特徴的でレトロな印象を受けます。
無駄のないシンプルなデザインが男性に人気がありそうです。
清潔感のあるホワイトカラーもいいですね。
■メルセデス・ベンツ W123 230E
こちらは、大人気のメルセデス・ベンツW123シリーズの、最終モデルとして生産されました。
1976年から1985年に生産されていたW123シリーズは、街中でもよく見かけますが、メルセデス・ベンツならではの圧巻の存在感と、よりクラシックなフォルムと高級感漂うデザインが、個人的にもかなり好みです。
■フォルクスワーゲン ゴルフガブリオレ
同じくドイツメーカーのフォルクスワーゲンも大人気で、ゴルフガブリオレと、作業用としてよく活用されているバンを見かける機会が多いです。
ビートルの後継者としてゴルフカブリオレが誕生したのは1979年で、コンパクトなサイズと見た目のかわいさで、女性にとても人気があります。
定番のブラックも人気ですが、筆者としてはレッドやブルーといった、発色の良いカラーが目を引きます。
ベルリンでは、住宅の前にクルマがズラリと並んでいる光景が日常的ですが、並んでいるクルマを見るとクラシックカーに限ったことではなく、メルセデス・ベンツとフォルクスワーゲンが圧倒的に人気なのが一目瞭然です。
ドイツの国産車だから当然ではありますが、その中にクラシックカーがさり気なく紛れ込んでおり、街の景観を美しく演出しています。
ちなみに、ベルリンでは駐車禁止地域以外であれば、基本的に路上駐車が可能となっています。
ただ、埋まっていることがほとんどのため、空きスペースを探すのは至難の技です。
■ジャガー XJS
ハイブランドショップが立ち並んでいることでも有名な、ベルリン随一のショッピング通り、通称“クーダム”で発見したジャガーのクラシックカー。
ドイツの国産車がトップの人気を誇るなか、イギリス産のジャガーと出会えたのは嬉しかったです。
ごくたまに見かけますが、レトロフューチャーなフォルムと渋いカラーがたまりません。
■マセラティ 222
同じくクーダムの近辺で発見したのが、イタリア産のマセラティです。
1914年操業と、100年以上もの長い歴史を誇り、高級スポーツカーとして人気を博しています。
記憶が正しければ、筆者はこの日初めてマセラティを見ましたが、フロントの渋さと、バックスタイルでさり気なくブランドを語るかのようにロゴを入れたデザインが、ステキだと思いました。
■おわりに
クルマの国ドイツであっても、意識して見なければクラシックカーに気付かないかもしれません。
しかし、街中を隈なく探すと、持ち主のこだわりや個性の見えるデザイン性の高いクルマと出会うことができます。
特に筆者は、メーカーよりもフォルム、デザイン、カラーに魅了されることが多く、いつの年代に生産されたのか、その時代のトレンドはどんなデザインだったのか、時代背景はどんなだったのか、そんなことに想像を膨らませています。
これからも、ベルリンの街でステキなクラシックカーにたくさん出会えることを楽しみにしています。
[ライター・撮影 / Kana]