今夜はクリスマス・イブ。
BIGLOBEが全国の20代~50代の男女1,000人を対象に、年末年始の過ごし方に関する意識調査を実施したところによると「クリスマスの予定」についての質問に57.8%が「予定はない」と回答したという。
また、「クリスマスをひとりで過ごすことについて」は、全体の74.2%が「あまり気にしない/気にしない」と回答したそうだ。年代が上がるにつれ、上記の回答をする人の割合は多くなるものの、20代に限定しても約6割が気にしていない、とのことだ。
いまでこそ「クリぼっち」は市民権を得たような気がするけれど、当時は数々の恋愛ドラマやクリスマスに関係するヒットソング、そしてトドメのJR東海のクリスマスエクスプレスの影響もあってか「クリスマスは恋人と過ごすのが勝者で、それ以外は敗者」だったように思う。
その証拠に、いまはなき「赤プリ」こと赤坂プリンスホテルでクリスマス・イブを過ごしたいと思ったら、1年前から予約しないと部屋を押さえられないんていわれた時代だ。
ちょうど30年前の今日。
1992年12月24日。
オリコンの1992年12月の月間シングルCDランキングによると、第1位は稲垣潤一の「クリスマスキャロルの頃には」だった。
そして、1988年から5年間続いたJR東海の名作CM「クリスマス・エクスプレス」シリーズ最後の年でもあった。
当時は高校生だった自分にとっては、多感な時期に嫌というほど「クリスマスは恋人と過ごすのが勝者で、それ以外は敗者」という強烈な刷り込みを脳裏に焼き付けられたのだ。
それはまさに呪縛だった。
そんなわけで、自分だってキラキラしたクリスマス・イブの夜の街でデートがしてみたい(笑)と思わない方が無理なハナシだ。
で・・・どうしたかというと、このとき彼女はいなかったので、前日にクラスで比較的仲が良かった女子の家に電話をして、デートに誘ってみることにしたのだ。
爆発的にポケベルや携帯電話が普及するのはここから数年先の話しで、当時気になる相手に連絡をするには直接話すか、手紙か家電するしかなかった。
この時点では「家電」が唯一の選択肢だった。
あまり時間が遅くなるとさすがに迷惑だ。
意を決して「家電」したところ、家族の誰かが出たのだろう。
学校の宿題だか何だかの理由(口実)で電話したことを伝え、本人につないでもらった。
それなりに仲が良かったとはいえ、普段から家電で話すような間柄ではなかったので、相手も驚いたはずだ。
先ほどの用件を伝えつつ、イチかバチか明日(つまりクリスマス・イブだ)、一緒に出掛けようよ、と誘ってみた。
夜遅くならなければokということで、翌日、放課後(久しぶりにこのキーワードを使った気がする)に駅で待ち合わせ、電車に乗り、一緒に渋谷へ向かうことになった。
なんで原宿でなくて渋谷だったのかはよく覚えていない。
原宿より渋谷の方が大人の街(笑)だと思い込んでいたのかもしれない。
郊外に住んでいたので、地元の駅を出発して、渋谷駅に着いたころには日が暮れてきていた。
そのときの渋谷駅周辺はというと・・・いまのハロウィンほどではないが、それでも人で溢れかえっていたように思う。
ムスカ大佐の言葉を借りるとすれば「人がゴ○のようだ」そのものの光景がひろがっていた。
そういえば、夜の渋谷の街を歩くのはこのときが初めてだったかもしれない。
日中の渋谷とは違う大人びた雰囲気にちょっと気圧されてしまった。
しかも今夜はクリスマス・イブ。
どの店も超満員だ。
結局、ただ何となく2人で夜の渋谷の街を歩き、東急ハンズあたりでUターンしてふたたび渋谷駅に戻って超満員の山手線に乗り、私鉄に乗り換え、最寄り駅まで彼女を送り、クリスマス・イブのデートは終わった。
あれってデートだったのか?いまでも分からない。
とはいえ、こうして振り返ってみると、何だかんだでこの30年間のクリスマス・イブでも思い出深い夜となったかもしれない。
件の彼女はその後紆余曲折を経て、クラスメートだった友人と結婚して子どもを授かった。
数年前、彼女に会ったときに当時のことを聞いてみたら、向こうも覚えているとのことだった。
さすがに野暮なので、当時なんでデートしてくれたのかは聞かないでおいた。
自分はこのときのことを友人には話してないけれど、彼女はどうしたんだろう。
そして、今夜の渋谷の街は、あのときのように混んでいるのだろうか?
検索してみたら、渋谷スクランブル交差点のライブカメラの映像を見つけた。
意外と空いているような・・・。
【LIVE】渋谷スクランブル交差点 Shibuya Scramble Crossing Live Camera
https://www.youtube.com/watch?v=3kPH7kTphnE
それはさておき、皆さまもどうか素敵なクリスマスをお過ごしください。
[画像/Adobe Stock ライター/松村透]