合成燃料と聞いてイメージできない人も多いでしょう。合成燃料は、カーボンニュートラルに向けた既存エンジンにも使えるクリーンエネルギーとして注目されています。今回は、合成燃料とは何か、合成燃料のメリットやデメリット、今後の課題や見通しについて解説します。既存のエンジンで環境に優しい燃料を使いたい人は参考にしてください。
合成燃料とは?
合成燃料とは、二酸化炭素(CO2)と水素(H2)を合成した「e-fuel」のことで、「人工的な原油」といわれています。
原料の二酸化炭素は工場などから排出されたものを利用するのが現状で、将来的には大気中の二酸化炭素を直接回収して再利用することが想定されています。
一方、水素は再生可能エネルギーで作られた電力により水電解を行うことで調達されます。
この2つを合成した燃料が「合成燃料」です。合成燃料を化石燃料由来であるガソリンやディーゼルエンジンの燃料に置き換えることで、CO2排出量を大幅に抑えられます。
自動車の電動化を進めて2035年までに100%の新車販売を目指す「グリーン成長戦略」には様々な課題が残っています。国際エネルギー機関(IEA)の見通しでは、2040年時点でも84%のエンジン搭載車が新車販売においての割合を占めると予想されており、エンジン搭載車両に使用する脱炭素燃料の供給が急務です。合成燃料はこの脱炭素燃料に最適な燃料とされ、世界中で実用化に向けた動きが活発化しています。
続いて、合成燃料のメリットとデメリットについて詳しく解説します。
合成燃料のメリット
合成燃料の主なメリットを2点解説します。
環境負荷が小さい
合成燃料のメリットとして、環境負荷が小さいことが挙げられます。合成燃料は発電所や工場などから排出された二酸化炭素を利用して作られる燃料です。そのため、カーボンニュートラルに貢献する燃料だといえます。
設備を変更する必要がない
合成燃料は、既存の化石燃料と同じように扱うことができるため、設備を変更する必要がありません。設備を増設したり新設したりする燃料の場合、導入に時間がかかります。速やかに導入が可能なことも、合成燃料が化石燃料に代わる燃料として注目されている理由の1つです。
合成燃料のデメリット
合成燃料のデメリットは、普及するまでのコストが高いことです。
合成燃料は、原料である二酸化炭素や水素を環境負荷がかからないように製造するためのコストが非常に高く、現在想定されている製造法ではガソリンの6倍以上ともいわれています。さらに、製造効率も非常に悪くて大量生産が難しいという課題を解決するための技術の開発が必要です。
合成燃料の課題
合成燃料の重要な課題は、コストが非常に高いことです。合成燃料はガソリンなどと同じ液体燃料のため、既存の内燃機関やガソリンスタンド設備が利用できるという面で大きなメリットがあります。しかし、製造コストと製造効率の向上がなければ、一般的に普及する販売単価には至らず需要の拡大は見込めないといえるでしょう。
合成燃料の各社の取り組み状況
合成燃料は、日本のみならず、世界各国で導入の動きが進んでいます。また、燃料を安定的に供給するために、自国での生産を進めている国もあります。
たとえばAtmosfair社は、ドイツのエムスラントでバイオガスプラントやDAC(Direct Air Capture)から得たCO2とグリーン水素を利用して、FT(Fischer-Tropsch)合成を用いて航空燃料を生産しています。再生可能エネルギー(風力・太陽光)を利用したPEM型水電解で水素を供給し、年間350tのeケロシンを生産することを目標としています。
2022年の第一四半期には定期運用が開始され、ドイツの航空会社2社に供給される予定です。このプロジェクトは、Atmosfair社の独自資金で運営され、公的資金や企業からの融資を受けていません。
参考:合成燃料に関する海外の技術動向について・期待の高まる合成燃料(e-fuel)(Ⅸ) | 脱炭素技術センター
合成燃料の今後の見通し
合成燃料は実用化に向けて着々と準備が進められています。政府は2040年までに商用化し、2050年までにガソリン価格以下のコストを実現する目標を掲げています。
ガソリンと競争するためには、さらなる技術革新と効率改善が必要です。政府による補助金や政策的な支援などの充実化により、技術開発の加速も期待できます。世界中で取り組みが進んでいることから、海外から流入した技術によって合成燃料の課題が急速に解決に向かう可能性もあります。課題は山積みではありますが、合成燃料の普及については期待できるといえるでしょう。
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