一昨年、自宅から「車庫証明が取れなくもない程度」に離れた場所にガレージを借りて、スバル360のDIYレストアを再開したのは、以前、記事に書いた通りです。
そこで、ふとスバル360のレストアっていつから始めたんだっけ?と思い返してみると・・・。
セリカLBがレストアから戻ってくるタイミングと入れかえだったので、2016年末、気が付くと6年も経っていました。
そう考えると、フルレストアをしたばかりだと思っていたセリカLBも、レストアから6年経過していたことになります。
フルレストアしたことで、これまで見落としていた不具合が洗い出されるように発生してはその対処に追われていたので、あっという間でした。
このあたりの話も、いつか触れることができたらと思っています。
■ボディは想像以上に腐食していた
当初は各部の浮いてきた錆をサンダーで削り落として、錆止め剤を塗布してサフェーサーを吹けばと思っていたのですが・・・。
フロントフェンダーやフロントエプロンを外すと、左のフロントサブフレームがこの有様。
腐食というより、溶けてなくなっているという状態です。
察しの良い方の中にはシャシーブラックがマスキングしたかのように途切れており、違和感を感じる方もいるかもしれません。
実はこのシャシーブラックの途切れている部分には、FRPが貼ってありました。
そのFRPも加水分解をおこし、もはや部材としての用を成してない状態です。
今でも、腐食部分の補修にFRPを紹介する事例も散見します。
FRPは錆びないことをメリットに挙げる例もありますが、10年~20年スパンで見ると加水分解で腐食と同じ結果です。
それどころか、加水分解でボロボロになった箇所や、はみ出たグラスマットが水を含んでしまい、錆を進行させる原因にもなります。
個人的にはFRPでの補修は好ましくないと考えています。
なにより、この状態で何年も走行し、ときには高速道路も走っていたと思うとゾッとする話です。
昔からスバル360はバッテリートレーの部分がバッテリーの液漏れで腐食しやすいことが知られています。
しかし、近年はさらにバッテリートレーだけでなく真下のサブフレームにも腐食が進行する個体も見受けられます。
心当たりのあるスバル360のオーナーは一度確認し、状態によってはレストアを考えた方がいいかもしれません。
■厚盛りパテの洗礼
あちこちパテが割れていて覚悟はしていたものの、試しに右フロントフェンダーにグラインダーをあててみたところ、ミリ単位どころかセンチメートル単位でパテが盛ってあったのです。
自分のセリカをレストアした整備工場の社長は「鈑金は基本ハンマリングで成形、パテはハンマーの打痕の傷消しに使うだけ」という「パテを使わない鈑金」をする人です。
とはいっても付け焼刃で真似できる物でもなく、せめて数ミリ単位に抑える方向で頑張っています。
しかし、パテを剝がしていくと、過去に事故でひしゃげたフェンダーを鈑金修理したものということが判明します。
事故による全体のゆがみが酷くヘッドライトベゼルとフェンダーの曲面がまったく合いません。
ホイールアーチのアールもくるっていて、このフェンダーの再生は断念。
結局、ひずみのないフェンダーを探すのに1年ほどかかりました。
■ボディの腐食の進行は思いのほか重症だった
元々、閉まりの悪い右ドアは諦めて(今までと比べれば)状態のいい中古ドアに交換します。
このあたりから、モノコックだけの状態にしてから腐食部分をすべて直さないとだめだと思うようになり、エンジンミッション・サスペンション・ステアリング・電装系ハーネス、すべて取り外すことにしました。
錆びた部品はサンドブラストで処理できれば一番いいのですが、錆取り剤に漬けおきでもかなり効果があります。
そこで、一晩漬けてワイヤブラシでこすれば、おもしろいように錆が取れました。
錆取りといえば、サンポールやクエン酸も有名ですが、母材への影響や安全性もメーカーが確認している専用の錆取り剤を使うようにしています。
もちろん、このあとは錆止め剤を塗布してシャシーブラックで塗装したのですが、結局最近になって、より強固な二液ウレタン塗料で塗りなおそうかと思っています。
下地を塗装し、塗料店を通じて塗料メーカーに純正カラーコードで調合してもらった二液ウレタン塗料まで用意したところで、どうやって塗装するかという難題にぶつかります。
ソリッド色ならパネル1枚1枚を塗装して研いで修正ということもできます。
しかし、このクルマはシャンパンゴールドのメタリック塗装。
クリアコートまで一発勝負ということにここにきてようやく気づいたのでした。
ゴールド+クリアの2コートを一気に仕上げるには簡易的な塗装ブースでもいいのですが、建屋内で作業する必要が出てきてしまいました。
その後、「ガレージを借りる」という大技にたどりつくまでに3年ほど要することになるのです。
[ライター・撮影/鈴木修一郎]