台風や集中豪雨などの水害で車が水没してしまった際に、どうすればいいのか悩む方は多いかと思います。深刻な水没被害に遭った車は、果たして修理できるのでしょうか。また、もし手放したい場合にはどのような方法があるのでしょうか。今回は、水没車を修理できる場合とできない場合、そして修理費用を紹介するとともに、手放す方法について紹介します。車が水没して困っている方や、河川近くで高低差があり水害の被害に遭いやすいといわれる地域にお住まいの方は参考にしてください。
水没車とは?
水没車とは、「集中豪雨や洪水などにより、室内フロア以上に浸水したもの、または、その痕跡により商品価値の下落が見込まれるもの」であると一般社団法人日本自動車査定協会(JAAI)に定義されています。端的にいえば、車内が浸水するなど通常では起こりえない水害を受けた状態です。
車は想定内の雨や水には対応できる防水構造になっています。しかし、エンジンや室内が浸水すると、重要な部品のサビや電気系統のトラブルに発展する可能性が高いといわれています。最悪の場合、走行中にエンジンが止まるなどの重大なトラブルにつながるかもしれません。
水没車は修理できる?
想定外の水害を受けた車を水没車と呼びますが、果たして修理できるのでしょうか。直せるかどうかは車輌の状態によって変わるため、ここからは修理できるケースと難しいケースを紹介します。
水没車を修理できるケース
タイヤの下半分もしくは上半分までの浸水であれば修理できる可能性が高いです。
タイヤの下半分までの浸水であれば、室内には水が侵入していないことが多いといわれています。そのため、タイヤやブレーキ周り(ローターやディスク)の分解清掃や交換で解決できます。ただし、車高の低い車はエンジンや室内が浸水しているかもしれません。不安な場合は業者に点検整備を依頼しましょう。
上半分まで浸水した場合も、ドライブシャフトの交換でおおむね解決するといわれています。修理できるとはいっても、ドライブシャフトはエンジンの動力を車輪に伝える重要なパーツ。水没により潤滑油が流れ落ちて故障していたり、泥の付着で機能不全を引き起こすかもしれないため、放置せずに必ず修理しましょう。また、下半分までの浸水のケースと同様に車高の低い車だと他の箇所にも水が侵入しているかもしれません。こちらの場合も点検整備をおすすめします。
水没車で一般的に修理が難しいケース
続いて、修理が難しい状態を3つのケース別に紹介します。
排気口以上の浸水
排気口以上に浸水すると、エンジンが全壊してしまう可能性があります。
排気口を通じて水がエンジン内に吸い上げられると「ウォーターハンマー」という現象が起こります。ウォーターハンマーとは、ガソリンと違って圧縮できない水がシリンダー内部に入ることでピストンの反動を受け、コンロッドというパーツが破壊されるトラブルです。
ウォーターハンマーが発生した場合、エンジンの修理は難しいといわれています。修理できなくても交換は可能ですが、数十万〜100万円程度の費用がかかるため、あまり現実的ではありません。
シートの上部まで水没している
シートの上部まで水没している場合は、修理ではなく買い替えもしくは手放しを検討しましょう。前述の通りエンジンにトラブルが起こる可能性が高く、シート全体が水没していると車内に雑菌が発生してしまいます。乾燥したとしても臭いやカビ、サビが残りやすいため、乗り続けるのは難しいでしょう。
電気系統にトラブルが起きている
電気系統にトラブルが起きている場合は、買い替えもしくは手放すことを検討しましょう。水没による電気系統へのダメージによって、走行中に急に停止してしまう場合があります。
また、海水に水没した場合はさらに危険です。海水は淡水とは違って電気を通すため、最悪の場合は車体が炎上する恐れがあります。ハイブリッドカーや電気自動車は漏電する可能性も高いです。
水没車の修理費用は高い?
故障の程度によって変動しますが、定義通り室内フロア以上の浸水している場合、高額な費用がかかる可能性が高いです。
エンジンが修理できる状態だとしても、費用はなんと数十万〜100万円ほど。足回りの分解清掃やパーツ交換を実施するのであれば、数万円〜数十万円が上乗せされます。室内クリーニングを実施するにも数万円ほどかかります。
被害が深刻なのであれば思い切って手放すのも一つの方法です。まずは業者に点検整備を依頼して、修理が可能かどうか見積りから判断しましょう。
水没車を手放すにはどうしたらよい?
修理が難しい、もしくは費用が高くて修理を諦めざるを得ない場合は、水没車を手放すことになるでしょう。手放す際の2つの選択肢を紹介します。
廃車にする
廃車には一時抹消登録と永久抹消登録の2つがありますが、水没で修理を諦めた車が対象であれば後者が該当するでしょう。
永久抹消登録とは、車を二度と使用せず解体する際に実施する手続きです。バラバラに解体されて部品ごとに再利用されます。解体に2〜3万円ほどの費用がかかるうえ、書類準備や手続きも基本的にはすべて自分で行います。
売却する
中古車買取業者に売却するのも一つの方法です。「水没車だから値段がつかないのでは?」と思っている方も多いかもしれません。しかし、価格はあくまで状態に左右されるため、水没車だからという理由で諦めるのは勿体ないでしょう。
また、エンジンの故障で動かない車であっても、出張査定を依頼できる業者であればスタッフが自宅まで訪問してくれます。レッカーで車を動かす手間・費用を省けるのもメリットといえるでしょう。
水没車ってどこに売ればよい?
「廃車は手続きが面倒くさそう」「解体されるのは心苦しい」という方には、売却がおすすめです。しかし、中古車買取業者は数多く存在し、どこに依頼すればよいかわからない方も多いでしょう。
水没車、とりわけ修理が難しいといわれた車輌は、並大抵の知識・スキルでは正しく取り扱えません。経験の浅い業者だと、値段がつかないといわれたり、そもそも査定自体を断られる場合もあります。
水没車を売却するなら、実績豊富な業者に依頼しましょう。たとえば、私たち旧車王は、20年以上にわたって買取サービスを展開しています。長年にわたってさまざまな車輌を「鑑定」してきました。水没車や故障車、不動車も多く買い取っており、積み重ねた実績は私たちの自信です。
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